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ニンゲン生きづら!
⑤
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夕方の客は、この日に限っていつもより多く、惣菜だけでなく肉まんや、最近始まったおでんも、下校途中の学生などがたくさん訪れて買っていった。
6時前に帰って来たゆきさんなかも手伝ってもらい、なんとか7時になるまでに客の波は引いていった。
「あの、ゆきさん…すみません、ちょっといいっすか?」
「あら、あきら君どうしたの?そんなかしこまって…」
俺は、昼過ぎに皇牙がここへ来たことと、皇牙と話をするために上がりたいことを伝えた。
「まあまあ、それなら早く行ってあげなさいな。ごめんなさいね、そんな時にお留守を任せちゃって」
ゆきさんはそう言って謝っていたけれど、皇牙が来ることも夕方に店が混むことも、予想なんて出来なかったのだから仕方ないことです、と首を横に振った。
7時になり、ゆきさんとレジをバトンタッチすると、俺はエプロンを脱いですぐに外へ出た。
「あっれ…いねえじゃん」
たしかに7時にまた来いって言ったはずだけど、伝え間違えていただろうか。
そんなことを考えながら、店の周りをうろうろと歩き始めた。
商店街のすぐそばを流れる川辺へと出ると、三日月が波間に映えていて、夜は結構冷えるようになったな、なんて今更思ったりもしていた。
ふと横を見ると、なんとそこに皇牙はいて、俺と同じように川を眺めていた。
「おい、皇牙…店に来いって言ったのにこんな所にいたのかよ」
決して怒りの含まない、むしろ皇牙を見つけられて安心しているといった明るい声音で彼に声をかけた。
「えっ?あきら?なんで…、うそ!もう7時回ってたのかよ!ごめんっ!」
皇牙は俺の顔と腕時計の盤面を交互に見て約束の時間を過ぎていたことにひどく驚いていた。
どうやら皇牙は一度家に帰ったのか、服装がスーツから上下半袖短パンのスポーツウェアに変わっていた。
「別にいいよ。ちゃあんと見つけられたし、てかその格好で寒くねえのかよ?」
薄手の長袖と長ズボンをはいている自分でさえ肌寒いと感じるこの夜の空気の中で、皇牙の格好を見て今度は俺が驚いてしまった。
「俺さ、いつもこの時間は日課で走ってて…、それにハスキーは基礎体温が高いんだ。だから平気だ」
「はは、なんだそれ、日課だからって待ち合わせしてる今日も走ってて時間忘れたのかよ」
まさかランニングして時間を忘れていたなんて、と思わず笑ってしまうと、俺の機嫌の良さに反応したのか皇牙の白い耳がぴょこぴょこと立ち、前へ横へと忙しなく動いている。
「緊張してたんだよ…だから、気を紛らわせたかったんだ」
「そうかよ、じゃ…気が紛れたんなら行くか!」
「えっ、行くってどこに?コンビニか?」
「俺んちだよ、ここだと話してえことも話せないだろ」
皇牙は一瞬目を丸くした。
けれど、すぐに俺から視線を外して、気まずそうにしていた。
「見合いで断った相手を次の日に家に呼ぶなんて、いいのかよ…」
「別に変な意味なんかねえよ。それにさっきみたいに店の中とか、ムゥの時みたいに騒ぎになっても困るしさ。それなら落ち着いて話せる場所の方がいいだろ」
見合いで断ったのは俺の方なのに…今更なにを落ち着いて話すんだ、とも思っていたけれど、そうでもしないと皇牙はまた来るかもしれないし、俺自身の気持ちにも決着をつけたかったから。
……
「麦茶しかないけど、いいか?」
「あ!おう、おかまいなく」
皇牙と一緒に自分の部屋に戻ってくると、皇牙は終始ソワソワして落ち着かない様子だった。
「それで、話しってなんだったんだ。分かってると思うけど、昨日言った言葉を覆すつもりはねえからな」
麦茶を二人分、グラスに注いでテーブルを挟んで座り、単刀直入に本題を聞き出した。
「分かってる、あれだけのことを言っていたんだから俺を受け入れてもらえるはずはないって。でも、やっぱり最後まで俺のこと、ちゃんと聞いて欲しくてさ」
ゆきさんが言っていたことを俺に話すつもりなのだろうかと思っていたけれど、皇牙は全然違うことを話し始めた。
「俺が、ニンゲンによくしてもらってきたって話はしたよな?」
「ん?ああ、昔の先祖がニンゲンに大事にされていたんだろ?あと、お前が小さい頃に周りにいたニンゲンにも親切にしてもらってたって」
「そうだ。俺たちがまだ犬の姿だった時に、ニンゲンは俺たちを大事にしてくれて、一緒に雪のある世界で遊んだり、橇を引いて走ったりしていた。一緒に暮らす相棒のような存在だった」
「俺もその話は聞いたことあるけどさ、それは遥か昔のことで今のお前が律儀にそれを守る必要はねえんじゃねえの?」
「ただの昔話だけだったら俺だってそう思ってたよ。俺は俺を生きているわけだし、知らないニンゲンの為にそこまでするほど自分に余裕があるわけじゃない」
昨日言っていたこととは反対のことを話し始めた皇牙に俺は首をかしげて聞いた。
「だったら、もうニンゲンに執着する必要はねえだろ、なんでそこまでして…」
そう言うと皇牙は麦茶を一口飲んで、耳をしおらせて低く小さな声で呟くように話し始めた。
「小学校のとき、俺に良くしてくれた同級生がいたんだ。その話もしたよな?」
「ああ、クラスメートのニンゲンが仲良くしてくれてたんだろ?」
「そう。そいつさ…事故に遭って死んじゃったんだよ」
「え!?」
俺は驚いて声がつまった。
「いつものように放課後に、俺と公園でサッカーをしていた時だった。蹴ったボールが、草むらを抜けて公園の入り口まで転がっていって、俺は入り口付近の道路を気にせずに飛び出して行っちゃってさ…」
「まさか、それで…」
「ああ、『あぶない!』って声と共に後ろから誰かに突き飛ばされたと思ったら、トラックの急ブレーキがかかる音が響いて…俺を突き飛ばしたのは友達のそいつで、俺の代わりに轢かれたんだ…」
俺はなんの言葉も出なくなってしまった。
小学校の時に、そんな経験をしていたなんて。
ただニンゲンと仲良くして、先祖のニンゲンとハスキーの関係に憧れを抱いていただけの奴だとしか思っていなかったから、なにも言えなかった。
「俺は、自分のせいで大好きなニンゲンが死んでしまったなんて事実が受け入れられなくて、そいつの両親に怒鳴られ、罵られでもすれば…まだ気持ちは楽になったかもしれなかった」
「そうはならなかったのか?」
「ああ、ご両親は…俺を責めるどころか…泣いているのに笑顔を作って、『いつも遊んでくれてありがとうね、あの子、皇牙くんがいるから毎日学校が楽しいって言って学校に行ってたのよ』って…」
「っ!!」
「俺は、どこまでも優しくしてくれるニンゲンの優しさに、その時だけは胸が張り裂けそうなくらい苦しかった。優しさが苦しくなるなんて…申し訳なさと、償えきれない罪の重さを、これから抱えて生きていかないといけないんだと思ったんだ」
皇牙の声は震えていて、涙を必死に堪えている様子だった。
それで…と話の続きを促せるはずもなくて、俺は、皇牙への隣に回りそっと背中を撫でた。
皇牙のその事情だって、俺からすれば関係ないって言い放ってもよかったはずだ。
それができないなんて…ニンゲンって、生きづらいな…改めてそう思った。
6時前に帰って来たゆきさんなかも手伝ってもらい、なんとか7時になるまでに客の波は引いていった。
「あの、ゆきさん…すみません、ちょっといいっすか?」
「あら、あきら君どうしたの?そんなかしこまって…」
俺は、昼過ぎに皇牙がここへ来たことと、皇牙と話をするために上がりたいことを伝えた。
「まあまあ、それなら早く行ってあげなさいな。ごめんなさいね、そんな時にお留守を任せちゃって」
ゆきさんはそう言って謝っていたけれど、皇牙が来ることも夕方に店が混むことも、予想なんて出来なかったのだから仕方ないことです、と首を横に振った。
7時になり、ゆきさんとレジをバトンタッチすると、俺はエプロンを脱いですぐに外へ出た。
「あっれ…いねえじゃん」
たしかに7時にまた来いって言ったはずだけど、伝え間違えていただろうか。
そんなことを考えながら、店の周りをうろうろと歩き始めた。
商店街のすぐそばを流れる川辺へと出ると、三日月が波間に映えていて、夜は結構冷えるようになったな、なんて今更思ったりもしていた。
ふと横を見ると、なんとそこに皇牙はいて、俺と同じように川を眺めていた。
「おい、皇牙…店に来いって言ったのにこんな所にいたのかよ」
決して怒りの含まない、むしろ皇牙を見つけられて安心しているといった明るい声音で彼に声をかけた。
「えっ?あきら?なんで…、うそ!もう7時回ってたのかよ!ごめんっ!」
皇牙は俺の顔と腕時計の盤面を交互に見て約束の時間を過ぎていたことにひどく驚いていた。
どうやら皇牙は一度家に帰ったのか、服装がスーツから上下半袖短パンのスポーツウェアに変わっていた。
「別にいいよ。ちゃあんと見つけられたし、てかその格好で寒くねえのかよ?」
薄手の長袖と長ズボンをはいている自分でさえ肌寒いと感じるこの夜の空気の中で、皇牙の格好を見て今度は俺が驚いてしまった。
「俺さ、いつもこの時間は日課で走ってて…、それにハスキーは基礎体温が高いんだ。だから平気だ」
「はは、なんだそれ、日課だからって待ち合わせしてる今日も走ってて時間忘れたのかよ」
まさかランニングして時間を忘れていたなんて、と思わず笑ってしまうと、俺の機嫌の良さに反応したのか皇牙の白い耳がぴょこぴょこと立ち、前へ横へと忙しなく動いている。
「緊張してたんだよ…だから、気を紛らわせたかったんだ」
「そうかよ、じゃ…気が紛れたんなら行くか!」
「えっ、行くってどこに?コンビニか?」
「俺んちだよ、ここだと話してえことも話せないだろ」
皇牙は一瞬目を丸くした。
けれど、すぐに俺から視線を外して、気まずそうにしていた。
「見合いで断った相手を次の日に家に呼ぶなんて、いいのかよ…」
「別に変な意味なんかねえよ。それにさっきみたいに店の中とか、ムゥの時みたいに騒ぎになっても困るしさ。それなら落ち着いて話せる場所の方がいいだろ」
見合いで断ったのは俺の方なのに…今更なにを落ち着いて話すんだ、とも思っていたけれど、そうでもしないと皇牙はまた来るかもしれないし、俺自身の気持ちにも決着をつけたかったから。
……
「麦茶しかないけど、いいか?」
「あ!おう、おかまいなく」
皇牙と一緒に自分の部屋に戻ってくると、皇牙は終始ソワソワして落ち着かない様子だった。
「それで、話しってなんだったんだ。分かってると思うけど、昨日言った言葉を覆すつもりはねえからな」
麦茶を二人分、グラスに注いでテーブルを挟んで座り、単刀直入に本題を聞き出した。
「分かってる、あれだけのことを言っていたんだから俺を受け入れてもらえるはずはないって。でも、やっぱり最後まで俺のこと、ちゃんと聞いて欲しくてさ」
ゆきさんが言っていたことを俺に話すつもりなのだろうかと思っていたけれど、皇牙は全然違うことを話し始めた。
「俺が、ニンゲンによくしてもらってきたって話はしたよな?」
「ん?ああ、昔の先祖がニンゲンに大事にされていたんだろ?あと、お前が小さい頃に周りにいたニンゲンにも親切にしてもらってたって」
「そうだ。俺たちがまだ犬の姿だった時に、ニンゲンは俺たちを大事にしてくれて、一緒に雪のある世界で遊んだり、橇を引いて走ったりしていた。一緒に暮らす相棒のような存在だった」
「俺もその話は聞いたことあるけどさ、それは遥か昔のことで今のお前が律儀にそれを守る必要はねえんじゃねえの?」
「ただの昔話だけだったら俺だってそう思ってたよ。俺は俺を生きているわけだし、知らないニンゲンの為にそこまでするほど自分に余裕があるわけじゃない」
昨日言っていたこととは反対のことを話し始めた皇牙に俺は首をかしげて聞いた。
「だったら、もうニンゲンに執着する必要はねえだろ、なんでそこまでして…」
そう言うと皇牙は麦茶を一口飲んで、耳をしおらせて低く小さな声で呟くように話し始めた。
「小学校のとき、俺に良くしてくれた同級生がいたんだ。その話もしたよな?」
「ああ、クラスメートのニンゲンが仲良くしてくれてたんだろ?」
「そう。そいつさ…事故に遭って死んじゃったんだよ」
「え!?」
俺は驚いて声がつまった。
「いつものように放課後に、俺と公園でサッカーをしていた時だった。蹴ったボールが、草むらを抜けて公園の入り口まで転がっていって、俺は入り口付近の道路を気にせずに飛び出して行っちゃってさ…」
「まさか、それで…」
「ああ、『あぶない!』って声と共に後ろから誰かに突き飛ばされたと思ったら、トラックの急ブレーキがかかる音が響いて…俺を突き飛ばしたのは友達のそいつで、俺の代わりに轢かれたんだ…」
俺はなんの言葉も出なくなってしまった。
小学校の時に、そんな経験をしていたなんて。
ただニンゲンと仲良くして、先祖のニンゲンとハスキーの関係に憧れを抱いていただけの奴だとしか思っていなかったから、なにも言えなかった。
「俺は、自分のせいで大好きなニンゲンが死んでしまったなんて事実が受け入れられなくて、そいつの両親に怒鳴られ、罵られでもすれば…まだ気持ちは楽になったかもしれなかった」
「そうはならなかったのか?」
「ああ、ご両親は…俺を責めるどころか…泣いているのに笑顔を作って、『いつも遊んでくれてありがとうね、あの子、皇牙くんがいるから毎日学校が楽しいって言って学校に行ってたのよ』って…」
「っ!!」
「俺は、どこまでも優しくしてくれるニンゲンの優しさに、その時だけは胸が張り裂けそうなくらい苦しかった。優しさが苦しくなるなんて…申し訳なさと、償えきれない罪の重さを、これから抱えて生きていかないといけないんだと思ったんだ」
皇牙の声は震えていて、涙を必死に堪えている様子だった。
それで…と話の続きを促せるはずもなくて、俺は、皇牙への隣に回りそっと背中を撫でた。
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