冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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本編

140.簒奪

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「本当に、死んだ人間に罪を着せるのが得意だな」

エドアルドは小さく呟く。

「確かに、そのとおりだ」

そこで一旦言葉を切ると、エドアルドは確認するかのように腕の中のクラリーチェに視線を移した。
その視線に、クラリーチェは、無言のまま少し目を伏せるとゆっくりと頷いた。

「………だが、トゥーリ伯爵を味方に引き入れていたと思い込んでいたことは、大きな間違いだったな。…………彼は、そなたらとのやり取りの詳細を、証拠品と共に全て私に託した。………クラリーチェの両親が、何故殺されなければならなかったのかを解き明かす事までは出来なかったがな」

周囲の貴族たちは、エドアルドの言葉に静かに耳を傾けていただけだったが、ヒソヒソと囁く声が上がり始めた。
トゥーリ伯爵が、ブラマーニ公爵やフェラーラ侯爵と懇意にしていたのは、周知の事実だった。
彼もまた、急進派の有力貴族として知られている存在だったため、まさかブラマーニ公爵家に仇をなすとは考えもしなかっただろう。

「………しかし、トゥーリ伯爵はジャクウィント女侯爵の実の伯父に当たります。つまりは陛下の身内も同然。いかようにも証拠など都合のいいように作り上げられるのでは?」

窮地に立たされてもなお、悪足掻きをしようとするブラマーニ公爵は、この上なく醜かった。

「………つまり、私が………そなたらを貶める為にそのような証拠を作り上げたと?何故そのような事をする必要がある?」

トーンと温度が一段階下がったエドアルドの声に、ブラマーニ公爵は震え上がった。

「既に国王気取りになっていて忘れているようだが、現国王はこの私だ。………そして、。………先程そなたは、貴族たちの………この私の目の前で近衛騎士に命令をした。………それは簒奪と見なされても、文句はい言えまい………?」

決定的な証拠はあくまで隠しながら、エドアルドはじわじわと包囲をしていく。

「さ………簒奪………?」

ざわり、と貴族たちがどよめいた。
確かに先程エドアルド達が正体を明かす直前に、ブラマーニ公爵はリリアーナとクラリーチェを捕らえるようにと近衛騎士に命令を出した。
それは、今度こそ言い逃れの出来ない事実だった。
何故わざわざ騙すような真似をしてまでエドアルド達が隠れていたのかが、クラリーチェにもようやく理解できた。
中々尻尾を出さず、言葉巧みに言い逃れをする公爵たちの罪を知らしめるのに一番手っ取り早い反逆罪を適応させるためだったのだ。
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