ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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辻褄が

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 ティアンカの話を聞いた私は、延々とそれについて考えていた。
 魔王はそもそも、善神バーディナムが、人間の数が増えすぎないように、自らの加護がいきわたるように、世界を<調節>するためにわざと存在させている。
 思えば、嵐や干ばつや、この辺りでは少ないけど、遠くの国とかでは地震や津波といった大変な災害があって、その度に多くの人が亡くなったりしてるっていう。
 それもいうなれば<神の御意思>ってことなのかもしれない。
 魔王が存在することも、そういう天災の一つだということだと考えれば、そんなにおかしなことでもないのかもしれない。
 でも……
 だけどそれなら、どうしてわざわざ<勇者>まで用意して、戦わせようとするの? ただの天災なら、それが収まるまでひたすら待つしかないのに、どうして人間にも関わらせて区切りをつけさせようとするの?
 ティアンカの説明では、その辺りのことがまるで分らなかった。だから私は、その辺りのことがひどく引っかかるのを感じてた。
 ただの天災のように大人しく過ぎ去るのを待たせない理由……
 それについて思案していて、ふと、私の頭の中に浮かんだ考えに、私は体が勝手に震えてくるのを感じてしまった。
『まさか……理不尽な存在に抗って戦おうという意思を示す人間をあぶり出して、殺させるため……?』
 あまりにおぞましい。だけどそう考えたら納得できてしまうそれに、地の底に沈んでいくかのような錯覚に陥る。
 バーディナムの行いに対して憤って牙を剥く可能性のある人間を魔族と戦わせて間引くため……?
 イヤだ……
 信じたくない。そんなはずはない。だってバーディナムは慈愛に満ちた善なる神なんだから。
 ……でも、私は自分でそれを確かめたんだろうか? 物心ついたころから両親をはじめとした大人達にそう言い聞かされてきて、自分では確かめもしないままに『そうなんだ』と思い込んできただけなんじゃないのか?
 そう考えた時、私はさらに体が冷たくなるのを感じてしまった。
 そうだ……こうやって、バーディナムに対して疑問を抱いたり、不信感を覚えたりした者も、バーディナムを信じる人間達と戦って殺し合うことになるんじゃないの?
 私達が、カッセルに対して剣を向けたみたいに……
 そうして人間同士で殺し合えば、バーディナムに剣を向ける前に互いに力を削ぎ合う。潰し合う。その結果、バーディナムにまで届く前に力を失う。
 私の思い過ごしかもしれない。勝手にそんな妄想をしてしまっただけかもしれない。
 だけど……
 だけど……
 辻褄が合ってしまうんだ……そう考えたら……

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