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ミコナ
ちょっと空元気かなとは
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「じゃあな~!」
ミコナが家に帰る途中で、サンギータは笑顔で手を振って別の道に歩いていきました。
「元気なお人でんな」
ティーさんが言うと、
「そうだね」
ミコナも穏やかな表情で応えます。ただ、ティーさんは、
『でも、ちょっと空元気かなとは思いまっけどな……』
そんなことも思います。具体的な根拠はありませんけど、ミコナの笑顔に比べると作ってる感が強くてどうしてもそんな印象が。
でも、そのティーさんの直感は正解でした。一人になったサンギータの顔からは表情が消え、すごく冷たい印象に。それまでの笑顔が作られたものでしかないのが分かる姿。一人になって笑顔でいる必要がなくなったのだとしても、それだけなら柔和な表情になるだけでいい。笑顔じゃなくても、穏やかな表情ではいられる。
なのにこの時の彼女のそれは、強張っているものだった。今から自分の家に帰るとなると、彼女の顔は自然とそうなってしまう。
彼女にとっては自宅こそがストレスの元だというのが分かる姿でした。その点ではタムテルと似ているけれど、たぶん、サンギータのそれは、タムテルの事例よりももっと難しいかもしれません。
「おかえりなさい……」
サンギータが玄関を開けると、奥から女性が出てきました。顔の造形は似ているのに、顔付きはまったく似ていない。
すごくおどおどとしていて、不安げな。そんな女性を見た途端、サンギータは、
「ちっ……!」
明らかに苛立った様子で舌打ちしました。
「出迎えはいらないっていつも言ってるよね? あんたの顔見てるとすっごくムカつくの。引っ込んでてくれる? ババア……!」
ただただ嫌悪感しかない険しい表情で、口汚く罵ったのでした。
ミコナが家に帰る途中で、サンギータは笑顔で手を振って別の道に歩いていきました。
「元気なお人でんな」
ティーさんが言うと、
「そうだね」
ミコナも穏やかな表情で応えます。ただ、ティーさんは、
『でも、ちょっと空元気かなとは思いまっけどな……』
そんなことも思います。具体的な根拠はありませんけど、ミコナの笑顔に比べると作ってる感が強くてどうしてもそんな印象が。
でも、そのティーさんの直感は正解でした。一人になったサンギータの顔からは表情が消え、すごく冷たい印象に。それまでの笑顔が作られたものでしかないのが分かる姿。一人になって笑顔でいる必要がなくなったのだとしても、それだけなら柔和な表情になるだけでいい。笑顔じゃなくても、穏やかな表情ではいられる。
なのにこの時の彼女のそれは、強張っているものだった。今から自分の家に帰るとなると、彼女の顔は自然とそうなってしまう。
彼女にとっては自宅こそがストレスの元だというのが分かる姿でした。その点ではタムテルと似ているけれど、たぶん、サンギータのそれは、タムテルの事例よりももっと難しいかもしれません。
「おかえりなさい……」
サンギータが玄関を開けると、奥から女性が出てきました。顔の造形は似ているのに、顔付きはまったく似ていない。
すごくおどおどとしていて、不安げな。そんな女性を見た途端、サンギータは、
「ちっ……!」
明らかに苛立った様子で舌打ちしました。
「出迎えはいらないっていつも言ってるよね? あんたの顔見てるとすっごくムカつくの。引っ込んでてくれる? ババア……!」
ただただ嫌悪感しかない険しい表情で、口汚く罵ったのでした。
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