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本編
第七十ニ話
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でも、テオ様はジェイド様に重傷を負わせた事に罪悪感を覚えて、こちらに顔を出したのよね。
テオ様って、何を考えてらっしゃるのか分からない、ミステリアスなところのある方だけど、決して悪い人ではありませんからね。
でも、私に謝罪するのは少し違うのではないでしょうか?確かに心配はしましたけど。
「う………」
「ジェイド様?!」
ジェイド様が、また呻き声をあげる。
同時にジェイド様の、きれいな琥珀色の瞳が長いまつげの間から僅かに覗いて、ゆっくりと開いていった。
「ジェイド様!私が分かりますか?」
私は、慌ててジェイド様の顔を覗き込む。
「エリーゼ………?」
「ジェイド様………良かった………意識が戻られたのですね」
私は、全身から一気に緊張が抜けていくのを感じた。
「私は………っつう………」
「ジェイド様!」
起き上がろうとしたジェイド様が、痛みに顔を歪める。
「殿下。お怪我をなさっているんですから、起き上がろうとしないでください」
お医者様が、慌てて止める。
「私は………そうだ、兄上と………」
「かなり傷口が深い部分もあります。なるべく安静にしてお過ごし下さい。今、鎮痛剤を調合して参ります」
そう言って、お医者様が部屋を出ていった。
「エリーゼが、なぜここに………?」
熱にうなされていたからか、ジェイド様の声がかすれている。それでも、間近でジェイド様の声が聞ける事に、こんなに安堵するなんて………。
「サイラス様が、キャメロット公爵邸まで知らせに来てくださったのです。うなされて、私を呼んでいると………。私、ジェイド様が心配で、お側にいたくて、こちらまでお連れいただきました」
そこまで言って、私ははっと気がついた。………それはあなたが好きですと言っているようなものではないの?何を口走ってしまっているのかしら。
私は急に恥ずかしくなり、俯く。私は顔が熱くなるのを感じた。今きっと真っ赤になっているわ。
「………ありがとう」
「え?」
驚いて顔をあげると、ジェイド様が穏やかな表情で私を見ていた。
テオ様って、何を考えてらっしゃるのか分からない、ミステリアスなところのある方だけど、決して悪い人ではありませんからね。
でも、私に謝罪するのは少し違うのではないでしょうか?確かに心配はしましたけど。
「う………」
「ジェイド様?!」
ジェイド様が、また呻き声をあげる。
同時にジェイド様の、きれいな琥珀色の瞳が長いまつげの間から僅かに覗いて、ゆっくりと開いていった。
「ジェイド様!私が分かりますか?」
私は、慌ててジェイド様の顔を覗き込む。
「エリーゼ………?」
「ジェイド様………良かった………意識が戻られたのですね」
私は、全身から一気に緊張が抜けていくのを感じた。
「私は………っつう………」
「ジェイド様!」
起き上がろうとしたジェイド様が、痛みに顔を歪める。
「殿下。お怪我をなさっているんですから、起き上がろうとしないでください」
お医者様が、慌てて止める。
「私は………そうだ、兄上と………」
「かなり傷口が深い部分もあります。なるべく安静にしてお過ごし下さい。今、鎮痛剤を調合して参ります」
そう言って、お医者様が部屋を出ていった。
「エリーゼが、なぜここに………?」
熱にうなされていたからか、ジェイド様の声がかすれている。それでも、間近でジェイド様の声が聞ける事に、こんなに安堵するなんて………。
「サイラス様が、キャメロット公爵邸まで知らせに来てくださったのです。うなされて、私を呼んでいると………。私、ジェイド様が心配で、お側にいたくて、こちらまでお連れいただきました」
そこまで言って、私ははっと気がついた。………それはあなたが好きですと言っているようなものではないの?何を口走ってしまっているのかしら。
私は急に恥ずかしくなり、俯く。私は顔が熱くなるのを感じた。今きっと真っ赤になっているわ。
「………ありがとう」
「え?」
驚いて顔をあげると、ジェイド様が穏やかな表情で私を見ていた。
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