ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

文字の大きさ
76 / 100

動き

しおりを挟む


「主様どうやら……最近気にかけている子達が魔界から地球に帰ったようです。如何致しますか?主様も今日の運動は切り上げますか?」

顎に手を当て少し考えたあと答えを出す。

「仕事は任せてあるし大丈夫だろう。それにもう余り時間が残されていない。1日最低1レベルは上げる予定だ。それと勘を取り戻す為に地下で模擬戦でもどうだね?魔力使わず武器だけの……」

「好きですねぇ主様も。筋肉戻って頭も筋肉になりましたか?」

「その罵倒いつぶりだろうね」

男は久しく言われていなかった罵倒に笑い、武器を構え直すと休憩は終わりとばかりと息を吐く。

「さて、目の前にいるこいつをどうしてくれようか」

冷たく声を発する。
男の目の前には人間と然程見た目の変わらない悪魔族の男が手足を縛られ地面に転がっていた。

「貴様!!貴族である私にこの様な事をしてただで済むと思っているのか!私の家格は男爵なのだぞ!!」

「ハッ!我々に傷一つつける事も叶わなかった雑魚が何を言うかと思えば……家格自慢の親頼り。情けないな」

男を主様と呼び慕う悪魔貴族は縛られている同じ悪魔貴族である男を鼻で笑う。

「そもそも貴様はなんなのだ!!同じ悪魔族だろう!何故汚らわしい人間如きの味方にいる!何故付き従う!!裏切りものめ!!」

「ゴミが……主様をゴミなどと!殺してもよいな?!」

「まだだ」

「しかし!」

「まだだと言っている」

強く言い聞かせると自身の主である男に一礼して一歩下がる。
近づき腰を落として悪魔貴族の男を見る。

「王族に反旗を翻した悪魔貴族は誰だ。言え、もしここですぐに言うのなら……楽に殺してやる」

「何を馬鹿なことをーーーーー」

「もしだ、もし言わないのなら地獄を何百何千年と味わう事になる。昔聞いた事ないか?【獄星の牢獄】ってやつ」

その名前を聞いた瞬間悪魔貴族の体が露骨に震える。
人間の子供に言うこと聞かないとお化けが出るよと言い聞かせるのと同じように悪魔族にも言われているのだ。

ーーーー悪魔族の影が道を外し王を裏切る悪魔の魂を探しているーーーー

人間の話に出てくるお化けもこれの話も普通なら一笑ものだが人間の言い伝えとは決定的に違う事がある。
それは

「まさか、まさかお前が従えている女が……悪魔族唯一の影の役割を持つオルナ家……!」

そう、お化けと違い確実に存在が確認されている点だった。
掠れた声で記憶通りの事実を呟く

「前に落ちぶれたと聞いたぞ!!」

しかし直ぐにオルナ家の情報を思い出し笑う。
挑発するような笑みにオルナ家の1人である女は同じように挑発するような笑顔を向ける。

「確かに落ちぶれた。だが1人の人間に助けられてな今はもうかつてより力をつけるまでになった。馬鹿な貴様に噛み砕いて言うのならだ」

「そんな、ただでさえ昔の過激さが……いや、その話は嘘だ!ここ100年オルナ家の話は殆ど聞かない!
少しでも我が男爵家から逃げる為の作り話だ!!!」

必死に事実を認めたくないのか喚き続ける。
そんな悪魔貴族でありながら全く威厳も何もない男を生ゴミを見るような目で見るとその頭に手を乗せた。

「何をする!!」

「【獄星の牢獄】の発動」

頭に乗せた掌から魔法陣が男を覆うように広がり始める。

「やめろ!今すぐその魔法を解け!!今なら見なかった事にしてやる!!告げ口もせずにいてやる!だから今すぐ【獄星の牢獄】を解けぇえぇぇえぇ!」

「【完了】……最後に言い残す事は?」

「クソックソッ!!落ちぶれた子爵如きがこの様な事をしてただで済むと思うなよ!!我らの家に連なる者達が絶対に貴様を殺す!!」

「そうかそれは楽しみだ。言い忘れたが家格が公爵家の……王族にまで上がったらしいな」

「な?!き、聞いてないぞ!!!」

「去年上がったと個人的に情報を手に入れてな。懐かしいよ。【獄星の牢獄】」

「クソクソクソッ!!誰か助っーーーーー」

体を覆っていた魔法陣が黒く光ると男を消した。

「なぁカーディン……昔から疑問なんだがそれどこに送ってるんだ?」

「秘密、ですね。乙女の秘密は言えないのです」

「乙女って歳k」

「主様」

すぐ横にカーディンが立ち首にナイフを添えてある。
下級の悪魔貴族と戦い余裕で勝つくらいには強い人間であるはずがその動きが全く見えなかった。

「生きる時間が違うとはいえ女性にとって年齢の話は触れられたくないものですよ。お忘れになりましたか?」

過去忘れかけていたトラウマが蘇る。
カーディンと出会って間もない頃口を滑らせて怒らせてしまいまだ今のようにレベルがそこまで高く無かった時魔界1日放置されたのだ。

男の人生の中でトップ5に入る過酷な出来事だった。
だが男は成長した

「済まない。女性にとって歳の話は禁句だったな。私も昔と比べて老いたからな許して欲しい。今夜ディナーでもどうかね?」

「誤魔化さないで!もう!」

怒っているフリをしているがナイフを収め歩き出した。

「主様!早く行きますよ!運動した後に食べるご飯は格別なのですから」

「食べるのが相変わらず好きだなぁ。なぁ久しぶりに名前で呼んでくれないかカーディン」

カーディンを歩み止めて振り向く。
「はぁ……」と溜息を吐くと男の願いを叶える。

きょう行きますよ」

「あと3時間は運動だな」

刀身の長い槍を携えてモンスターの群れの中に向けて走り出した。








「あぁあぁぁあぁぁ!!!もおぉおぉおぉぉお!会長は何処に出かけているんですか!何で私が!この!簡単とはいえ本来しなくてもいい書類の整理をしなければいけないんですか!!給料がしっかり発生するからまだ許せるけども!!!」

古豪会長の数人いる秘書のうちの1人が我慢が出来なくなり不満を露わにする。
ほかの秘書も同意見とばかりに何度も頷いていた。

「ねぇーこの『古豪 響様 宛』の封書は読まなくてもいいよね?」

「勿論よ」

「なんか会長宛ての手紙やら書類多くないか?」

「確かに……」

「言われてみれば」

「やっぱり中国とアメリカのSランクハンターが来日した事じゃない?」

「「「それだ」」」

全員の意見が一致した所で仕事を再開した。
女子3男子1の割合で構成されている秘書は偶にどうでもいい話が発生する






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

ギャルといちゃこらしていたらダンジョン探索がはかどった件。うちのお菊がもふもふで可愛すぎる♡

マネキネコ
ファンタジー
日本国内に3つのダンジョンが出現して早10年。日本国政府は各方面と協議を重ねた結果、ダンジョンを国民に開放すると宣言した。つまり現在では探索者ライセンスさえあれば誰でも気軽にダンジョン探索ができる時代になっているのだ。高校生になった僕は夏休みに入るとすぐに探索者講習を受けライセンスを取得した。そして残りの夏休みすべてをダンジョン探索へと費やし、通常は半年以上は掛かると言われていた最初のレベルアップを、僕はわずか3週間あまりで達成した。これはとんでもない快挙といってもいいだろう。しかも他の人に比べると、身体能力がはるかに劣っているチビデブの僕がである。こんな結果をもたらした背景には、なんといっても僕のパートナーであるお菊の存在が大きいだろう。そしてもうひとつ、なぜだかわからないが、ステータスの中に『聖獣の加護』が表示されているのだ。おそらく、この効果が表れているのではないだろうか。そうして2学期が始まり僕が教室に顔を出すと、最近やたらと絡んでくるギャル友から「あんたなんか変わった!? なんていうか雰囲気とか? 背もだいぶ伸びてるみたいだし」と、なんでどうしての質問攻め。今まで異性には見向きもされなかった僕だけど、これってもしかして、『モテ期』というやつが来てるの?

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

処理中です...