婚約破棄から始める真実の愛の見つけ方

玉響

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本編

第十五話

「それは、その女が………」
「私はその場で一部始終を見ていたが、エリーゼ嬢は何一つ間違ったことは言っていなかった。理路整然としていて、素晴らしかった。そんな彼女に言葉で勝てなかったからと手を上げたのだから、反論の余地のなどないだろう。あぁ、不敬罪の件だが分からぬようだから教えてやろう。あの場でそなたは私の事を貴様呼ばわりした。知らぬこととはいえ、その後、私に対して謝罪の言葉すらないとなれば、不敬罪は当然であろう?」

殿下の眼差しは、氷の様に冷たく、鋭い。

「もっ、申し訳ございませんでした!!謝罪の機会がなかっただけなのです!!お許しください!!」
「もう遅い。それにそなたの処遇は既に決まっている。今更謝罪したところで取り消されることはない」
「そんなぁ………」

アーロン様は大粒の涙を零して、人目を憚らずに泣き出した。
愚かな方。取り返しのつかないところに来て始めて自分の行いを悔いるなんて、本当に愚かな方。

「ねぇ、ジェイド様ぁ。あたしは何で処刑されなきゃいけないの~?」

………呆れたわ。本当に無知で空気の読めないご令嬢だこと。きっとまともな教育は受けていないのね。

「………そなたは誰の許可を得て私の名を口にしているのだ?」
「え~?夜会のときに名乗ったんだから、許可なんていらないでしょ。そんなことより、ねぇ。ボニーの体、好きにしていいから、ボニーだけでも許してぇ♡」

この髪の色も頭の中もピンク色のバカ娘、早く殺してほしくてわざと言っているのかしら。とても正気の沙汰とは思えない発言が多過ぎるわ。
私は、玉座で顔面蒼白になっている陛下と、その隣で全身から抑えきれない怒気を滲ませている殿下を、どこか冷ややかな気持ちで見つめていた。
………この国は、終わったわ。あの時の嫌な予感は早速的中したのね。

「黙れ、この肉団子女!!」
「ぴぇっ?!」

大声で叫んだのは、陛下だった。きっと、私と同じようなこの国の未来を想像したのだろう。
陛下の叫びで、ボニータを取り押さえていた衛兵たちが、ボニータを床に押さえつけた。
………それにしても、肉団子女って………まさか胸の事ですの?
肉団子、潰れてしまいましたけど。

「黙って聴いていれば………そなたの罪は重罪中の重罪だ!そなたの言動は我が国の風紀を乱した。そなたは父親と結託し、体を売る事で裕福な商人達から金品を受け取る娼婦まがいの行いまでしていたそうではないか!そんな汚れた体で神聖なるエルカリオン王国の王子殿下に色仕掛など、言語道断!………衛兵、そこのビッテルハイム男爵も取り押さえておけ。そのような娘を育てた罪で磔の刑を言い渡す」
「なっ………!」

ビッテルハイム男爵は、ぎょろっとした目を白黒させ、剣を向けて取り囲む衛兵達から距離を取ろうとする。

「陛下、勘違いです!私も、娘もそんな事は知りません!誰かが我々を陥れようと………!」

そんな薄っぺらい言い訳、誰が耳を傾けると思っておりますの?
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