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77.呪われた騎士(SIDE:ジークヴァルト)
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ジークヴァルトはただじっと、アンネリーゼが潔斎を終えるまでの間を扉の外で待っていた。
真っ白な聖殿は、清廉な空気に満たされていて、懐かしくもあり、同時にジークヴァルトには重苦しく感じられた。
魔族であるダミアンは、いくらジークヴァルトの使い魔となる契約を結んでいるとは言っても、神域である聖殿に入ることは叶わない。
何故なら、神族と魔族は敵対する、互いに相容れない存在だからだ。
しかしダミアンとは異なり、ジークヴァルトは特異な存在だ。
魔族の呪いをその身に受け、魔族の従者を持った、魔族と戦う事を存在意義としている騎士。
魔族に属するでもなく、かといってヒトでもない彼を、女神は自らの神域に立ち入ることを赦した。
だが、純粋にヒトだった頃に比べると、聖殿内で受ける圧迫感は凄まじいものだった。
「弾き出されなかっただけ、マシだな」
愛剣を握りしめると、自嘲の笑みを浮かべた。
今彼の手にある剣は、ジークヴァルトが初めて護衛騎士になった時に巫女姫から下賜されたものだ。
それは、ヴァルツァー王国の至宝とも呼ばれるもので、女神が地上を去る際に残したと言われる剣だ。
自らの意思を持ち、使い手を選ぶというその剣は、ジークヴァルトの手に渡ってから数百年の時を経てもなお、輝きを失うことはなかった。
「彼女を守ることも出来ず、国の危機を防げず、自らは呪われ、老いる事も死ぬ事も出来なくなった化け物を拒まないとは、女神様は本当に慈悲深い御方なのだろうな」
今の自分は、生物の理からも外れた異形の存在。
食事をしなくとも、眠らなくとも、全く問題はない。
あの『禍月の魔女』の呪いを受けた直後、どんなに傷ついても死なない体に、喜びすら感じていた。
死や老いを恐れることなく、思う存分憎い魔族を殺し続ける事が出来るから。
だが、近しい人達が皆老いて死んでいくのを目の当たりにしたジークヴァルトは、その考えが間違っていたということに気がつく。
ジークヴァルトの時計だけが、皆と違って壊れてしまった。
永遠に訪れることのない終わりを夢見ながら、共に生きることの出来ない苦しみを、味わい続けるしかない。
そんな彼を、人々は化け物と呼んだ。
役目を果たせず、あまつさえヴァルツァー王国を危機に陥れた巫女姫の、護衛騎士という立場は、国民の立場からしたら、赦せないものがあったのだろう。
だが、彼女とて死にたくなどなかったはずだ。
ジークヴァルトは、彼女を思い起こしながらぎゅっと唇を噛んだ。
真っ白な聖殿は、清廉な空気に満たされていて、懐かしくもあり、同時にジークヴァルトには重苦しく感じられた。
魔族であるダミアンは、いくらジークヴァルトの使い魔となる契約を結んでいるとは言っても、神域である聖殿に入ることは叶わない。
何故なら、神族と魔族は敵対する、互いに相容れない存在だからだ。
しかしダミアンとは異なり、ジークヴァルトは特異な存在だ。
魔族の呪いをその身に受け、魔族の従者を持った、魔族と戦う事を存在意義としている騎士。
魔族に属するでもなく、かといってヒトでもない彼を、女神は自らの神域に立ち入ることを赦した。
だが、純粋にヒトだった頃に比べると、聖殿内で受ける圧迫感は凄まじいものだった。
「弾き出されなかっただけ、マシだな」
愛剣を握りしめると、自嘲の笑みを浮かべた。
今彼の手にある剣は、ジークヴァルトが初めて護衛騎士になった時に巫女姫から下賜されたものだ。
それは、ヴァルツァー王国の至宝とも呼ばれるもので、女神が地上を去る際に残したと言われる剣だ。
自らの意思を持ち、使い手を選ぶというその剣は、ジークヴァルトの手に渡ってから数百年の時を経てもなお、輝きを失うことはなかった。
「彼女を守ることも出来ず、国の危機を防げず、自らは呪われ、老いる事も死ぬ事も出来なくなった化け物を拒まないとは、女神様は本当に慈悲深い御方なのだろうな」
今の自分は、生物の理からも外れた異形の存在。
食事をしなくとも、眠らなくとも、全く問題はない。
あの『禍月の魔女』の呪いを受けた直後、どんなに傷ついても死なない体に、喜びすら感じていた。
死や老いを恐れることなく、思う存分憎い魔族を殺し続ける事が出来るから。
だが、近しい人達が皆老いて死んでいくのを目の当たりにしたジークヴァルトは、その考えが間違っていたということに気がつく。
ジークヴァルトの時計だけが、皆と違って壊れてしまった。
永遠に訪れることのない終わりを夢見ながら、共に生きることの出来ない苦しみを、味わい続けるしかない。
そんな彼を、人々は化け物と呼んだ。
役目を果たせず、あまつさえヴァルツァー王国を危機に陥れた巫女姫の、護衛騎士という立場は、国民の立場からしたら、赦せないものがあったのだろう。
だが、彼女とて死にたくなどなかったはずだ。
ジークヴァルトは、彼女を思い起こしながらぎゅっと唇を噛んだ。
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