ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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なんで…?

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 四人で移動を始めて一週間。その間に見付けた集落はどれも無人だった。前線を押し戻したとは言っても魔王軍に支配されていた頃に滅ぼされてしまったり避難したから当然なんだけど、その度にがっかりしてしまうのは否めなかった。
 でも、
「…誰かいる…!」
 次の集落が見えていた時、私は人影が動くのが見えた気がして、自分のテンションがかあっと上がるのを感じた。
「ホント!?」
 アリスリスがそう言って大きく目を見開いてる。
 彼女にしてみれば、これでようやく普通の生活に戻れるんだろうから、当然だよね。
 最初は、「仲間の仇を討つんだ!」って目を三角にして言ってた彼女も、気分が落ち着いてくるにつれ、「それは私達に任せて」って言う私の言葉を受け入れてくれるようになっていった。アリスリスはまだ十一歳の女の子なんだから、それでいいと思う。
 カッセルも、「僕が彼女を故郷まで送り届けます」と言ってくれてる。それから、
「落ち着いたら手紙を書きます。だから無事でいてください」
 とも言ってくれた。もちろんそのつもりだった。
 なのに……



「……ダメ…あれは人じゃない…!」
 集落が近付いてくると、ポメリアが不意にそう声を上げた。「え…!?」と思って私もよくそれを見る。すると、人影に見えたのは、服を纏ったゾンビだった。
「はぐれ魔族…!?」
 でも、はぐれ魔族が人間の集落で生活してるなんて、聞いたこともない。どういうこと…?
 私がそう思っていると、
「シェリスタ!」
 ってアリスリスが声を上げた。
 それに振り返ると、いつの間にか私達はスケルトン兵に囲まれていた。
「なんで…? どうしてポメリアに気付かれなかったの…?」
 神妖精しんようせい族のポメリアは、魔族の気配に敏感だ。リデムの索敵魔法には遠く及ばなくても、近付いてくればそれを察することができることも多い。以前に囲まれたクモコウモリとかはむしろ獣や虫に近い存在だったから気配を消されると気付けなかったりしたけど、スケルトン兵なんかはそんなこともできなかったはずだ。
 慌てて剣を構える。
「カッセル! 私の剣!」
 アリスリスも預けていた剣を返してもらおうとカッセルに声を掛けてた。戦わせたくはなかったけど、この状況じゃ仕方ない。
 なのに、カッセルはそれに応えてくれなかった。それどころか、
「カッセル……!?」
 私が視線を向けた時、彼は、ポメリアの体を抱きかかえて、ゾンビ兵の方へと走っていく。
『え…? なに? 何が起こってるの…?』
 混乱する私に、スケルトン兵と並んだ彼が冷たく言い放った。
「神妖精族の巫女をここまで連れてきてくれて、ありがとう……」
 その目は、ゾッとするほどの暗い光を放ってたのだった。

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