婚約破棄から始める真実の愛の見つけ方

玉響

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本編

第四十三話

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「ジェイド様が怒る理由が、私には理解出来ませんでしたの」

私はキャメロット公爵邸に帰ると、お義母様達に今日の出来事を聞いていただきました。

「ふふふ。エリーゼちゃん、まだまだ修行が足りないわね。いい?男っていう生き物はね、自分が一番になりたいの。頼られたいのよ」

お義母様が、何やら意味深な笑顔を浮かべる。

「そういうものですか?」
「そうよ。特にね、若くてプライドの高い人ほどそういう傾向があるのよ」

………なるほど。言われてみれば、アーロン様はその典型だわ。私がマナー違反を指摘したら怒鳴るし、勉強不足を窘めたらお茶をかけられたりしましたわね。
あの方は変な風にプライドが高かったですから、お義母様の分析は正しいのかもしれませんわ。

「では、どうすれば良いのでしょう?」
「そういう時はね?………………すればいいのよ」

お義母様が私の耳元で囁く。

「え?それは………」
「大丈夫、大丈夫!夜会の時にでも、試してごらんなさいな?私もそうやって、殿方を手懐けてきたのよ?」

お義母様が楽しそうに笑っている。私は別にジェイド様を手懐けたい訳ではないのですけれど………。
お義父様は、訝しげな顔をして、お義母様を見ていた。

「ミリー、一体何を吹き込んだんだ?」
「ふふふ。殿方には関係のないことですわ」
「いや、大ありだろう。お前は虫も殺さぬ顔をして、えげつない事を考えるからなぁ」
「………それはどういう意味なのかしらねえ、ダーリン?」
「ひっ!」

お義母様は、キャメロット公爵家の影の支配者という訳ですわね。さすがですわ。
私は静かにお茶を口にした。

「そ、そうだ。エリーゼ、今度の夜会の件だが………」

お義父様がは話を逸して私に話しかけてくる。

「ドレスの件でしたら先程お話した通り、ジェイド様が………」
「あぁ、それは殿下から聞いているから心配ないよ。うちは財政面も含め君を支援する気なのだけれどね。………ではなくて、主催者のグラッドフォード公爵家だが、念の為気をつけておきなさい」

お義父様の表情が変わった。これはキャメロット公爵家当主としての顔ですわね。

「理由をお聞かせ願えますか?」
「グラッドフォード公爵は、悪い人ではないのだが………その、属国の貴族を留学や遊学で受け入れる事自体をあまり良く思ってらっしゃらないのだ」

………つまり、他所者を嫌う傾向の方ということね。
一定数そういう方がいらっしゃるのは分かっていた事ですものね。

「分かりましたわ。ご忠告ありがとうございます」

いつぞやの、悪夢の夜会の再現にならなければよいのですけれど。
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