冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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番外編

リディアの恋(8)

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「………クラリーチェ様。想い人に気持ちが通じるというのは、どんな感じなのですか?」

湯浴みを終えたクラリーチェの髪を乾かしながら、リディアは昼間からずっと考えていた事をふと口にした。

「………突然、どうしたの?」

少し驚いたように、鏡越しにクラリーチェが瞠目した。

「テオ様………スカリオーネ伯爵子息には、想い人がいるらしくて………想い人に応えて貰えるというのは、どんな感じなのだろうと訊かれたのです」
「…………恋愛相談に乗っていた、という事?そういえばお茶会の間、ずっとスカリオーネ伯爵子息と話していたのが見えたけれど…………」
「ご、ご覧になっていたのですか?」
「ごめんなさいね。たまたま、目に入ったのよ」

別に悪いことをしていた訳ではないのに、クラリーチェにテオとのやり取りを見られていたと思うと、何だか頬が熱くなってきた。

「………そうね。中々言葉で言い表すのは難しいけれど………私の場合は、心の奥からどんどん幸せな気持ちが溢れてくるような感じだったわ」

リディアの問い掛けに応えると、クラリーチェはリディアの方を振り返った。

「…………他に、どのような話をしたのかしら?」
「え………ええと、その、私に想い人がいるのか、と訊かれました」

するとクラリーチェは、更に目を見開いた後、数回瞬きをする。

「………リディアは、何と答えたのか訊いてもいいのかしら?」
「………私にそのような事をお尋ねになっても、あまり参考にならないと思います、と…………」

今度はクラリーチェががっくりと肩を落とした後に、困ったように微笑んだ。

「………それで、スカリオーネ伯爵子息は…………?」
「そうですかと返事をしたきり、黙ってしまいました。参考にならないと分かって、気落ちされたのではないでしょうか」

クラリーチェは、小さく溜息をつくと、リディアの方へと向き直る。

「………ねぇ、リディア?一つ聞きたいのだけれど…………リディアはスカリオーネ伯爵子息の事をどう思っているのかしら?」
「え………テオ様の事を、ですか?」

今度はリディアが目を瞬いた。

「兄の部下で、兄に腕前を認められた優秀で将来有望な近衛騎士、でしょうか?」
「………そういった肩書的な事ではないの。………そうね、リディア・コルシーニはテオ・スカリオーネという殿方をどう思っているのかと訊けばいいかしら………?」

クラリーチェの問い掛けの意味が分からずに、何と答えればいいのかすらも分からない。
困惑の表情を浮かべると、クラリーチェは僅かに首を傾げる。

「その顔を見る限りは、関心がないという訳ではないようね。………リディア、今日はもう休んでいいわ。その代わり、スカリオーネ伯爵子息の事をよく考えてみてね?」
「はあ………」

リディアはクラリーチェに言われるままに、自室へと下がっていった。
その後ろ姿を、クラリーチェは微笑みながら見送るのだった。
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