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15.花束
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それから暫くの間は、ウルリヒに限らずノイマン伯爵の手の者が探っている可能性があるということで、アンネリーゼは部屋の中で過ごすことを余儀なくされた。
ジークヴァルトによって、窓辺には外から姿が見えないようにと魔法で幾重にも目隠しがされたため、かろうじて外の景色を眺めることは許されたが、アンネリーゼは窓辺には近づかなかった。
毎日、本を読んだり、刺繍をしたり、お茶を飲んだり………。
来る日も来る日も、そんな毎日を過ごすだけ。
退屈な筈なのにどこか懐かしい気がして、アンネリーゼは不思議に思った。
(わたくし、以前もこうして外に出ることなく過ごしていたのかしら)
ニーナに比べても、アンネリーゼの肌は白いというのを通り過ぎて青白いと言ったほうが適切な程だ。
元々が色白なのもあるが、外に出る機会が少なく、殆どを室内で過ごしていたせいだろう。
用意してもらったお茶を一口飲むと、ニーナが花を生けた花瓶を持って戻ってきた。
「まあ、綺麗!………そのお花は?」
白と青の花がこんもりと飾られた花瓶を、アンネリーゼはうっとりと眺めた。
「こちらは、旦那さまからの贈り物です」
満面の笑みを浮かべたニーナが、アンネリーゼのすぐ目の前のテーブルに花瓶を置く。
「え………?」
驚いて、アンネリーゼは顔を上げた。
「く、クラルヴァイン辺境伯様が、わたくしに?」
「ええ。女性は花が好きだろうから、せめて外に出られないことへの慰めに、と」
あれ以降、ジークヴァルトとは顔を合わせていない。
迂闊な行動を取ろうとした自分に、呆れたのだろうと思っていたが、まさかこんな心遣いをして貰えるとは思ってもみなかった。
「どちらも薔薇の花ですが………美しくて、まるでアンネリーゼ様みたいですね?」
「え?」
にこりと微笑みかけるニーナに、アンネリーゼは動揺を隠せない。
「白い花は、輝くプラチナブロンド、青い花は、深淵のような青い瞳。ふふ、旦那様にこんなロマンチックな所があるなんて………私、知りませんでした」
ニーナの言葉に、頬が熱くなるのを感じる。
「青い薔薇の花なんて、初めて見たわ」
恥ずかしさを誤魔化すように、珍しい青い薔薇を一輪手に取った。
「………それは、旦那様が大切にしていらっしゃる薔薇の木で、元々は紫色の花を付けていたそうなのですが、いつの間にかそのような真っ青な花に変わったのだと聞いています」
「大切にされている花を、頂いてしまっていいのかしら」
「はい。アンネリーゼ様の為にと旦那様が自らこの花を選ばれましたから」
直接手渡せばもっと良かったのに、とニーナが零した小さな呟きは、アンネリーゼの耳には届かなかった。
ジークヴァルトによって、窓辺には外から姿が見えないようにと魔法で幾重にも目隠しがされたため、かろうじて外の景色を眺めることは許されたが、アンネリーゼは窓辺には近づかなかった。
毎日、本を読んだり、刺繍をしたり、お茶を飲んだり………。
来る日も来る日も、そんな毎日を過ごすだけ。
退屈な筈なのにどこか懐かしい気がして、アンネリーゼは不思議に思った。
(わたくし、以前もこうして外に出ることなく過ごしていたのかしら)
ニーナに比べても、アンネリーゼの肌は白いというのを通り過ぎて青白いと言ったほうが適切な程だ。
元々が色白なのもあるが、外に出る機会が少なく、殆どを室内で過ごしていたせいだろう。
用意してもらったお茶を一口飲むと、ニーナが花を生けた花瓶を持って戻ってきた。
「まあ、綺麗!………そのお花は?」
白と青の花がこんもりと飾られた花瓶を、アンネリーゼはうっとりと眺めた。
「こちらは、旦那さまからの贈り物です」
満面の笑みを浮かべたニーナが、アンネリーゼのすぐ目の前のテーブルに花瓶を置く。
「え………?」
驚いて、アンネリーゼは顔を上げた。
「く、クラルヴァイン辺境伯様が、わたくしに?」
「ええ。女性は花が好きだろうから、せめて外に出られないことへの慰めに、と」
あれ以降、ジークヴァルトとは顔を合わせていない。
迂闊な行動を取ろうとした自分に、呆れたのだろうと思っていたが、まさかこんな心遣いをして貰えるとは思ってもみなかった。
「どちらも薔薇の花ですが………美しくて、まるでアンネリーゼ様みたいですね?」
「え?」
にこりと微笑みかけるニーナに、アンネリーゼは動揺を隠せない。
「白い花は、輝くプラチナブロンド、青い花は、深淵のような青い瞳。ふふ、旦那様にこんなロマンチックな所があるなんて………私、知りませんでした」
ニーナの言葉に、頬が熱くなるのを感じる。
「青い薔薇の花なんて、初めて見たわ」
恥ずかしさを誤魔化すように、珍しい青い薔薇を一輪手に取った。
「………それは、旦那様が大切にしていらっしゃる薔薇の木で、元々は紫色の花を付けていたそうなのですが、いつの間にかそのような真っ青な花に変わったのだと聞いています」
「大切にされている花を、頂いてしまっていいのかしら」
「はい。アンネリーゼ様の為にと旦那様が自らこの花を選ばれましたから」
直接手渡せばもっと良かったのに、とニーナが零した小さな呟きは、アンネリーゼの耳には届かなかった。
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