ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

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紅葉(ニート志望) VS 悪魔貴族

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スキルによって瞬間的に能力値が倍に5割増になったスピードで敵の下級貴族に近づく。
そのままのスピードで殴り飛ばすのではなく鳩尾を抉るように殴り真上に打ち上げる。

体が3mほどふわりと浮かぶ

「はぁ!!」

超高速で体を捻りガントレットの肘に付いている刃で下級貴族の首を斬り落とす。

「人間如きがぁ!」

背後から別の下級貴族がかなり質の良い剣を振り上げ襲い掛かってくる。
しかし
流れる様な動作で体を更に回転させ軸足とは反対の足でその首を捕らえる。

「なっ?!…ガバァッ?!」

蹴り飛ばすのではなく地面にそのまま蹴り落とした。
跳ねて逃げる隙を与えない様に反対の足で首を押さえる。

「ふぅ……で、どうする?お仲間は既に死亡、もう1人の仲間のコイツは今私に生殺与奪の権を握られている。……降参したら?」

「ふん、我とそこの役立たずは元より仲が良かったわけでもない。ただ従う主が同じだけなこと……故に死のうが生きようが関係ない」

「そ、じゃあ殺すね?」

「好きにしろ」

グジャァア!

紅葉は下級貴族の首を骨ごと踏み抜いた。
特にリアクションする様子のない目の前の上級貴族はニヤリと笑うと話しかけてくる。

「下等な人間とはいえ、その様に躊躇なく殺せる精神は好ましい、人間な事が残念なほどだ」

そこまで言った時に何かを思いついたのは顎を触っていた手を紅葉へ伸ばす。

「どうだ、今降伏すれば殺さずにおいてやる。そして我の屋敷で召使いになる気はないか?無論奴隷なのではなく正当な仕事の召使いだ。最低限の金ぐらいはやる」

何故か敵の上級貴族に気に入られる紅葉
しかも金も払うから屋敷で働かないかというお誘い付きだった。
流石の紅葉も驚きで口が開く。

「何言っているの?」

「ふん、何度も言わせるな。貴様の躊躇なく敵を殺せる精神が気に入ったというのだ。だから屋敷で働けと言っている」

「いや、流石にちょっと……今の生活で全然満足だし……」

殺し合いをしているとは思えない程、のほほんとした返答をする。
上級貴族はその返答にショックを受けた様な固まってしまう。

「な、な、な……何が不満だと言うのだ!!!この我の屋敷で働け、そして金も貰える!上級貴族に使える召使いの給料ともなれば貧民からすれば一生を何回経験しようとも手に入れられない額なのだぞ?!」

「いや、私ここ2年ほどの間で10億以上稼いだし。この世界だと10億もあれば豪遊しながら遊んでいけるしまだまだ楽にお金を稼ぐ道もあるし……それに私は出来れば働かずに遊んでいたいから悪魔貴族とか関係なしに召使いは無理かなぁ……」

「ガハッッッッ⁈⁈⁈⁈⁈」

胸を抑えて倒れ込む。

「そ、そんな……この我が断られるだと?しかも上級貴族の中でも名家であるこの私の……」

「そもそも名前も知らない人の所で働くなんてどうかしてるよ」

「ゴハァ!!」

遂に倒れ込む

「はぁ…はぁ…。わ、我の名前はオルス・ソーズだ!これで名前を知らないわけではあるまい!!」

なんとか立ち上がり再び勧誘をするオルス
しかしまだまだ紅葉の口撃は終わらない。

「いやだからもう既に働かなくてもいいほどのお金あるし正直もう働きたくないの。しかも一度ダンジョン決壊から国の危機救った一員に数えられてるからお金ずっと定額貰えるしメリットゼロだよ。
上級貴族だって言ったって地球じゃ無名もいい所だよ」

「……………」

ドサッ

最早吐き出す血も唾もなく地に伏す。
命を掛けた殺し合いをしたわけでも殴り合った訳でもない。
ただ紅葉を気に入り、屋敷に召使いとして勧誘したがボコボコに断られただけだ。

字面だけなら大した事はないが実際の現場はそうでも無かった。
無傷で微妙な表情の紅葉と地に伏して息も絶え絶えなオルス・ソーズ。
今はブツブツとひたすら呟いている。

「我が無名……我が無名……我が無名……我が無名……我が無名……我が無名……我が無名ーーーー」

馬鹿みたいににモテた経験のある男なら分かるだろう。
今一切女性から断られる事なく不自由もなく過ごし生きて来た存在がどうせ渋っていても強く誘えばすぐに肯くと思っていた対象からキッパリ断られる。

屈辱や色々な感情が混ざり呆然としていた。
それは例えるのなら失恋に近い感情
200年以上生きて初めて感じた感情だった。

そして倒れ伏したオルスは震える声で自分を見下ろしている紅葉に語りかける。

「ならば……どうすれば我の屋敷に来てくれるのだ」

「私が行くなら絶対働きたくないしいつでも遊び放題は絶対だよ~」

伏せたまま30秒ほど唸ると答えを出したのか話す

「………妾、妾ならどうだ。我の妻という立場なら働かずにすむしいつでも遊戯に興じていられるぞ。
それに!食事が気に入らない場合はそちらから料理人を何人か連れてくる事も認める!他にも必要な物があるのならこちらが用意だてしよう!これでも不満なのか!」

全てを一気に言い切り息切れしたのか呼吸が少し荒くなる。
紅葉は何故自分に固執するのか分からないといった顔で立つ。

「ねぇ、もう一度聞くけどなんで私にそんなに固執するの?貴方が認識している下等な人間なんだよ?」

「先程も言ったが、躊躇なく殺せる精神が気に入ったといったはずだ」

「それだけじゃないでしょ?」

バツが悪そうが声を漏らし続ける。

「下級貴族とはいえ悪魔貴族2人を余裕で下すその戦力、そして………」

「そして何?」

詰め寄る事はしないが強い口調で問いただすとやっと口を割った。

「き、貴様の顔が気に入ったのだ!!我の好みだったという事だ!!これで全てだ!もういいだろ!」






「おほんタイム。……フレーザー!!!」

「なんだ。流石に上級貴族はお前には荷が重かっ……た、か?どういう状況だこれは」

戦闘スタイルのままゲートから出て来たフレーザーはこの場の状況に戸惑い思わず紅葉に聞く。

「私も分からない。何故が言い寄られた」

「なぜ?」

「貴様が納得するまで魔界に帰らぬぞーーー!!!!紅葉とやらぁ!!」

「いや、だから断ったじゃん……」










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