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ラファエロ編
80.邂逅
エドアルドの部屋を出てからラファエロは、もう一度リリアーナの様子でも見に行こうかと、もと来た廊下を辿っていった。
おそらくはマリカが時間稼ぎをしてくれてはいるだろうが、あまり不自然に引き止めることも出来ないだろう。
思いの外エドアルドのところで時間をくってしまったことを悔やみながら、ラファエロは逸る気持ちを抑えてやや早足で廊下を進んでいくと、俯きながら切なげに溜息をついているリリアーナが見えた。
「まあ、王弟殿下」
なんという幸運だろうか。
間に合った事に安堵し、ラファエロは平静を装って歩みを進める。
ラファエロの意図など知らないリリアーナは驚いているようだったが、ラファエロは構わずに満面の笑みを浮かべて彼女へと近づいていった。
「リリアーナ嬢。手の怪我は、大丈夫ですか?」
勿論怪我の手当はマリカに任せたのだから心配はないだろうが、それでもつい訊ねてしまう。
するとリリアーナは恥ずかしそうに俯くと、慌てたように謝罪の言葉を口にした。
「その、色々とお見苦しい所をお見せして申し訳ございませんでした」
一瞬何のことを言っているのかが分からず、謝罪された事に驚いたが、すぐにそれがジュストを殴ったことや蹴り飛ばしたこと、そして罵倒したことを指しているのだと理解し、すぐにふわりと微笑んだ。
「見苦しいだなんて思っておりませんよ。それに個人的には強い女性は好きですし」
「え…………」
気持ちを込めてそう言うと、リリアーナがはっと目を見開いた。
彼女の美しい碧の瞳が、動揺したように揺れているように見えるのは、気の所為ではない。
そんなリリアーナに、ラファエロはゆっくりと懐柔するかのような優しい口調で訊ねる。
「………リリアーナ嬢は、これからどうするおつもりですか?」
確信を持ちながらもなお、ラファエロは慎重にリリアーナの意志を確認する。
「………無事に父の思惑通りにあの狂人と婚約解消も出来たことですし、暫くはクラリーチェ様と更に親交を深めながらゆっくり嫁ぎ先を探すつもりですわ」
リリアーナはラファエロの表情を伺うように見つめながら、答えた。
「………なるほど」
普通の令嬢ならば、ラファエロがこれだけ甘い言葉を囁やけば、身を乗り出してアピールを始めるだろうが、リリアーナは決してそうやって媚びることをしない。
侯爵令嬢として相応しい立ち振舞いというものを理解している証拠だとラファエロは思う。
おそらくそれもグロッシ侯爵の教育の賜物なのだろう。
ラファエロはグロッシ侯爵に感謝しながら満足気に笑みを浮かべたのだった。
おそらくはマリカが時間稼ぎをしてくれてはいるだろうが、あまり不自然に引き止めることも出来ないだろう。
思いの外エドアルドのところで時間をくってしまったことを悔やみながら、ラファエロは逸る気持ちを抑えてやや早足で廊下を進んでいくと、俯きながら切なげに溜息をついているリリアーナが見えた。
「まあ、王弟殿下」
なんという幸運だろうか。
間に合った事に安堵し、ラファエロは平静を装って歩みを進める。
ラファエロの意図など知らないリリアーナは驚いているようだったが、ラファエロは構わずに満面の笑みを浮かべて彼女へと近づいていった。
「リリアーナ嬢。手の怪我は、大丈夫ですか?」
勿論怪我の手当はマリカに任せたのだから心配はないだろうが、それでもつい訊ねてしまう。
するとリリアーナは恥ずかしそうに俯くと、慌てたように謝罪の言葉を口にした。
「その、色々とお見苦しい所をお見せして申し訳ございませんでした」
一瞬何のことを言っているのかが分からず、謝罪された事に驚いたが、すぐにそれがジュストを殴ったことや蹴り飛ばしたこと、そして罵倒したことを指しているのだと理解し、すぐにふわりと微笑んだ。
「見苦しいだなんて思っておりませんよ。それに個人的には強い女性は好きですし」
「え…………」
気持ちを込めてそう言うと、リリアーナがはっと目を見開いた。
彼女の美しい碧の瞳が、動揺したように揺れているように見えるのは、気の所為ではない。
そんなリリアーナに、ラファエロはゆっくりと懐柔するかのような優しい口調で訊ねる。
「………リリアーナ嬢は、これからどうするおつもりですか?」
確信を持ちながらもなお、ラファエロは慎重にリリアーナの意志を確認する。
「………無事に父の思惑通りにあの狂人と婚約解消も出来たことですし、暫くはクラリーチェ様と更に親交を深めながらゆっくり嫁ぎ先を探すつもりですわ」
リリアーナはラファエロの表情を伺うように見つめながら、答えた。
「………なるほど」
普通の令嬢ならば、ラファエロがこれだけ甘い言葉を囁やけば、身を乗り出してアピールを始めるだろうが、リリアーナは決してそうやって媚びることをしない。
侯爵令嬢として相応しい立ち振舞いというものを理解している証拠だとラファエロは思う。
おそらくそれもグロッシ侯爵の教育の賜物なのだろう。
ラファエロはグロッシ侯爵に感謝しながら満足気に笑みを浮かべたのだった。
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