103 / 114
それこそ不安しかない世界
しおりを挟む
ハカセのオムツ替えは本当に丁寧で手際が良くて、ミコナもそんなに嫌がりません。
「う~、う~」
と嫌そうにはするんですけど、泣き喚いたりはしないんです。ハカセが、
「ごめんね、ちょっとだけ我慢してね」
穏やかに笑顔で話し掛けてミコナの気を引いてるからかもしれません。まだ目はよく見えてないはずですけど声はちゃんと聞こえてるみたいでハカセの顔の方に目を向けてくれています。
今のミコナにはハカセの姿はどう映っているんでしょう。
さっきも言ったとおり新生児は目はよく見えていないそうです。明るいとか暗いとかの区別がついてなんかぼんやりとした影が分かるくらいで。
だけど彼女からすればとても大きな得体のしれない何かには見えているでしょうね。
それでも、そこから聞こえてくるのはとても穏やかで柔らかい声。ぜんぜん怖そうなそれじゃないんです。だから不安が和らげられているのかも。
ハカセはとにかくミコナに不安を与えないように心掛けます。何しろミコナにとってこの世界は、何も分からない、自分では何もできない、それこそ不安しかない世界なんですから。
ただでさえそれなのにハカセやルリアがミコナを怖がらせてどうするんです? この世界に対しての恐怖心を植え付けてそれで何ができると言うんでしょう?
いろいろと大変なことがあるのは確かです。先史文明の頃よりはずっと平和で穏やかな世界になったとは言われてますけどそれでも嫌なことつらいことはもちろんあります。
でも、嫌なことつらいことがあっても普段は楽しくて穏やかな気持ちでいられれば嫌なことつらいことが過ぎ去ったらまた楽しくて穏やかな気持ちに戻れると思えませんか? 嫌なことつらいことが過ぎ去ってもまた嫌なことつらいことばかりの毎日に戻ると思ったら何もかもが嫌になってしまいませんか?
嫌なことつらいことをたくさん経験することでそういうのに耐えられる強い人になれるみたいなことを言う人もいますけど、ハカセにはそんな実感が全然ありませんでした。だって、いつも周りにつらいこと嫌なことばかりがある人っていっつもイライラしてて余裕がなくて少しも強そうに見えないんですから。
先史文明の頃にはすごくたくさんの事件があったと言われています。わずかに残っている書物とかからも毎日たくさんの人が事故や病気だけじゃなくて事件によって命を落としていたと分かるそうです。
どうしてそんなことになっていたんでしょう? そんな恐ろしい世界で生きてたらそれこそいつも嫌なことつらいことばっかりだったんじゃないでしょうか?
そんな世界だから、事件も多かったんじゃないでしょうか? 嫌なことつらいことをたくさん経験して強くなってるはずの人達がどうしてそんなことをするんでしょう?
「う~、う~」
と嫌そうにはするんですけど、泣き喚いたりはしないんです。ハカセが、
「ごめんね、ちょっとだけ我慢してね」
穏やかに笑顔で話し掛けてミコナの気を引いてるからかもしれません。まだ目はよく見えてないはずですけど声はちゃんと聞こえてるみたいでハカセの顔の方に目を向けてくれています。
今のミコナにはハカセの姿はどう映っているんでしょう。
さっきも言ったとおり新生児は目はよく見えていないそうです。明るいとか暗いとかの区別がついてなんかぼんやりとした影が分かるくらいで。
だけど彼女からすればとても大きな得体のしれない何かには見えているでしょうね。
それでも、そこから聞こえてくるのはとても穏やかで柔らかい声。ぜんぜん怖そうなそれじゃないんです。だから不安が和らげられているのかも。
ハカセはとにかくミコナに不安を与えないように心掛けます。何しろミコナにとってこの世界は、何も分からない、自分では何もできない、それこそ不安しかない世界なんですから。
ただでさえそれなのにハカセやルリアがミコナを怖がらせてどうするんです? この世界に対しての恐怖心を植え付けてそれで何ができると言うんでしょう?
いろいろと大変なことがあるのは確かです。先史文明の頃よりはずっと平和で穏やかな世界になったとは言われてますけどそれでも嫌なことつらいことはもちろんあります。
でも、嫌なことつらいことがあっても普段は楽しくて穏やかな気持ちでいられれば嫌なことつらいことが過ぎ去ったらまた楽しくて穏やかな気持ちに戻れると思えませんか? 嫌なことつらいことが過ぎ去ってもまた嫌なことつらいことばかりの毎日に戻ると思ったら何もかもが嫌になってしまいませんか?
嫌なことつらいことをたくさん経験することでそういうのに耐えられる強い人になれるみたいなことを言う人もいますけど、ハカセにはそんな実感が全然ありませんでした。だって、いつも周りにつらいこと嫌なことばかりがある人っていっつもイライラしてて余裕がなくて少しも強そうに見えないんですから。
先史文明の頃にはすごくたくさんの事件があったと言われています。わずかに残っている書物とかからも毎日たくさんの人が事故や病気だけじゃなくて事件によって命を落としていたと分かるそうです。
どうしてそんなことになっていたんでしょう? そんな恐ろしい世界で生きてたらそれこそいつも嫌なことつらいことばっかりだったんじゃないでしょうか?
そんな世界だから、事件も多かったんじゃないでしょうか? 嫌なことつらいことをたくさん経験して強くなってるはずの人達がどうしてそんなことをするんでしょう?
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
笑顔が苦手な元公爵令嬢ですが、路地裏のパン屋さんで人生やり直し中です。~「悪役」なんて、もう言わせない!~
虹湖🌈
ファンタジー
不器用だっていいじゃない。焼きたてのパンがあればきっと明日は笑えるから
「悪役令嬢」と蔑まれ、婚約者にも捨てられた公爵令嬢フィオナ。彼女の唯一の慰めは、前世でパン職人だった頃の淡い記憶。居場所を失くした彼女が選んだのは、華やかな貴族社会とは無縁の、小さなパン屋を開くことだった。
人付き合いは苦手、笑顔もぎこちない。おまけにパン作りは素人も同然。
「私に、できるのだろうか……」
それでも、彼女が心を込めて焼き上げるパンは、なぜか人の心を惹きつける。幼馴染のツッコミ、忠実な執事のサポート、そしてパンの師匠との出会い。少しずつ開いていくフィオナの心と、広がっていく温かい人の輪。
これは、どん底から立ち上がり、自分の「好き」を信じて一歩ずつ前に進む少女の物語。彼女の焼くパンのように、優しくて、ちょっぴり切なくて、心がじんわり温かくなるお話です。読後、きっとあなたも誰かのために何かを作りたくなるはず。
無人島転生 〜素材チートで開拓してたら、村どころか王国ができそうです〜
しゅがれっと
ファンタジー
人生初の揚げ物に挑戦し、揚がったのは天ぷらではなく俺自身だった。
目を覚ますと目の前には……自らを「異世界転生を司る神」と名乗る巨大なナマコ。
俺は剣と魔法の世界で無双することを夢想し、美少女に囲まれることを夢見た──だが、次の瞬間。
──気づけば無人島に漂流していた。
「……マジで?」
これは勇者でもなければ賢者でもない、ただの男が異世界の無人島で生き抜き、気づけば文明を築いてしまう物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる