俺とクロのカタストロフィー

munetaka

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67.2000年前も今も官僚の汚職がなくならないのに、官僚機構がなくならないのは、官僚機構こそが人類にとって最も優れた発明だからである

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時間が経つのがこんなに遅く感じられたことはなかった。尋問室の時計は止まっているかのように針がゆっくりとしか進まない。俺の額には嫌な汗が滲み、喉は乾ききっているのに、水を求める勇気すら出なかった。
そんな折、部屋の外で足音が聞こえ、突然ドアが勢いよく開かれた。そこに現れたのは、厳しい表情をした中年の男性と、見覚えのある穏やかな顔――リンの父親だった。
「叔叔!」(お父さん!)
思わず俺が立ち上がろうとすると、警官に肩を押さえられた。リンの父親は素早く俺に目を向け、小さく頷いて「没事,我来了。」(大丈夫だ。私が来た。)と力強く言った。その言葉だけで、胸のつかえが一気に取れたような気がした。
警官たちは突然現れたリンの父に敬意を払っているように見えた。特に、父の隣に立つ中年の男性はどこか威厳に満ちたオーラを放っていて、周囲を圧倒している。どうやら普通の人物ではないことは明らかだった。
「涼风飒先生,非常抱歉让你遭受这种误解。」(涼風颯さん、大変失礼しました。このような誤解を受けさせてしまって。)
その威厳のある男性が丁寧な口調で俺に話しかけた。
「这是公安局的李局长。他会亲自为你处理这个误会。」(こちらは公安局の李局長だ。彼が直接君の誤解を解いてくれる。)
リンの父の静かな声に俺は驚きを隠せなかった。公安局の局長とは、日本で言えば警察署長以上の存在だ。リンの父がこれほど強力な人脈を持っていたことを知り、俺は改めてその存在感に畏怖を覚えた。
李局長は静かな口調で俺に語りかける。
「我们已经调查清楚了,你确实是无辜的。假钞的问题最近在哈尔滨时有发生,我们正在加紧调查相关人员。你不用担心,马上就可以离开。」(調査した結果、あなたが無実であることが分かりました。偽札問題は最近ハルピンで頻繁に発生しており、関係者を追っているところです。ご心配なく、すぐに解放します。)
俺は深い安堵の息をついた。急に力が抜け、椅子に再び座り直す。リンの父が俺のそばに近づき、肩に手を置いた。
「颯,你受苦了。我们回家吧,琳现在很担心你。」(颯、つらかったな。家に帰ろう。リンがとても心配している。)
俺は静かに頷き、かすれた声で返した。
「叔叔,谢谢您。如果不是您的帮助,我可能就麻烦了。」(お父さん、本当にありがとうございます。あなたの助けがなければ、大変なことになっていました。)
リンの父は穏やかに微笑んで頷き、「你马上就是我们家的人了,我当然会保护你。」(君はもう我が家の一員だ。当然君を守るよ。)と強く言ってくれた。その言葉に胸が熱くなり、目頭が潤んだ。
公安局を出て車に戻ると、外で待っていたリンが不安そうな表情で駆け寄ってきた。
「颯!你没事吧?」(颯、大丈夫!?)
リンが飛び込んでくるように俺の胸に抱きつく。その温かさが全身に広がり、今まで張り詰めていた緊張が一気に解けた。
「我没事了,都是叔叔救了我。」(もう大丈夫だよ。お父さんが助けてくれたから。)
俺がリンの背中を軽く叩いて慰めると、リンは父を見上げて感謝の言葉を口にした。
「爸爸,谢谢你帮颯。」(お父さん、颯を助けてくれてありがとう。)
リンの父は優しい笑みを浮かべて小さく手を振った。
「都是一家人,不用说谢。我们回家吧。」(家族なんだから礼なんていらないさ。さあ、家に帰ろう。)
車に乗り込み、リンの父が運転席に座った。助手席に李局長が座り、俺とリンは後部座席に並んだ。窓の外を流れるハルピンの街並みが、さっきまでの悪夢のような出来事を徐々に薄れさせてくれる。
俺はため息をつきながら、少しだけ冗談めかしてリンに話しかけた。
「没想到我居然在哈尔滨经历了电影一样的剧情。」(まさかハルピンで映画みたいな事件に巻き込まれるなんて思ってもなかったよ。)
リンが小さく笑いながら、俺の手を握った。
「颯,你真的是太不小心了啦。我以后得看紧你才行。」(颯は本当に油断しすぎだよ。これからは私がしっかり見ておかなきゃ。)
その言葉に俺も笑みを返す。彼女の冗談めいた言葉が、俺の心を軽くしてくれた。
家に戻ると、リンの母がすでに温かい料理を準備して待っていてくれた。俺たちの顔を見るなり、心配そうに駆け寄ってくる。
「飒,你没事吧?听说你被带到公安局,我可吓坏了。」(颯、大丈夫?公安局に連れて行かれたって聞いて本当に驚いたわ。)
俺は笑顔で彼女を安心させるように頷いた。
「阿姨,我没事了,让您担心了。」(お母さん、もう大丈夫です。心配をおかけしました。)
リンの母は俺の腕を軽く叩き、冗談交じりに言った。
「你以后啊,要是不小心一点,我可就得给你买个GPS了。」(今後また油断したら、GPSでもつけないとダメね。)
その場の空気が一気に和らぎ、俺たちは全員笑い合った。
その夜は家族全員が揃ってリンの母が振る舞う東北料理を食べた。豚肉と白菜を使った鍋料理に、熱々の焼餅、香ばしい茄子の煮込みといった素朴ながらも心温まる料理ばかりだ。
食卓を囲み、今日の出来事を少し笑い話に変えながら和やかな時間を過ごした。リンの両親が俺に向ける温かな視線を感じながら、俺はここにいることが心から嬉しかった。
食事が終わった後、リンの父が静かに口を開いた。
「颯,以后遇到什么事,记得第一时间告诉我们。既然我们是一家人了,你就不要再客气了。」(颯、これから何か問題があったら真っ先に私たちに言うんだぞ。家族になったのだから遠慮しなくていいんだ。)
「好的,爸爸,谢谢您。」(はい、お父さん、ありがとうございます。)
俺はその言葉に深く頷き、家族になった実感が胸に広がっていくのを感じていた。
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