呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

玉響

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194.勝算

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火には水を。
闇には光を。
フローラの攻撃を躱しては攻撃を繰り出す。
魔力にはそこそこ自信があったが、フローラは思った以上に手強かった。

恐らく、もうフローラの自我は殆ど失われていて、あの身体を動かしているのは彼女のナカにいるモノ達だろう。
そのせいなのか、それとも肉体イレモノが傷付くことも厭わないせいなのか、無茶な攻撃が多く、アンネリーゼは思うように攻撃出来なかった。

その時、少し離れた場所で戦うジークヴァルト方から、衝撃波が起こるのを感じ、アンネリーゼは振り返ったが、光の柱のせいで視界が悪く、ジークヴァルトの様子を覗う事は出来なかった。

「ジーク様…………」
「よそみするなんて、よゆうね?」

やや落ち着きを取り戻したらしいフローラが虚ろな目でアンネリーゼを見つめている。
身体のあちこちに無数の切り傷が出ているのは同じだが、フローラにはあまりダメージがないようだ。

このまま持久戦に持ち込まれたら、体力のないアンネリーゼの方が圧倒的に不利となる。

何よりも、早く方を付けてこの魔法陣を消し去らなければ大変なことになってしまう。
焦りにも似た気持ちを、何とか理性で抑え込むと、アンネリーゼは深呼吸をしながら考えを巡らせた。

それぞれの属性での攻撃が効かないとなると、何か別の方法でフローラを抑え込む必要がある。

攻撃を躱されないように動きを封じて攻撃するか、逃げる事すら出来ない程に立て続けに攻撃をするか。
だが、どちらの方法も一つ大きな問題があった。
それは、複数の属性の魔法を同時に使う事。

過去に魔術士が何度も挑戦をしたというが、膨大な魔力と、複数の属性との相性もあり、成功例は数える程しかなかったという。

「…………でも、やってみないと判らないわ」

フローラの耳には届かぬ程の小さな声でアンネリーゼは呟くと、ぎゅっと掌を握りしめた。
勝算を見出すとしたら間違いなくこれだろうと感じたアンネリーゼは、ゆっくりと唇を開いた。

「我、命を育む大地と空を照らす光の精霊の名を知る者」

静かな声で詠唱を始めると、場の雰囲気が変わったような気がした。

「なにをしても、むだなのに………ばかなひと」

フローラは感情の欠落した声で、フローラがあざ笑うが、アンネリーゼは気にも止めずに魔力を高めることに集中した。

拘束リガーレ光の刃ルークス・ラーミナ

一呼吸置いてから、アンネリーゼは意を決したように、手をかざした。
途端に、膨大な魔力がアンネリーゼの周囲を渦巻き始めた。

「なに…………?」

フローラの表情が、初めて狼狽えたように見えた。
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