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71.罪悪感
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「………夢、というのは少し違うかもしれません」
アンネリーゼは震える手をぎゅっと握りしめた。
「夢を見たのは間違いないのですが………失くした記憶の一部…………わたくしの亡くなった婚約者が、殺される瞬間の夢を見たのです」
ゆっくりと起き上がると、寝台の縁まで移動する。
夜着がべっとりと体に貼り付いて、不快だった。
「記憶の一部………。失くされた記憶を思い出されたのですか?」
何故かジークの表情が強張ったように見えて、アンネリーゼは違和感を覚える。
「断片的に、ですが………」
からからに干からびた唇から漏れる吐息が、ひどく熱く感じた。
「でも、思い出したのはクレーデル伯爵子息の顔と、彼と交わした最期の言葉だけです」
ジークが自分の事情をどこまで知っているのかは分からなかったが、納得したように頷いた。
「そうですか………記憶の全てを取り戻した訳ではないのですね?」
ジークを見上げると、彼の茶色い瞳に切ないような、それでいて安堵したような不思議な感情が浮かぶのが見て取れた気がした。
「………全て、思い出せれば良かったのですけど………」
アンネリーゼは申し訳なさそうに俯いた。
「………クレーデル伯爵子息は、巫女姫様の婚約者でもあられたのでしたね」
ぽつりと落とされたジークの言葉は、どこか苦しげに聞こえる。
もしかしたら、同じ騎士同士で面識があったのかもしれないとアンネリーゼは思った。
「彼を………ルートヴィヒ様をご存知なのですか?」
「あ、いえ………そういう訳ではありません。私は、騎士ですが訳あって王都ではなく別の場所にいましたから、面識はありません。ただ、イェルク殿からそのような話を聞いたので………」
ジークは、それ以上この話題に触れられたくないとでも言うように、ふいっと顔を反らした。
「………わたくしがいけないのです」
アンネリーゼが更に俯くと、プラチナブロンドの長い髪がはらりと顔に掛かった。
「しかし、クルツ大公閣下も仰っていたではありませんか。巫女姫様は悪くないと………!」
あまり感情を顕にしないジークが、声を荒らげた。
「それは、分かっています。しかし、わたくしが安易な行動を取っていなければ、彼は………ルートヴィヒ様は今もお元気でいらっしゃったかもしれません………」
目を閉じると、先程夢で見た光景がまざまざと浮かび上がってくるようだった。
自分を呼ぶ声を探し、森の奥に一人で入ったせいで、彼を巻き込んでしまったという罪悪感が、アンネリーゼを支配した。
アンネリーゼは震える手をぎゅっと握りしめた。
「夢を見たのは間違いないのですが………失くした記憶の一部…………わたくしの亡くなった婚約者が、殺される瞬間の夢を見たのです」
ゆっくりと起き上がると、寝台の縁まで移動する。
夜着がべっとりと体に貼り付いて、不快だった。
「記憶の一部………。失くされた記憶を思い出されたのですか?」
何故かジークの表情が強張ったように見えて、アンネリーゼは違和感を覚える。
「断片的に、ですが………」
からからに干からびた唇から漏れる吐息が、ひどく熱く感じた。
「でも、思い出したのはクレーデル伯爵子息の顔と、彼と交わした最期の言葉だけです」
ジークが自分の事情をどこまで知っているのかは分からなかったが、納得したように頷いた。
「そうですか………記憶の全てを取り戻した訳ではないのですね?」
ジークを見上げると、彼の茶色い瞳に切ないような、それでいて安堵したような不思議な感情が浮かぶのが見て取れた気がした。
「………全て、思い出せれば良かったのですけど………」
アンネリーゼは申し訳なさそうに俯いた。
「………クレーデル伯爵子息は、巫女姫様の婚約者でもあられたのでしたね」
ぽつりと落とされたジークの言葉は、どこか苦しげに聞こえる。
もしかしたら、同じ騎士同士で面識があったのかもしれないとアンネリーゼは思った。
「彼を………ルートヴィヒ様をご存知なのですか?」
「あ、いえ………そういう訳ではありません。私は、騎士ですが訳あって王都ではなく別の場所にいましたから、面識はありません。ただ、イェルク殿からそのような話を聞いたので………」
ジークは、それ以上この話題に触れられたくないとでも言うように、ふいっと顔を反らした。
「………わたくしがいけないのです」
アンネリーゼが更に俯くと、プラチナブロンドの長い髪がはらりと顔に掛かった。
「しかし、クルツ大公閣下も仰っていたではありませんか。巫女姫様は悪くないと………!」
あまり感情を顕にしないジークが、声を荒らげた。
「それは、分かっています。しかし、わたくしが安易な行動を取っていなければ、彼は………ルートヴィヒ様は今もお元気でいらっしゃったかもしれません………」
目を閉じると、先程夢で見た光景がまざまざと浮かび上がってくるようだった。
自分を呼ぶ声を探し、森の奥に一人で入ったせいで、彼を巻き込んでしまったという罪悪感が、アンネリーゼを支配した。
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