はじまり

天鳥そら

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はじまり45

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~隠れ宿~ 


どれぐらいの時間がたったのか、馬車が止まった時、 
シキはうとうとと居眠りをしてしまっていました。 
着いたからと起こされて、三人で馬車をでると小さな 
品の良い民家に案内されました。 

こじんまりとしていましたが、過ごしやすそうな建物のなかに、 
入っていきます。 
玄関を通って、薄暗い廊下の先に暖炉の炎が燃える 
居間へと案内されました。 
そこには、薄いブルーのウェーブの髪と蒼い瞳をもった青年が 
お辞儀をして、どうぞとシキに席を勧めました。 
そばには、黒髪に碧眼の青年が控えています。 

二人とも派手ではないものの、品の良いいでたちでした。 
シキは礼をして、すすめられるままに席に座ります。 
まるで、貴族か王族の隠れ家のようだと思ったところで、 
青年が口を開きました。 

「このようなところにお呼びだてして、すまない」 

どうか、楽にしてほしいと朴訥ながら誠実な物言いに、 
シキは少し安心しました。 
シキのそばにソウが立ち、クローディアは青年の隣に 
腰をおろします。 
クローディアと青年のそばには、やっぱり黒髪の青年が 
そばに控えるように立っていました。 

「私は、キールと申します、後ろに立っているのはヨウメイ。」 

私の相棒のようなものですと簡単に自己紹介しました。 

「僕、いえ、私は…」 

「シキ様でございますね」 

それまで、黙って立っていたヨウメイが口を開きました。

町にある靴屋の主人であり、ご両親は幼い頃に亡くされている。 
祖父に靴屋としての技術を叩き込まれ、その祖父は他界され、 
一人で代々続く靴屋を営んでいる。 

「よく、ご存知で」 

「申し訳ない、少々調べさせてもらった」 

不快そうに顔を歪めたシキに、キールが詫びました。 

「単刀直入に話そう」 

飾り気のない口調に、シキがすっと表情を改めます。 

「私は、キール。この国の王子で、時期国王となる」 

一拍遅れて、シキの顔がこわばります。 
その様子には気にもとめず、キールはクローディアの肩を 
抱きました。 

「彼女は、クローディア。この国の末姫であり、私の婚約者です」 



つづく 
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