27 / 105
レドネ渓谷
しおりを挟む
でもまあ、とにかく用意も終えられて、私達はいよいよ遊撃部隊として出撃することになった。
念話による応援要請は次々届いてるということだった。私達はそれに応えなきゃいけない。応援要請を王都の方で検討して優先度の高いところに向かうことになる。
そして私達がまず向かう先は、レドネ渓谷の前線だった。
「ここは切り立った渓谷に挟まれた場所で、天然の要害だった。しかし魔王軍は数にモノを言わせて圧し切ろうとしているようだ。奴らは味方の犠牲とかまるで考えないからな。我らはそんな魔王軍に目にモノを見せてやらねばならない。各人奮闘を期待する!」
簡単なレクチャーを受け、整列し、リデムが転移魔法の為の詠唱を始める。私の手はじっとりと湿って胸が苦しいくらいに緊張してるのが自分でも分かる。それはみんなもそうだった。
やがてまばゆい光に包まれ、それが消えた時、私達の目の前には雲を衝くような急峻なそそり立つ崖が立ちはだかっていた。
『これが、レドネ渓谷……』
「ライアーネ様! 魔王軍です!」
誰かが叫んだ。その声に導かれるように視線を向けると、そこには狭い谷を埋め尽くすような魔物の群れが蠢いていた。それはもう<軍隊>というよりもただの大発生した昆虫の群れのようにさえ見えた。生理的嫌悪感を感じずにはいられない。
それにしても、王国軍は…?
どこにも王国軍の姿は見えなかった。それというのも、抗しきれなくなったとして渓谷の外まで後退してしまってたからだった。そして私達は、悠々と渓谷を進んでくる魔王軍の真ん前に現れたということだ。
いきなりこれとか、覚悟はしてたつもりだけど、これって完全に孤軍奮闘しろってことだよね…?
でもそんなことを考えてる暇もない。突然現れた私達に、魔王軍がいきり立つ気配が伝わってきた。ものすごい殺意だ。
なのにドゥケが言う。
「俺が突っ込んで奴らの勢いを削ぐ! 後は各個撃破してくれ!」
まるで草原目掛けて走り出すかのようにドゥケが魔王軍目掛けて馬を走らせた。普通に考えたら完全に頭おかしい行動だ。でもあいつはいつもそうだった。単騎で突っ込んで敵を混乱させ、指揮官を倒して私達が残った魔物を掃討する。それが普通だった。
そして今回も、剣の一振りで魔王軍の先陣を薙ぎ払う。だけど今回の魔王軍は、私達がこれまで相手してたのとは少し違ってた。巨大な蜂のような、空を飛ぶ魔物が控えてたんだ。しかも数も多い。
ドゥケはそれらさえ薙ぎ払うけど、さすがにこれまでとは勝手が違うらしくてかなりの数を討ち漏らしてたのだった。
念話による応援要請は次々届いてるということだった。私達はそれに応えなきゃいけない。応援要請を王都の方で検討して優先度の高いところに向かうことになる。
そして私達がまず向かう先は、レドネ渓谷の前線だった。
「ここは切り立った渓谷に挟まれた場所で、天然の要害だった。しかし魔王軍は数にモノを言わせて圧し切ろうとしているようだ。奴らは味方の犠牲とかまるで考えないからな。我らはそんな魔王軍に目にモノを見せてやらねばならない。各人奮闘を期待する!」
簡単なレクチャーを受け、整列し、リデムが転移魔法の為の詠唱を始める。私の手はじっとりと湿って胸が苦しいくらいに緊張してるのが自分でも分かる。それはみんなもそうだった。
やがてまばゆい光に包まれ、それが消えた時、私達の目の前には雲を衝くような急峻なそそり立つ崖が立ちはだかっていた。
『これが、レドネ渓谷……』
「ライアーネ様! 魔王軍です!」
誰かが叫んだ。その声に導かれるように視線を向けると、そこには狭い谷を埋め尽くすような魔物の群れが蠢いていた。それはもう<軍隊>というよりもただの大発生した昆虫の群れのようにさえ見えた。生理的嫌悪感を感じずにはいられない。
それにしても、王国軍は…?
どこにも王国軍の姿は見えなかった。それというのも、抗しきれなくなったとして渓谷の外まで後退してしまってたからだった。そして私達は、悠々と渓谷を進んでくる魔王軍の真ん前に現れたということだ。
いきなりこれとか、覚悟はしてたつもりだけど、これって完全に孤軍奮闘しろってことだよね…?
でもそんなことを考えてる暇もない。突然現れた私達に、魔王軍がいきり立つ気配が伝わってきた。ものすごい殺意だ。
なのにドゥケが言う。
「俺が突っ込んで奴らの勢いを削ぐ! 後は各個撃破してくれ!」
まるで草原目掛けて走り出すかのようにドゥケが魔王軍目掛けて馬を走らせた。普通に考えたら完全に頭おかしい行動だ。でもあいつはいつもそうだった。単騎で突っ込んで敵を混乱させ、指揮官を倒して私達が残った魔物を掃討する。それが普通だった。
そして今回も、剣の一振りで魔王軍の先陣を薙ぎ払う。だけど今回の魔王軍は、私達がこれまで相手してたのとは少し違ってた。巨大な蜂のような、空を飛ぶ魔物が控えてたんだ。しかも数も多い。
ドゥケはそれらさえ薙ぎ払うけど、さすがにこれまでとは勝手が違うらしくてかなりの数を討ち漏らしてたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?
mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。
乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか?
前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる