呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

玉響

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195.勝敗

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体の中から、凄まじい勢いで魔力が湧き上がるのを感じた。
それはまるで聖殿にある女神の祭壇の前で祈りを捧げる時のようだとアンネリーゼは感じた。

「……………っ!」

腕や足が、ビリビリと痺れるような感覚がアンネリーゼを襲うが、歯を食いしばると更に魔力を込める。
恐らくは、強力な魔力が放出される事で肉体に負荷が掛かっているのだろう。

それでも、ここで倒れるわけにはいかないのだと己を叱咤し、アンネリーゼは両手のひらに意識を集中させた。

「こんなことをしても、わたしにはきかないわ……………」

土属性の魔法により動きを封じられたフローラは、アンネリーゼの攻撃に対抗しようと闇魔法を繰り出した。

フローラは魔物だけではなく、全く無関係の、ただ運悪くそこに居合わせただけの罪なき人達から魔力と命を奪い取っており、その分だけ魔力も本来よりも上がっている。

強力な闇魔法と、光魔法が正面からぶつかりあった。

「……………………っ」

先程のジークヴァルト達の方で起こった衝撃波とは比べ物にならない程の、衝撃が起こり、息ができないほどの埃と熱が襲ってきた。
同時に、フローラの魔力がアンネリーゼを退けようと押して来るのが分かる。
重くて、痛い。
押しつぶされそうな圧力に力一杯踏ん張るが、アンネリーゼは既に満身創痍の状態だ。
弾き飛ばされなかっただけマシなのだろうとアンネリーゼはぼんやりと思った。

相反する魔力の鬩ぎ合いは暫くの間続いていたが、ふっとフローラの魔力が弱まった。
強烈な向かい風が急に止んだような感覚に、アンネリーゼはぎゅっと目を瞑り、更に魔力を込めた。

「ガ………アアアアアッ!!」

フローラのものとも、魔物達のものともつかない咆哮が、響き渡った。
同時に先程とはまた別の轟音が辺りに響き渡るのを耳にして、アンネリーゼは魔力の放出を止める。

指先も、腕も足も、ビリビリと痺れが走っていた。
いつの間にか額には汗が滲み、息も上がっている。
はっきり言って、立っていることがやっとの状態だった。

「フローラ、様…………?」

フローラを覆い隠していた土煙が少しずつ引いていくのを見つめながら、アンネリーゼは静かに彼女の名を呼んだかが、当然返事など返ってこなかった。
アンネリーゼは魔力の放出の反動により鉛のように重く感じる体を引きずるように、ゆっくりとフローラのほうへと近づいていく。
アンネリーゼの魔力によって抉られた地面に、瓦礫まみれになりながら倒れているフローラの姿が目に入った。
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