ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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猛攻

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 私たちにとってその戦いは、どういう意味のあるものだったのか、今となっては分からない。正義とか、大義とか、そういうものを持ち出されても正直、ピンとこない。
 ただ、そうするように仕向けられたっていう実感しかなかった気がする。
 だけどその時は、確かに強い使命感に燃えてたんだ……



 一気呵成に魔王の城砦に攻め込んだ私たちは、魔王軍の意表を付けたのか、優位に戦いを進められた。私も自分がものすごく充実してるのが分かって、負けるなんていうのが全くイメージできなかった。
『いける!! このまま押し切れる!!』
 そんな感覚しかなかった。
 事実、守りの魔族たちを蹴散らし、私は、いの一番に魔王の城砦へと突入を果たした。そこに、アリスリスが追いつく形で現れる。
 城砦の中にも、魔族は溢れてた。ほんとに様々な種類の魔族がいたとは思うけど、もう、いちいち覚えてられなかった。どいつもこいつもひとまとめにして薙ぎ払っただけだから。
 だけど、振り返ると、青菫あおすみれ騎士団の団員たちが何人も倒れているのが目に入った。
「…く……っ!!」
 胸がぎりぎりと締め付けられる感じがする。でも、これは覚悟の上だ。みんなもその覚悟を決めて来たはずなんだ。
 みんなに守られて、ティアンカとリリナをはじめとした神妖精しんようせい族の女の子も追いついてくる。
 ヒールを掛けてもらえれば助かったかもしれないけど、今回の目的はあくまで魔王を倒すこと。
 でもその私たちの前に、巨大な影が現れた。
「ドラゴン!?」
 思わず声が漏れる。
 そう、ドラゴンだった。しかも三頭も。みな赤い目をして、魔王に操られてるのが分かった。さすがに魔王の本丸。攻め落とすとなれば守りも堅いか。
 私とアリスリスと、他の部隊に同道してた勇者二人が合流して、ドラゴンに向かう。
 だけど、ドラゴンは強力だった。ばらばらに攻めたら各個撃破される可能性があるからと、四人で一頭ずつ攻撃したけど、硬くて削ることもままならない。他の団員たちは、それこそ足手まといにしかならないから、他の雑魚を相手にしてもらう。
 でも、攻め切れない。
「くそっ! 硬すぎる」
 その時、合流した勇者の二人が、ドラゴンの尾の一撃をもろに受けて吹っ飛んだ。
「!?」
 マズい! 四対一でも攻めあぐねてたのに、私とアリスリスの二人だけでなんて……!
 それまではどこか現実味がないくらいに平然としてたのに、さすがに背筋に冷たいものが奔り抜け、はらわたを何かに鷲掴みにされるような感じがした。
 けれど―――――
「諦めるな!!」
 誰かが叫ぶ。聞き覚えのある、懐かしいような声。
「ドゥケ!?」
 ドゥケだった。ドゥケが弩弓から放たれた矢のようにまっすぐ宙を飛び、ドラゴンの目に剣を突き立てたのだった。

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