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本編
第十三話
「いや、俺は、別にエスコートしていたわけではないぞ!」
その言い訳は無理があるでしょう。昨日の夜会はアーロン様に呼び出されたから渋々出席したけれど、私はエスコートなしで、現れたアーロン様はボニータ嬢をエスコートしてらっしゃいましたからね。
「あの、よろしいでしょうか」
脇に控えていたひとりの令息が声を上げた。
「許す」
「ありがとうございます。アーロン殿は、エリーゼ嬢と婚約してからも頻繁に別のご令嬢と夜会に出席されておりました。ここ最近はそちらのボニータ嬢と御一緒でしたが………」
「な、何を言うんだ、ロイ!」
あの方は確かアーロン様のご友人のハーコット伯爵令息。
「………それは本当か、アーロン」
ジャーマンダー公爵様の声が、響いた。それは地を這うような、とても低い声。
「いや、あの………父上、違うのです………」
「言い訳など要らん。本当かと訊いているのだ」
アーロン様の顔色がみるみる青ざめていくわ。おおかた、私と夜会に出掛けているとでも報告していたのでしょうね。いくら公爵様が社交場である夜会や舞踏会に顔を出さないとはいえ、いつかバレてしまうような嘘を簡単につくのは本当に愚か者ですわね。
「そ、それは………」
「答えられんのか?では、お前の友人に確認しよう。陛下、よろしいでしょうか」
「許す」
公爵は、ハーコット伯爵令息達の方へと視線を向けた。
「誰か、証言できる者は?」
「はい。私はアルテミシア侯爵家のビクターと申します。アーロン殿はがエリーゼ嬢をエスコートしたのを見たのは、エリーゼ嬢の申された通り一度だけで、その後は夜会や舞踏会の度に違う令嬢をお連れになって、私達に自慢しておりました。数ヶ月前からそちらのビッテルハイム男爵令嬢を伴う様になり、人目を憚らず口付けをするのを何度も目撃致しました。それに、昨夜の夜会で、そちらのボニータ嬢が、その………アーロン様と体を重ねたと、証言しているのを聞きました」
周囲の方々も頷いている。
アーロン様、四面楚歌ですわね。あの方の事ですから、ご自分が他の方より優れていると認められたくて自慢したのでしょうけど、不貞を自ら暴露していると考えないところが愚かですわね。
「………そうか。アーロン、何か申し開きはあるか」
「それはっ………」
アーロン様の顔が絶望に染まる。
「体を重ねたなんて言ってないですぅ。あたしは、一回ヤッたって言っただけですよ~?」
謁見の間全体が、一瞬で凍りついた。
………この上なく、下品だわ。
その言い訳は無理があるでしょう。昨日の夜会はアーロン様に呼び出されたから渋々出席したけれど、私はエスコートなしで、現れたアーロン様はボニータ嬢をエスコートしてらっしゃいましたからね。
「あの、よろしいでしょうか」
脇に控えていたひとりの令息が声を上げた。
「許す」
「ありがとうございます。アーロン殿は、エリーゼ嬢と婚約してからも頻繁に別のご令嬢と夜会に出席されておりました。ここ最近はそちらのボニータ嬢と御一緒でしたが………」
「な、何を言うんだ、ロイ!」
あの方は確かアーロン様のご友人のハーコット伯爵令息。
「………それは本当か、アーロン」
ジャーマンダー公爵様の声が、響いた。それは地を這うような、とても低い声。
「いや、あの………父上、違うのです………」
「言い訳など要らん。本当かと訊いているのだ」
アーロン様の顔色がみるみる青ざめていくわ。おおかた、私と夜会に出掛けているとでも報告していたのでしょうね。いくら公爵様が社交場である夜会や舞踏会に顔を出さないとはいえ、いつかバレてしまうような嘘を簡単につくのは本当に愚か者ですわね。
「そ、それは………」
「答えられんのか?では、お前の友人に確認しよう。陛下、よろしいでしょうか」
「許す」
公爵は、ハーコット伯爵令息達の方へと視線を向けた。
「誰か、証言できる者は?」
「はい。私はアルテミシア侯爵家のビクターと申します。アーロン殿はがエリーゼ嬢をエスコートしたのを見たのは、エリーゼ嬢の申された通り一度だけで、その後は夜会や舞踏会の度に違う令嬢をお連れになって、私達に自慢しておりました。数ヶ月前からそちらのビッテルハイム男爵令嬢を伴う様になり、人目を憚らず口付けをするのを何度も目撃致しました。それに、昨夜の夜会で、そちらのボニータ嬢が、その………アーロン様と体を重ねたと、証言しているのを聞きました」
周囲の方々も頷いている。
アーロン様、四面楚歌ですわね。あの方の事ですから、ご自分が他の方より優れていると認められたくて自慢したのでしょうけど、不貞を自ら暴露していると考えないところが愚かですわね。
「………そうか。アーロン、何か申し開きはあるか」
「それはっ………」
アーロン様の顔が絶望に染まる。
「体を重ねたなんて言ってないですぅ。あたしは、一回ヤッたって言っただけですよ~?」
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………この上なく、下品だわ。
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