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47.聖殿へ
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翌日。
アンネリーゼは真っ白なドレスを身に纏い、聖殿を訪れていた。
白のドレスは、巫女姫として選ばれた令嬢のみが着用を許される正装らしい。
「ようこそいらっしゃいました、モルゲンシュテルン侯爵令嬢」
姿を現したのは、柔和な雰囲気の老年男性だった。
「あの………」
「陛下からご令嬢の身に起きた事についてはお伺いしておりますよ。………私は、ヴァルツァー王国の聖殿を預かる神官イェルクと申します」
アンネリーゼに向かって丁寧に挨拶をするイェルクに、アンネリーゼもお辞儀をした。
「本日お越しになられた理由も、記憶喪失の件ではございませんかな?」
イェルクの優しさを湛えたオリーブ色の瞳が、アンネリーゼを見つめる。
「イェルク様は全てお見通しなのですね」
アンネリーゼが微笑むと、イェルクも微笑み返す。
「今までの経験に基づく年寄の勘、とでも申し上げておきましょうかね」
聖殿内の小さな室内に、イェルクの嗄れた、けれども聞く者を安心させるような不思議な声が反響する。
「………ご心配は無用ですよ。魔力と記憶は無関係ですから、『巫女姫』様としてお務めをしていただくのには支障はございません」
イェルクはアンネリーゼが最も心配していた事を、きっぱりと否定した。
「実のところ、巫女姫はあくまで女神の意思によって選ばれます。魔力の量や、適正も関係はあるのでしょうが………一度選ばれればたとえ魔力を失ったとしても祈りを捧げることは出来るのだそうですよ」
「え…………?」
それは、意外な事実だった。
「過去にそういった事例はあったそうです。女神信仰の歴史は古いですからね。魔枯病を発症して魔力を失われた方や中には祈りを捧げる前に病で命を落とした方もいらっしゃったとの記録が確認出来ました」
淡々と説明をするイェルクの言葉の中に、あの本の物語と合致する内容が含まれていることに、アンネリーゼは瞠目した。
「イェルク様………その、病で亡くなられた巫女姫という方は………?」
意識したわけではないのに、声が震える。
「数百年程前の話だというのですが………巫女姫に選ばれたご令嬢は病弱な方で、フォイルゲンとクルツでの務めを果たされた後、ヴァルツァーでの務めの前に病没されたのです。それにより女神の加護が失われ、我が国は魔物どもの襲撃を受けるようになりました。その後に選ばれた巫女姫により現在は随分と良くなりましたが………」
確かに、ヴァルツァーは他国に比べると魔獣や魔物の出現率が高い。
数百年も前の出来事が未だに尾を引いているという事実に、アンネリーゼは驚いた。
アンネリーゼは真っ白なドレスを身に纏い、聖殿を訪れていた。
白のドレスは、巫女姫として選ばれた令嬢のみが着用を許される正装らしい。
「ようこそいらっしゃいました、モルゲンシュテルン侯爵令嬢」
姿を現したのは、柔和な雰囲気の老年男性だった。
「あの………」
「陛下からご令嬢の身に起きた事についてはお伺いしておりますよ。………私は、ヴァルツァー王国の聖殿を預かる神官イェルクと申します」
アンネリーゼに向かって丁寧に挨拶をするイェルクに、アンネリーゼもお辞儀をした。
「本日お越しになられた理由も、記憶喪失の件ではございませんかな?」
イェルクの優しさを湛えたオリーブ色の瞳が、アンネリーゼを見つめる。
「イェルク様は全てお見通しなのですね」
アンネリーゼが微笑むと、イェルクも微笑み返す。
「今までの経験に基づく年寄の勘、とでも申し上げておきましょうかね」
聖殿内の小さな室内に、イェルクの嗄れた、けれども聞く者を安心させるような不思議な声が反響する。
「………ご心配は無用ですよ。魔力と記憶は無関係ですから、『巫女姫』様としてお務めをしていただくのには支障はございません」
イェルクはアンネリーゼが最も心配していた事を、きっぱりと否定した。
「実のところ、巫女姫はあくまで女神の意思によって選ばれます。魔力の量や、適正も関係はあるのでしょうが………一度選ばれればたとえ魔力を失ったとしても祈りを捧げることは出来るのだそうですよ」
「え…………?」
それは、意外な事実だった。
「過去にそういった事例はあったそうです。女神信仰の歴史は古いですからね。魔枯病を発症して魔力を失われた方や中には祈りを捧げる前に病で命を落とした方もいらっしゃったとの記録が確認出来ました」
淡々と説明をするイェルクの言葉の中に、あの本の物語と合致する内容が含まれていることに、アンネリーゼは瞠目した。
「イェルク様………その、病で亡くなられた巫女姫という方は………?」
意識したわけではないのに、声が震える。
「数百年程前の話だというのですが………巫女姫に選ばれたご令嬢は病弱な方で、フォイルゲンとクルツでの務めを果たされた後、ヴァルツァーでの務めの前に病没されたのです。それにより女神の加護が失われ、我が国は魔物どもの襲撃を受けるようになりました。その後に選ばれた巫女姫により現在は随分と良くなりましたが………」
確かに、ヴァルツァーは他国に比べると魔獣や魔物の出現率が高い。
数百年も前の出来事が未だに尾を引いているという事実に、アンネリーゼは驚いた。
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