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居候出勤
しおりを挟む荒鐘宅
「猫娘、起きろーー!」
猫娘のために用意した部屋のドアをドンドンと叩き起床を促す。
「あと5分~~!!」
「もう8時なんだよ!いい加減起きろや!!居候の分際で惰眠を貪るわじゃないわい!」
更にドンドンドンドン!!とドアを叩くと流石に観念したのかゴソゴソとベットから降りて立ち上がる音が聞こえてくる。
平日の水曜日で今日は朝の7時からAランクダンジョンに潜る予定を組んでいたが既に1時間以上予定が遅れている。
「今着替えるから待つねーー」
溜息を吐いてその場から離れ自分の部屋に戻り特殊な装備を整える。
デルガ達が着ている服と同じピッチリ目の服を上下揃えその上からパーカーやらを着る。
この季節にしては厚めの装備だがデルガ達御用達の装備に温度調整の機能が魔法で付与されているため真夏だろうが真冬だろが気にせず着ることが出来る。
流石にシベリアとかは無理だろうなと真は心の中で感想を言う。
アイテムボックスに栄養補給食、10秒でチャージ出来るかもしれないゼリー飲料、栄養ドリンクの忘れが無いことを確認すると部屋を出る。
「あ、流石に準備出来たね」
「1時間以上遅れてんだ直ぐに行くぞ。アグリード」
「ここに」
デルガとアグリードは最近真の影から音もなく現れるようになった。
(正直ビックリするからやめて欲しいなぁ)
「仕事が入った事は言ったよね。Aランクダンジョンを攻略しに行くから魔界は明日だ。昨日視察したダンジョンに連れて行ってくれ」
「直ぐに」
その言葉通りアグリードはゲートを開く。
猫娘が真の家に居候するようになってから1ヶ月近く経つ。
侵攻はもうすぐそこまで来ている。
レベルも魔界に入り浸ってからかなり上昇した。
真は150レベル、猫娘は大抵の下級貴族ならタイマンで勝てるラインの120レベルまで上がっていた。
魔界の方が経験値が美味しいが仕事の為仕方がないと割り切ってゲートを潜った。
ヒュォォオォォオォオ
風が吹いている。
おまけに雪も一緒に舞っていた。
「………うせやん」
「さむ、寒い!厚着してくれば良かった!!」
(昨日視察した時はここまで吹雪いていなかった……何かあったか?)
「アグリード、デルガは魔界に用事あるんだよな?」
「はい。今日一日は戻って来れないと聞いております」
(まさか悪魔貴族か?レベルが上級貴族の域に達したから下級程度に負ける事はないだろうけど……用心しておかないとな)
アイテムボックスからあるアイテムを取り出す。
それを体を丸めて震えている猫娘に手渡すと驚いた顔になる。
「え、くれるの?」
「そんなバイブレーション機能付きの人間を視界に入れていると罪悪感があるんだよ。ほら早く付けろ」
《奪寒与暖のピアス》
装備者が一定以上の寒さを感じている場合その寒さを取り除き暖かさを与えるアイテム。
デルガ御用達の服のピアスverだった。
いそいそと《ピアス》を耳に付けると猫娘が感じていた寒さがなくなり春を過ごしているかの様な暖かさがやってきた。
「これ凄いね!!秦達にもこれ上げたい!もっと無いかな!」
キラキラとした目で真に詰め寄る。
何故か聞くと中国ではダンジョン内が雪国だったりする事が度々あると言う。
そうした装備は無いことはないが嵩張るという。
純粋な目で見つめられ断れなかった真はデルガから沢山貰った《断寒与暖のピアス》を10個取り出して猫娘に手渡す
「2つ付けると強烈な寒さだろうが強烈な暑さだろうが全て無効にしてくる。配るのなら考えてな」
「ありがとうね!!」
《ピアス》を仕舞うと武器を取り出した。
初めてあった時に使った馬鹿デカイ武器ではなく少し小さめの武器を手に嵌めて持つ。
「それいつ見ても猫娘の体の小ささの割にデカイから違和感だよなぁ」
「それて殺傷力は随一ね。Sランクダンジョンのボスの魔石を電池代わりに使ってるからトリガーを押せばAランクのモンスターだろうと頭を狙えば死ぬね。魔石の魔力が無くなったら充魔すればいいだけだし」
「燃費良いのに戦い方がゴリラ過ぎる。ん?なんか来たな」
「経験値ね」
酷い言い草である。
「ガウガゥ!」
「ブルァア!」
体毛の白い狼と3mほどの毛深い人型のモンスターが10体以上出現する。
ゴリラのようにドラミングをすると突撃してくる。
冷静に動きを見極め猫娘は武器の引き金を引くと武器の中から高純度の魔鉄で作られた杭を撃ち出す。
ドシュッッ!!
一般的なCランクなら腕が吹き飛んでしまうような衝撃が猫娘の肩に流れる。
しかし既にSランクを超える力を手にした猫娘は無反動で正確に毛深いイエティーみたいな見た目のモンスターの頭を撃ち抜いた。
流れるような動作で襲ってくるモンスターに対してトリガーを引いて経験値に変えていく。
勝てないと察して真を襲ったモンスターを膝蹴りで打ち上げた後その体を蹴り両断する。
「相変わらずその蹴りは怖いね。秦でも受けたら致命傷だよ」
「そのくらいじゃないと悪魔貴族は到底倒せないって。【空間認識】【超計算】【斬撃配置】」
会話の中で真は1つの魔法とスキルを使用する。
短剣で何もない空間を何度か斬りつける動作をしてから魔法を解くとまだ離れていたモンスターが今斬られたように倒れる。
「………密室殺人の申し子だね」
「人聞きの悪い事いうなよ?!モンスター相手にしか使わんわい!!!」
猫娘の無遠慮な言葉に怒った真は【空間認識】【超計算】【打撃配置】を使用し猫娘の臀部を思い切り叩いた。
バチィィイィィイン
「いったぁぁぁぁぁぁあい!!え?!大丈夫ね?!しっかりと脚付いてるね?!?!」
真の横で煩く喚いている隙にスキル、魔法を駆使して近づかれる前に近辺のモンスター全て自身の経験値に変えた。
「いつつつ……ちょっと流石に酷いね!しかもお尻触ったね!責任取るーーー」
「あくまでも衝撃を伝える魔法とスキルだ。直接は触れていませーーん。責任は放棄させていただきまーす」
「じゃあ責任取らなくてもいいからかお尻治して欲しいね。大分痛いね……」
「人を簡単におちょくるからだ」
呆れながら猫娘の願い通り回復魔法をかける。
猫娘は治った臀部をおっさんの様に摩りながら歩きだした。
「しかも経験値取られた……」
「それは早い者勝ちだ」
「くっ!」
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