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新しい世界
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戦いの後、私とドゥケは、王都のはずれにある小さな屋敷を陛下からいただいて、そこにティアンカやポメリアやリデムも一緒に住むことにした。
バーディナムが死んだことは伝えなかったから、結果としては私たちが魔王を倒したことになってしまって陛下からは王国の領土の一部を授けられてそこを治める貴族になるようにも言われたんだけど、さすがにそれは受けるわけにはいかなかった。
で、結局、ドゥケが誰を選んだかって話なんだけど、
「ん? リデムは俺の実の姉さんだよ。魔法使いの家に養子として迎えられたからずっと別々に暮らしてきたけど」
ってドゥケが。
『って、なんじゃそりゃーっ!?』
「だだだ、だけど、キスとか……!」
そうだ、私は見たぞ、ドゥケとリデムがキスをしてたところ…! あれは決して<加護>を与える為のキスじゃなかった!
なのに。
「ああ、あれか。姉さん、酔うと誰かれ構わずキスしまくる人だから。昔に比べるとずいぶん大人しくはなったけど、今でも俺はだいたい襲われるな」
なんたること……!
実は、青菫騎士団の中ではそれは当たり前に知られた話で、当たり前すぎて私に教えるのを忘れてたんだって。実際、大半の団員がリデムに唇を奪われてたって。
「ごめんね~♡」
普段はすごく知性的な<大人の女性>だと思ってたリデムも、お酒が入ったり油断すると途端に砕けた雰囲気になるんだ。知らなかった。
ティアンカは私にべったりだし、ポメリアはティアンカと一緒で五歳くらいの女の子のままだし。
「シェリスタを助けたかったから無理に体を大きくしたら、力を使い果たしちゃって。だから村にいた人間の魔法使いにシェリスタのところに転移してもらって、それで何とかシェリスタのことは助けられたよ」
だって。それはポメリアも同じだったみたい。ドゥケを助けたくてってことで。
あと、ポメリアはあくまでドゥケのことを<お兄ちゃん>として慕ってただけで、異性として好きとか伴侶になりたいとかそういうのじゃなかったらしい。
で、そうなると必然的に、私がドゥケの<お嫁さん>ってことに…
でも、いいか。彼のことは好きだし。
しかも同じ<勇者>だってことでお似合いだからって、青菫騎士団のみんなからも「結婚しちゃえ♡」って。
だからなんだかなし崩し的に私とドゥケが結婚することになって。ティアンカは不服そうだったけど、「これからもずっとそばにいられるならいいよ」ってことで。
私も、ティアンカに対するわだかまりとかはない訳じゃないものの、<私を慕ってくれる小さな女の子>になってしまった彼女のことは無下にはできなかった。
それに、バーディナムがいなくなったことで、神妖精族としての力の多くは失われたみたい。体を大きくするのに必要な力も回復する様子がないって。だから人間と同じようにして成長するのを待つしかないみたいだね。
あ、そうそうそれから、<勇者の子を授かる>ためにドゥケの子を産んだコたちも、毎日のように入れ代わり立ち代わり子供を連れて屋敷に訪れてきた。
それと、アリスリスもリリナと一緒に訪ねてきて、私とドゥケに一発ずつ食らわせていった。私には頬に平手。ドゥケには腹にパンチ。
「ふん!」と鼻を鳴らしてそのまま帰っていったけど、リリナが困ったように微笑みながら言ってた。
「ホントは二人が帰ってくるまで泣いてたんです」
だって。それからも時々、遊びに来る。
当分はこの感じで賑やかなのが続きそう。
「ごめんな。ゆっくりできなくて」
深夜、ティアンカもポメリアも寝付いてリデムも自分も部屋に帰ってようやく二人きりになれた時、ドゥケが申し訳なさそうに言った。
私はそれにちょっと苦笑いを返しつつ、
「いいよ。カッセルも言ってたけど、私たちには時間はたっぷりあるみたいだから。せめてドゥケの子供たちが大きくなって一人前になってからでも遅くないと思う。
そしたらさ、いっそ、町から遠く離れたところに小さな家を建ててさ、そこに私とあなたとポメリアとティアンカの四人で暮らそうよ。リデムはきっといい人が見付かるし。
あ、でも、もしアリスリスが近くに住みたいって言ったらそれもいいかな」
なんてね。
「そうだな。そうしよう。俺たちにはそれが合ってるかもな」
と返す彼と見詰め合って、どちらからともなく顔を寄せていって、私たちは唇を重ねていた。
私たちの新しい世界の始まりを告げる口づけなのだった。
Fin~
バーディナムが死んだことは伝えなかったから、結果としては私たちが魔王を倒したことになってしまって陛下からは王国の領土の一部を授けられてそこを治める貴族になるようにも言われたんだけど、さすがにそれは受けるわけにはいかなかった。
で、結局、ドゥケが誰を選んだかって話なんだけど、
「ん? リデムは俺の実の姉さんだよ。魔法使いの家に養子として迎えられたからずっと別々に暮らしてきたけど」
ってドゥケが。
『って、なんじゃそりゃーっ!?』
「だだだ、だけど、キスとか……!」
そうだ、私は見たぞ、ドゥケとリデムがキスをしてたところ…! あれは決して<加護>を与える為のキスじゃなかった!
なのに。
「ああ、あれか。姉さん、酔うと誰かれ構わずキスしまくる人だから。昔に比べるとずいぶん大人しくはなったけど、今でも俺はだいたい襲われるな」
なんたること……!
実は、青菫騎士団の中ではそれは当たり前に知られた話で、当たり前すぎて私に教えるのを忘れてたんだって。実際、大半の団員がリデムに唇を奪われてたって。
「ごめんね~♡」
普段はすごく知性的な<大人の女性>だと思ってたリデムも、お酒が入ったり油断すると途端に砕けた雰囲気になるんだ。知らなかった。
ティアンカは私にべったりだし、ポメリアはティアンカと一緒で五歳くらいの女の子のままだし。
「シェリスタを助けたかったから無理に体を大きくしたら、力を使い果たしちゃって。だから村にいた人間の魔法使いにシェリスタのところに転移してもらって、それで何とかシェリスタのことは助けられたよ」
だって。それはポメリアも同じだったみたい。ドゥケを助けたくてってことで。
あと、ポメリアはあくまでドゥケのことを<お兄ちゃん>として慕ってただけで、異性として好きとか伴侶になりたいとかそういうのじゃなかったらしい。
で、そうなると必然的に、私がドゥケの<お嫁さん>ってことに…
でも、いいか。彼のことは好きだし。
しかも同じ<勇者>だってことでお似合いだからって、青菫騎士団のみんなからも「結婚しちゃえ♡」って。
だからなんだかなし崩し的に私とドゥケが結婚することになって。ティアンカは不服そうだったけど、「これからもずっとそばにいられるならいいよ」ってことで。
私も、ティアンカに対するわだかまりとかはない訳じゃないものの、<私を慕ってくれる小さな女の子>になってしまった彼女のことは無下にはできなかった。
それに、バーディナムがいなくなったことで、神妖精族としての力の多くは失われたみたい。体を大きくするのに必要な力も回復する様子がないって。だから人間と同じようにして成長するのを待つしかないみたいだね。
あ、そうそうそれから、<勇者の子を授かる>ためにドゥケの子を産んだコたちも、毎日のように入れ代わり立ち代わり子供を連れて屋敷に訪れてきた。
それと、アリスリスもリリナと一緒に訪ねてきて、私とドゥケに一発ずつ食らわせていった。私には頬に平手。ドゥケには腹にパンチ。
「ふん!」と鼻を鳴らしてそのまま帰っていったけど、リリナが困ったように微笑みながら言ってた。
「ホントは二人が帰ってくるまで泣いてたんです」
だって。それからも時々、遊びに来る。
当分はこの感じで賑やかなのが続きそう。
「ごめんな。ゆっくりできなくて」
深夜、ティアンカもポメリアも寝付いてリデムも自分も部屋に帰ってようやく二人きりになれた時、ドゥケが申し訳なさそうに言った。
私はそれにちょっと苦笑いを返しつつ、
「いいよ。カッセルも言ってたけど、私たちには時間はたっぷりあるみたいだから。せめてドゥケの子供たちが大きくなって一人前になってからでも遅くないと思う。
そしたらさ、いっそ、町から遠く離れたところに小さな家を建ててさ、そこに私とあなたとポメリアとティアンカの四人で暮らそうよ。リデムはきっといい人が見付かるし。
あ、でも、もしアリスリスが近くに住みたいって言ったらそれもいいかな」
なんてね。
「そうだな。そうしよう。俺たちにはそれが合ってるかもな」
と返す彼と見詰め合って、どちらからともなく顔を寄せていって、私たちは唇を重ねていた。
私たちの新しい世界の始まりを告げる口づけなのだった。
Fin~
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