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本編
150.王とは
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否定も肯定もせずに、ブラマーニ公爵はただひたすらに床を眺めていた。
近衛騎士に押し付けられているせいか、時折ブラマーニ公爵の口から漏れる、呼吸の音がやけに耳障りに感じた。
「………結局そなたは、…………そなたの一族は、手に入らなかった栄光を追い求め、尽きることのない欲望を満たすために、罪を重ね続けた」
静かな怒りを滾らせながらエドアルドがそう呟くと、大人しくしていたブラマーニ公爵が、歯を食いしばるのが見えた。
恐らく彼は、幼い頃から曽祖父の無念を、うんざりするほど聞かされて育ってきたに違いない。
それはいつしか彼の潜在意識の中に組み込まれ、彼の狂った感覚を形成していったのだろう。
そういう意味では、彼もまた犠牲者といえるのかもしれない。
だが、彼の一族は許されない罪に手を染めた。
そんな一族を生み出したのは、他でもないキエザ王家と、エドアルド達の高祖父シルヴェリオだ。
エドアルドは、責任の一端を感じながらも、目の前の男を蔑むような視線で貫いた。
「………初めから、王の器などではなかったということかが、いい加減分からぬか?」
エドアルドの言葉に、ブラマーニ公爵は僅かに首を横に振った。
それは、彼が自分の行いを否定しようとしたのか、エドアルドの言葉を否定したのかはわからなかった。
「………それでもなお王位に拘ると言うのならば、一つ問おう。………王とは国のために存在し、国は王のために存在しているのではない。………この意味が、そなたには理解できるか?」
エドアルドは水色の瞳を細めて、ブラマーニ公爵を試すように見る。
この言葉は、エドアルドが幼い頃、在りし日の母・リオネッラから教えられた言葉だった。
王たるものが、自分の存在意義を知るための言葉だと、リオネッラはエドアルドに教えた。
それ以来、エドアルドはこの言葉の持つ意味を嫌というほど反芻し、考え続けてきた。
王とは何か。王とはどうあるべきかを、この問いから感じ取り、理解しようとしてきたのだった。
一方のブラマーニ公爵は、ゆっくりと、まるて信じられないものでも見るかのように、顔を上げると、怪訝そうに眉を顰めた。
「………やはり、答えることは出来ぬのだな………」
一時の間を置いてから、エドアルドは呆れたように呟くと、今度は力強い視線で、ブラマーニ公爵を見据えた。
「………国は、王の所有物ではない。王とは、国を動かすための駒なのだよ」
宣言するような口調で、エドアルドはそう告げた。
近衛騎士に押し付けられているせいか、時折ブラマーニ公爵の口から漏れる、呼吸の音がやけに耳障りに感じた。
「………結局そなたは、…………そなたの一族は、手に入らなかった栄光を追い求め、尽きることのない欲望を満たすために、罪を重ね続けた」
静かな怒りを滾らせながらエドアルドがそう呟くと、大人しくしていたブラマーニ公爵が、歯を食いしばるのが見えた。
恐らく彼は、幼い頃から曽祖父の無念を、うんざりするほど聞かされて育ってきたに違いない。
それはいつしか彼の潜在意識の中に組み込まれ、彼の狂った感覚を形成していったのだろう。
そういう意味では、彼もまた犠牲者といえるのかもしれない。
だが、彼の一族は許されない罪に手を染めた。
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エドアルドは、責任の一端を感じながらも、目の前の男を蔑むような視線で貫いた。
「………初めから、王の器などではなかったということかが、いい加減分からぬか?」
エドアルドの言葉に、ブラマーニ公爵は僅かに首を横に振った。
それは、彼が自分の行いを否定しようとしたのか、エドアルドの言葉を否定したのかはわからなかった。
「………それでもなお王位に拘ると言うのならば、一つ問おう。………王とは国のために存在し、国は王のために存在しているのではない。………この意味が、そなたには理解できるか?」
エドアルドは水色の瞳を細めて、ブラマーニ公爵を試すように見る。
この言葉は、エドアルドが幼い頃、在りし日の母・リオネッラから教えられた言葉だった。
王たるものが、自分の存在意義を知るための言葉だと、リオネッラはエドアルドに教えた。
それ以来、エドアルドはこの言葉の持つ意味を嫌というほど反芻し、考え続けてきた。
王とは何か。王とはどうあるべきかを、この問いから感じ取り、理解しようとしてきたのだった。
一方のブラマーニ公爵は、ゆっくりと、まるて信じられないものでも見るかのように、顔を上げると、怪訝そうに眉を顰めた。
「………やはり、答えることは出来ぬのだな………」
一時の間を置いてから、エドアルドは呆れたように呟くと、今度は力強い視線で、ブラマーニ公爵を見据えた。
「………国は、王の所有物ではない。王とは、国を動かすための駒なのだよ」
宣言するような口調で、エドアルドはそう告げた。
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