呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

玉響

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145.尋問

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「ならば、彼らに刻まれた魔呪を解いて差し上げた方が魔女についての情報が得られるのではないのですか?」

ジークヴァルトは男に視線を向けたまま、ゆっくりと首を横に振った。
怒りの為なのか、擬態した茶色の瞳がチカチカと時折金色に変化して板が、すっかり血の気を失った男はそんな事を気にする余裕など無いようだった。

「あなたの意見は尤もだ。しかし、あの女は俺が魔呪に気がつく事を分かっていながら、敢えて術を使っているのだろう。………奴が何を企んでいるのかは分からないが、奴の思惑通りになどさせるつもりは微塵もない。何の言葉が琴線に触れるかは分からないから、念の為に喋るなと命じただけだから、そんなに不安がることはない」

ジークヴァルトが発したのは、恐ろしい程に静かな声だった。

「流石は主。そこまで考えていらっしゃったのですね。………その面倒な魔呪の解除は私が引き受けましょう。取り敢えず先に主が確認されたい事だけお尋ね下さい」

ダミアンがにこりと微笑むと、ジークヴァルトは頷いた。
種族を超越した主従関係は、強い信頼関係で結ばれていることが伺える。

ジークヴァルトは怒りの表情を収めると、意識を再び無様に転がる男へと向けた。

「では問おう。………お前達の雇い主は、クラネルト男爵か?」

小刻みに震える男の首が、ゆっくりと縦に動くのを、ジークヴァルトの双眸が捉える。

「直接、男爵に会ったか?」

今度はふるふると横に首が動く。

「狙いは、巫女姫か?」

これは是だった。

「護衛騎士である俺も、襲撃対象に含まれていたのか?」

今度の質問は、否。

「そもそも俺の存在について男爵サイドから言及があったのか?」

再び否の答えが返ってくるのを確認して、ジークヴァルトは短く溜息をついた。

「………もういい。訊きたい事は訊いたから充分だ。………後は任せたぞ、ダミアン」
「畏まりました」

僅かに目を伏せると、ジークヴァルトはアンネリーゼを伴ってその場を立ち去ろうと踵を返した。

「………心配はいらない。あとはダミアンが上手く処理してくれる」
「………はい」

アンネリーゼは頷くと、促されるままに歩き出す。

「………先程の質問だけで、本当に知りたいことは分かったのですか?」
「ああ。………あれだけ分かれば充分だ」

ジークヴァルトの瞳が、黄金の輝きを取り戻す。

「詳しい事は、侯爵を交えて話をすることにしよう」

きっぱりとそう告げたジークヴァルトの金色の双眸は、強い感情を秘めて真っ直ぐに前を向いていた。
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