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圧勝を……
しおりを挟むガキィイィン
両者の放たれた斬撃が交差し金属音を響かせる。
真の持つ《紫紺の短剣》とコーズの持つ細剣《クリスタルスタート》が何度も交わり火花を散らす。
(このレイピアよりほんの少し大きい細剣……細いクセに馬鹿みたいな強度しやがって!!)
「【疾走】!!」
「【アクセル】!!」
初速から最高で走れる真の【疾走】と違い【アクセル】は徐々に加速していく。
「【エクスーーーー】」
「【クリスタルーーーーー】!!」
20秒もすれば【アクセル】のスピードは【疾走】の強化割合に並ぶ。
身体能力だけは真の方が高い為時間が20秒もかかったが本来は【疾走】より使われる場面が多い。
そして魔力量だけならコーズはあのヴォルフレーに並ぶ程に多かった。
自身の膨大な魔力量を存分に使い徐々にスピードで真を圧倒しその体に増やしていく。
「ぐっ!」
「さっきの威勢はどうした!!このままでは私が勝ってしまうぞぉ!!!」
コーズが一際強い突きを放つ
なんとか反応して防御するが細剣の切っ先が赤く光ると前方に爆炎を迸る。
「があぁぁぁぁあぁぁぅぁぁあ!!!!」
爆発の勢いで吹き飛び建物の壁に叩きつけられるが止まる事なく貫通して隣のビルに当たった事でようやく停止した。
(斬る動作で【エクスプロージョン】を発動させるならまだしも突きの動作で発動させるのはどれだけ制御が難しいと!!)
心の中で愚痴を言いながらほんの少し埋まってしまったビルからすぐに抜け出しコーズの元へ戻った。
「やはり生きていたか……下等な人間の中に私達に比肩しうる者がいるとはな」
「デルガやアグリードに死ぬほど鍛えられたからなこれぐらい耐えられなきゃ今頃死んでる」
口元を拭い、口の中に溜まった血を吐き出す。
「ならば私が引導を渡してやる」
「俺が死んでもお前を殺せる可能性を持つ人間はまだまだいるよ」
「お前に付き従うデルガやアグリードとやらも我らが殺してくれる」
コーズが鼻で笑うと細剣を構えた。
習う様に真も構えて【加速】を発動させる。
【加速】させきったコーズにスピードが追いつくまで少し時間がかかりその間に決着をつけられる可能性もあるが構わず真は地面を蹴った。
徐々に加速していく真の斬撃を捉え、そらし、避けていく。
(強化しきれないと流石に追いつかない……!!)
反撃としてコーズの突きが真の頬を掠り血の粒が空を舞った。
しかし少しずつコーズのスピードに追いついて行く。
「ちっ……」
「強化倍率が追いついてしまえば!!能力値が高い俺のが速いぞコーズゥウ!!!!」
今の今まで《紫紺の短剣》一本で戦っていたがアイテムボックスから取っておきであるアスマディアから一応借り物の短剣である《ストレングス・ストライク》を取り出す。
《ストレングス・ストライク》を見てコーズがピクリと反応した。
「それは、ニーベルン家の短剣」
「《ストレングス・ストライク》……短剣自体に付与された能力も俺と相性が良いからなここからは更に攻撃回数スピード共に上げていく」
「つまり一連の攻防は本気を出していなかったと?」
「正解」
《紫紺の短剣》と《ストレングス・ストライク》をコーズに向けて構える。
「第二回戦だ」
「付き合ってやろう。そして彼我の差を思い知るが良い」
刹那
空気が張り詰めたあと一気に崩れ2人は隔てた距離をゼロにした。
「「【エクスーーー」」
「「【ーーーープロージョン】!!!」」
風が吹く
その場に2人の悪魔貴族が存在する。
片方は悠々と立ち
片方は地べたを這いずる
この場に2人が来てからまだ2分と経っていなかったが既に勝負はついていた。
「ゴホッゴホッ、お前ぇえぇ……!我らを裏切った犬如きがぁあ!ガハァッ!」
地面を這う悪魔貴族が大量の血を吐く。
悪魔族は本来人間より遥かに身体の回復能力に優れているはずだった。
しかし血を吐いた悪魔族の体は一切回復する事なく寧ろ悪化の一途を辿っている。
「こんな…能力聞いた事ない!!傷の悪化を加速させる能力なんて!」
自身の体を蝕むその能力のトリックを暴く
一度少しでも体を傷つけられたら最後、そこから際限なく傷が深くなる。
見下した目で這う存在を見る
「本当の切り札は、こういう絶対にバレない状況下でしか使わない。お前それでも上級貴族か?恥晒しめ」
「覚えておけよアスマディアァア!!!!貴様の家であるニーベルン家を必ず潰してやる!!!」
血を吐き、唾を吐き散らしながら怨嗟の声を上げる。
「ふっ」
そんな自分より格下の存在を鼻で笑うとその髪を掴み上げ自分の目線と同じまで持ってくる。
「生きて帰られたらな?【ダメージ・アクセル】」
アスマディアが一際痛みを感じる部位に短剣を雑に刺すと同時に傷の悪化を加速させる特殊な専用魔法
【ダメージ・アクセル】を強く発動させる。
「グァァァィァぁぁぁぁぁ痛い!!痛い痛い痛い痛い!!足がっ!腕があ!!!たす、助けてくれ!!!情報なら話す!!知ってる限りの情報を話すからたずげでえぇえぇぇえぇえ!!」
「残念だが……情報は既に知っているんだよ。どれだけ俺が深部に関わったと思う」
その言葉で悪魔貴族の顔が絶望に彩られる。
「せいぜい自分を回復させろ。もしかしたら生きれるやもしれんぞ?」
「あ、ぁぁぁあ!!【ヒール】!!【ヒール】【ヒール】【ヒール】【ヒール】【ヒール】【ヒール】【ヒール】【ヒール】ぅぅぅぅうぅぅう!!」
必死に崩れゆく自分の体を回復魔法で癒す
「…………【リリースーーーー」
だが
「【フル・ダメージ】」
相手が悪かった
「ぁぁぁあ…あぁぁぁあ………あ……ぁあ…………」
声すら出る事なく静かにその体が崩れ埃のように小さくなると吹いた風で何処かへ消えた。
「強いはずなんだが、デルガ様に勝てるイメージが少しも湧かん……俺はどれだけ弱い?」
敵のいない空間で自身の実力を疑うように手を見つめた。
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