勇者置き去りの案内人

雪蟻

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第3章

☆保護者、全部制圧する

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「危ねぇ、逃げられるとこだった」
「まったく、キズもの好きに売るからってゴブリンにやらせなくてもいいじゃねぇかって話だよ」
「馬鹿か、今ならバレねぇだろ。ご丁寧にクリーンの魔法使ってくれてんだからよ」
「それもそうか、やっちまおうぜ。下着ならずらせば」

「断罪ってとこかしら」
高速回転させた刃のついた円盤を足につけ飛び上がって首を蹴る。
文字通り断ち切る罪ってことでひとつ。
「まったく、リリアはまだ未成熟な子供だと言うのに、欲情するなんて恥を知りなさい」
あら? 罪じゃなくて罰よね?
まぁいいわ。
「ちっ、効きが悪かったか」
「いいえ? リリアには充分な効き目ですとも。最低ね、ショックの魔法は子供に向けちゃダメだと教わらなかったのかしら」
本来は、気絶するような威力はないのだけど、相手が子供の場合、流れる魔力に身体が過剰に反応してしまい意識を失う。
場合によっては後遺症も残るため、犯罪者でもない限り子供への使用は重罪である。
「守護霊かなんかか? まぁいい、沈みな」
「私はリリアと違って、すり潰したりはしないから安心なさい」
ギアチェンジ、ファーストギア。
ソニックアクセル。
ぎゅいいいいんと、激しい音を立てつつ、足につけたローラーによって高速移動。
破砕しながら進むので、壁だろうが天井だろうが走破するオフロードの境地のような仕様です。
あんまり多用すると洞窟が削られて危険です。
「ギアドライブっていうのがリリアのスキルですけど、これはリリアがやっているような歯車を回すのではなく、触れている物や魔力で作り上げた物を高速回転させるスキルなんですよね、もちろん、重量があったり、動かすことが困難な洞窟などのような物は回ったりしませんけど、こんな風に、触れていればそこを軸に回せるんですよ、人体でも」
まぁ、それを物だと認識する必要があるのでリリアには不可能ですけれど。
「ぎいやああああ、いだい、いだい、腕が、俺の腕がああああああ」
うるさい方ですね、リリアをゴブリンの慰みものにしようとしておきながら、腕の1本や2本グルングルン回ったからと言って情けない醜態を晒さないでくれないかしら?
「さて、タグなんて上等なものは持ってないわね、仕方ない、首でいいわ」
グルンと回して、収納魔法で回収。
後は、外へ出るまでの間に、駆逐していきましょう。
ゴブリン退治は久しぶりのはずですからね。

「さて、依頼者さん、これでいいかしら? 洞窟に潜んでいたゴブリンとその上位種、並びに新種の魔物の討伐証よ、首でよろしかったかしら?」
あまりの嬉しさに腰を抜かしてしまったようですね?
もちろん、報酬は頂きましたよ。

シークレットギア、停止。

「うー、リリィ母様は過保護です」
シークレットギアは、私がエルシアと分けたリリィ母様です。
エルシアの方のリリィ母様は私と同じ幼子のような姿になってしまったと思いますが、向こうは危険がないので大丈夫でしょう。
対して、私はギアドライブに意識としてリリィ母様を放り込んでみました。
意思のあるスキルと言うわけです。
私とある意味同じですね。
私も純然たる生物ではなく、スキルによって生まれた存在ですから。
ちゃんと成長しますよ?
人、では無いかもしれませんが、人、と同じ構成もしておりますので、いずれは子供を産むことができるようになる予定です。
自在変化による生成がどうなってるのかは、リリィ母様ですら分からなかったので未知の領域ですが。
そんなシークレットギアのリリィ母様は、私がどうしようもないぐらい困った時などに、私の意思で顕現させるものでした。
まず、ファーストギアでリリィ母様の技術を扱えるようになり、セカンドギアで、リリィ母様の取得していたスキルを、サードギアで、リリィ母様の魔王との最終決戦時の身体能力に、最後にファイナルギアで、リリィ母様にバトンタッチ。
のはずでした。
「勝手に発動するなんて、聞いてないです」
そも、私の身体にはエルシアの本気の加護が掛けられており、死ぬような危険であれば、オートで防ぎます。
そして、ドレスがほとんどの危険から私を護ってくれます。
つまり、あの場で気を失っていたからとは言え、私に危害を加えるのは不可能なのです。
と、説明していたら、死なない、傷を負わないの条件が満たされていると、何をされても何も発動しないという欠陥があるから、そこを私が補うと返されました。
リリィ母様曰く、あのままだと私は、ゴブリン達にされたベタベタ液体まみれにではなく、子づk
閑話休題!
閑話休題ったら閑話休題なんです!
「えう」
泣きそうです。
嘘をつきました泣きました。
男の人は敵です、見たらすり潰します。
なんで、私みたいな子供にそんな事をしようとするんですか、魔物より魔物です。
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