冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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本編

159.粛清(1)

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「…………さて」

エドアルドは小さく溜息をつくと、それまでことの成り行きを見守っていた貴族たちの方に視線を移した。

「まずは、折角の開港祭に水を差すような結果になってしまったことについては、後日、司祭とも話し合いの場を設け、改めて何かしら代替の場を設けることとしよう」

できる限り、穏やかに言葉を紡ぐ。
そうでもしないと、先程へと連れて行かれた者達への怒りや憎しみと、何よりも大切なクラリーチェを肝心な所で守れなかった己に対する苛立ちで、関係のない者までも傷つけそうだったからだ。

「………此度の件については、我が母や、ジャクウィント侯爵家をはじめ、罪のない命が多数失われても、それを野放しにしていた王家にも責任があると、私は考えている。………少しばかり、刷新が必要な時期に来ているようだ」

瞬き一つせずに、エドアルドはそう告げる。

「………ここで、この国は生まれ変わらなければ、いずれは他国からの侵略を受け、飲み込まれていくだろう」

キエザ王国は、豊かな資源と、強力な軍事力を有する国として知られているが、内政が揺らげば、そんなものはいとも簡単に崩れ去る。
フィリッポ王の治世において、キエザが何とか持ち堪えられたのは、王太子であるエドアルドと、それを支えたラファエロ王子の働きによるところが大きかった。

「私が即位して、後宮を解体してからというもの、請願書が多く届くようになった。………どれもこれも、笑いたくなるような内容の物がな」

後半にいくに従って、エドアルドの声が低くなっていく。

「下らない請願書を出してきた者達に問おう。………そなたらが、貴族として常に意識しなければならない事は何だ?」

耳に煩いほどの静寂が、広間を包む。
エドアルドの問い掛けの意味を、貴族達は各々考えているようだった。
堂々と正面を見据えているのは宰相であるカンチェラーラ侯爵並びにリリアーナの両親であるグロッシ侯爵夫妻、それからレッジ子爵ら穏健派に所属する貴族が数名だった。

「そなたなら何と答える、ダヴィア伯爵?」

エドアルドが一人の貴族を名指しすると、慌てた様子でダヴィア伯爵と呼ばれた人物が声を上げた。

「そ………それは勿論っ、王家への忠誠です、陛下っ!」

予想通り過ぎる答えに、エドアルドは嘆息する。

「では、そなたはどうだ?セルモンティ伯爵」
「わた………私もっ、同じです!国王陛下への、絶対的な忠誠心ですっ」

内心で呆れながら、エドアルドは次々にブラマーニ公爵家の謀略に加担していた貴族達に答えを求めていった。
王の影の調査により、彼らが王の首を挿げ替える計画に乗っていたのは知っていた。それが皆一様に、王家への忠誠を口にするのだからこんなにも滑稽なことはないだろう。

「………もういい」

最後の一人の答えを聞くと、エドアルドはカンチェラーラ侯爵を見た。

「宰相、この痴れ者共に正解を教えてやれ」
「………はい。貴族として大切な心構えは、ノブレスオブリージュ………背負うべき義務です。財産、地位、名誉………それを保持するためにはそれ相応の義務が生じる。貴族として、恥じる事の無い立ち振舞いを常に意識する事です」

カンチェラーラ侯爵の答えに、エドアルドは頷いた。
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