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侵攻へ
しおりを挟む「人間界への侵攻まであと6日間を切った。我々悪魔族が全ての種族の頂点に立つ日は近い」
「所詮人間は家畜ですからな。それにしても王族の人間に対するあの信頼はなんだ?昔人間に助けられただと?ただ自分の情けなさを披露しているだけだろう!!」
1人の悪魔貴族が机を叩く。
「軟弱な王や王族、そしてその王族に連なるクズ共を殺し!!我らが真の悪魔族である事を知らしめるのだ!!!」
「「「「「オオォオォォォオォオ!!」」」」」
上座に座る悪魔貴族が声を上げると他の集まっていた悪魔貴族達から咆哮が上がる。
「ふっ」と笑うがすぐ顔を引き締めて他の悪魔貴族を見つめる。
「だが気になる事があるのはお前達も周知の事実だろう」
「足掛かりとして人間界のダンジョンに拠点を構えた下級の悪魔貴族達や一部の上級貴族が殺されている……その件ですな?」
「その通りだ。しかも報告には拠点を破壊した者は人間、そしてその人間と契約した悪魔族だと書いてあった。更に危惧すべきは幾つか報告には上がっている人間と悪魔族の組み合わせが完全に違う点」
「なんですと?!」
「我ら悪魔族を裏切った者があるのですか?!?!」
上座に座る悪魔貴族以外の悪魔貴族達が騒ぎ出す。
どこの貴族だとか王族かだとか憶測が飛び交う。
「静まれ」
たった一言で目の前の悪魔貴族全てが瞬時に黙った。
「既に調べてはついている」
その言葉に悪魔貴族達の目がキラリと光る。
裏切り者の名前を聞き流すまいと集中して聞く体勢になる。
「まず報告に上がった人間は2種類だ。人間の青年と壮年の人間だ。そしてこの人間と契約した悪魔だが……最悪だな」
自分達のボスとも言うべき人物が書類に目を通して動揺している様子に困惑が広がる。
既に上座のボスは書類に目を通しているはずなのだ。しかし動揺するとはどれほどの人物なのか全く検討がついていなかった
自身が動揺しているからか部下がざわついているのは止めなかった。
そして深呼吸をするとその名前を読み上げる。
「契約した悪魔は1人。カーディン、カーディン・オルナ。我の部下の中で1番隠密に優れここ数百年の歴史に詳しい者が調べた結果その名前が挙がった。嘘だど思う者もいるかもしれないが本当だ」
「その話は誠ですか!!!オルナ家はここ数百年めぼしい悪魔族を輩出できず100年ほど前に没落したはずですぞ!!」
1人の細身の男が血相を変えて自身の上司に反論する。
本来ならばあり得ない光景だがオルナ家の事を良く知っているため取り乱していた。
「調べたら100年ほど前にオルナ家から1人出て行った形跡があった、それがカーディンだ。件の人間と契約したのはいつかは見当がついていないが……かなりの実力者になっていた。数キロ離れた所から観察していた部下に勘付いた様子も報告に挙がっている」
ボスの言葉に難しい顔をする悪魔貴族達は自分の家が持つ戦力で倒せるかどうかひたすら考えていた。
この場にいる悪魔貴族は全員が上級貴族であり夢みがちが下級貴族と比べても遥かに現実が見えていた。
「そして2人目の人間と契約した悪魔貴族は2人、同じくオルナ家に連なる者だ」
警戒の色が瞬時に広がった。
「デルガ・オルナ、アグリード・オルナ。ここ数年まで全く戦闘の記録がないはずだが王から去年公爵の位まで受け取っている」
「それはオルナ家がその2人を隠していたと言う事ですかな?」
「恐らくな。しかもオルナ家の家臣やその3人の親まで異常に力が上がっていた」
書類をペラリとめくり若干顔が歪む。
「中級が5人前後に明らかに異常な戦力のデルガ・オルナ、カーディン・オルナ。この2人には若干見劣りするが上級貴族として申し分のない実力を有するアグリード・オルナ。正直にいうなら私は一対一の戦いで勝てる相手ではない」
この一言が決定的となり本格的にざわめきが現れる。
しかし歪んだ表情から一変ボスの顔は笑顔に変わると突然立ち上がり身振り手振りを交え演説を始めた。
「忘れたのか諸君!!!この私の言った言葉を!!!もうすぐ軟弱な王や王族を殺し私達が真の悪魔族であると知らしめると!!」
大仰に挙げていた手を下ろし机に手をつく。
「それに……この私が何の策も用意していないと思ったのかね?当然用意しているとも。人間やエルフ、ドワーフの職人を当人達に一番効く脅しの方法で脅し、作らせた武具の数々に凶悪なダンジョンを踏破し手に入れた『魂』の装備。そして……」
ここで言葉を区切り部屋に1つしかない扉を見て声をかける。
「入って来い、バーゼン」
「では失礼します」
なんとか聞き取れるほどの小さい声で返事をするとバーゼンと呼ばれた男が扉を開けて入って来る。
ボスの近くまで歩き隣に飼い犬のように直立不動で立つとまた話始める。
「こいつ我らの家系が代々研究し遂に完成させた人工悪魔のバーゼン。その能力は並の上級貴族を凌駕し王族に迫る程となった。そして更に身体強化のアイテム、武具をこいつに使わせて戦わせればあのオルナ家の悪魔族であろうと屠れる!!」
ボス意外の悪魔貴族の目に闘志が宿る。
「オルナ家の3人を屠れるば後は手応えの無い人間ばかりだ!!つまり!我らが本気を出すべき時はオルナ家と戦う時のみ!!!3人を殺した後は人間を家畜にしようが奴隷にしようが殺そうが犯そうが自由にやれ!!我々の偉大さを今こそ見せつける時だぁあ!!」
演説が終わるとボスは片手を心臓の位置置く。
ボスに倣うように他の悪魔貴族達も心臓の位置に片手を置いた。
「かつての昏き栄光を再び!!」
「「「「かつての昏き栄光を再び!!!!」」」」
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