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第二章
第35話 好く道より破る
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北フォーセリアの代官への指示、領民への周知などは意外にもあっさりと滞りなく終わった。
ランドラルド伯爵はもともと評判も悪く、北フォーセリアの代官サルファは民衆の不満と伯爵からの無理な重税の板挟みになりつつも、何とか暴動にならないように手を尽くしていた優秀な男だったので、侯爵の一時徴発に内心肩の荷が下りた思いを感じていた。
そして、一晩の休息の後、別邸でこれまでの報告も兼ねた今後の為の会議が開かれた。
出席者はジェイク侯爵、セリウス、そしてアイシャ、スヴァーグ、キュオの五人である。
「魔法使いキュオ様、スヴァーグ様、聖女アイシャの力になって下さり、誠にありがとうございます」
「うあああああ、そそそそそんな、とととと当然です!」
「おおおおおおお、お顔をお上げください! こここ、侯爵閣下!!」
全員が集まった早々に、侯爵閣下に片膝をついた挨拶をされたキュオとスヴァーグは、顔を真っ青にして飛び上がり、着地と同時に正座してしまった。侯爵閣下よりも高い位置で話すことなど出来ないと感じた生物的本能だろう。
(どうでも良いけど、膝、痛くないのかな)
アイシャはそう思ったが、本当にどうでも良かったので言及するのは止めておいた。
「スヴァーグ、キュオ、魔法使いはこの国で三番目に偉い地位なんですよ。もっと自信をお持ちなさい」
「「アイシャ様ぁ!!」」
「うふふ」
にやにや笑いながらそうからかうアイシャと魔法使いとのやり取りを見て、ジェイク侯爵はとても心が温かくなるのを感じていた。
(良い仲間に恵まれたのだな)
しかしその一方、侯爵には大きな気がかりがあった。
いや、侯爵だけではない。セリウスも、侯爵と全く同じ疑問を感じていた。
そう、アイシャと共にいるべき魔法使い「ルレーフェ・ハーズワート公爵令息」の姿がないことであった。
全員がソファに腰掛けたタイミングで、侯爵は口を開いた。
「アイシャ、ルレーフェ殿はどうしたのだ?」
侯爵は決して興味本位で聞いたわけでは無かった。
大抵こういう時の答えは二パターンである。
ルレーフェの戦死か、或いはアイシャとそりが合わず喧嘩別れしたか。
いずれにせよ良い展開にはならない。
ルレーフェが死亡したとすれば、むざむざ聖女が、公爵家の子息でもある魔法使いを死なせてしまったことになる。喧嘩別れしたとすれば、それは公爵家との関係悪化につながる。
どちらにしてもアイシャの双子の姉リーシャとハーズワート公爵家嫡男のヴェローニが結婚する以上、ハーズワート公爵家との軋轢を生むのだけは避けたかった。
「はい、最後の一人の魔法使いは元カートライア辺境伯領、つまり現魔王領の隣のリングブリムにいるという報告を陛下から頂戴いたしました。リングブリム子爵領の周辺のパリアペート男爵領、ラザフ男爵領、レバーシー伯爵領はすべて滅んでおり、リングブリム子爵領は完全に孤立しておりました。恐らくこのまま西側から制圧して行けば、我々一行が到着する前にリングブリムは崩壊してしまう事でしょう」
「なんと……リングブリム子爵領がそんな状況になっていようとは」
アイシャの言葉を侯爵とセリウスは頷きながら聞いていた。
「はい。仮にリングブリム子爵領に先に向かうにしても、私達ではその道のりは厳しいでしょう。たった一つの方法を除いては」
「それはなんだ!?」
この場でルレーフェの能力を知っている人間はアイシャだけである。そもそもアイシャは、スヴァーグとキュオにはまだルレーフェの事を話していなかった。
一瞬、ルレーフェの能力を話すことにアイシャは躊躇したが、この場にいる人間ならば大丈夫だろうと判断し、アイシャは少しの思考を挟んだ後に口を開いた。
「ルルの魔法は『認識阻害』の魔法。魔物から存在を認識されなくなる魔法です。つまり彼一人であれば、街道を全力で駆け抜け、魔物の群れの中を一直線にリングブリムに向かうことも可能なのです」
「……なるほど……そうであったか」
アイシャの発言に、ジェイク侯爵は納得したように呟いた。
ともあれ侯爵は、ルレーフェがいない理由が、アイシャとの関係悪化や死別では無くて一安心したのであった。
「わかった、ルレーフェ殿の事についてはこちらは納得した。次はアイシャの質問に答えよう。聞きたい事が多そうな顔をしているからな」
ひとまず自分の説明で納得してくれたようでアイシャは安心した。全てを話しては、ルルが「聖女よりも友人を優先した」とあらぬ嫌疑をかけられかねないからだ。
そんな事よりもアイシャには聞かなくてはならないことがある。先日からずっと「その話は後だ」と言われ続けていたアイシャはもはや限界だった。
「はい。では、父上、兄上。どのようにこの北フォーセリアに来られたのですか?」
「どのように、と言われても、馬で、だが?」
「もう、兄さま!」
セリウスのジョークに、アイシャは頬を膨らませてぽかぽかとセリウスの肩を叩いた。セリウスはその様子をにこにこ笑いながら見ている。
セリウスも、久しぶりにアイシャに会えたことが嬉しくて仕方ないのだろう。その表れであった。
「私が援軍の要請をしたのはアプマイレ準男爵領。しかも、それすらも到底間に合うはずはないタイミングでの父上と兄上のご到着です。フィアローディからどのようにしてここまでいらっしゃったのですか!?」
食ってかかるアイシャに、肩をすくめるセリウス。それとは対照的に、得意げに足を組み、自身の顎をつまんだ侯爵が口を開く。
「王宮からの通達で侯爵への陞爵を知らせてくれた使者殿がな、アイシャが半壊したアダワナ子爵領を奪還したという知らせをついでに持って来て下さってな。であれば、いずれはガルダ準男爵領、ランドラルド伯爵領を通り、ジャドニフ子爵領に向かうと踏んでおった。
我らフィアローディ侯爵領とリハリス子爵領、サンマリア男爵領、そしてアプマイレ準男爵領の四領地は、聖女支援同盟を組み、各地に斥候を派遣しておったのよ。」
なるほど、そんな事になっていたとは。
アイシャはそう思ったが、それではまだ父上は自分の質問に答えてはいない。
そんなアイシャの考えを読み取ったのか、今度はセリウスが補足の為に口を開いた。
「アイシャは、援軍の要請をアプマイレのダルタに頼んだのだろう?」
「はい。魔女シャルヘィスの軍勢を視認したと」
「ダルタと共に、実はエリオットもその場に一緒にいたのだよ。彼らは二手に分かれて、エリオットは直接サンマリアに向かった。そして、我々フィアローディ聖女軍は、最も前線に近く、軍が駐留出来るサンマリアでひと月ほど待機していた、と言う訳だ」
「そうでしたか……」
アイシャはエリオットの事を良く知っていた。フィアローディ聖女軍として戦っていた時に、優秀な斥候部隊の隊長として、とても良く働いてくれたからだ。
納得したアイシャに対して、ふふん、と侯爵が得意げに鼻を鳴らした。
しかし、次にアイシャの口から出た言葉は侯爵の予想を超えたものだった。
「父上! 侯爵に陞爵されたのでしょう? いくら何でも、領地をひと月も空けて、侯爵自らが前線に赴くなど、何をお考えなのですか!?」
娘に叱られて、侯爵はたじろいだ。公爵もセリウスもこんなに怒るアイシャを見たことがなかった。
「う、うむ、まあ、領地はディアスが仕切っておるし、問題は無い。あいつもそろそろ領地の運営を学ばせねばと思っていたところだしな」
「そういう問題ではございません! であればなおさら父上は領地に残り、ディアス兄さまの傍で色々とご教授なされるべきです!」
「いや、私も諫めたのだがな、父上が『アイシャの助けになりたい』と聞かなくてな。しかし、父上の気持ちも……」
セリウスは慌ててフォローに入ったが、その言葉を途中で止めた。
アイシャが大粒の涙を流していたからだ。
「私は聖女です! 聖女の戦いで、父上を戦場に駆り出し、万が一にも失うことがあれば、私は私を許せません。私に心配をかけないでくださいませ」
「アイシャ……」
侯爵は自身の迂闊な行動を恥じた。
確かに、今回の遠征で愛娘の窮地を救うことが出来た。
しかし、娘に会いたいがために、わざわざ自身が出張ることは、アイシャに要らぬ心配をかけるだけであった。
「すまぬ、アイシャ。どうしてもお前の力になりたくて。どうしてもお前の顔が見たくてな。しかし、お前の言う通り、迂闊な行動であった、許してくれ」
泣きそうな顔でアイシャに謝罪した侯爵の胸に、アイシャは顔をうずめた。
「……ごめんなさい、父上。私も……私も、お会いしたかった。それに、助けて下さり、ありがとうございました」
そんな聖女アイシャと、彼女の頭を優しく撫でる侯爵の姿を見て、感動するキュオ。そしてスヴァーグは安心したように笑みを浮かべていた。
常に毅然とした態度で、ずっと張りつめていたアイシャ様。そんな聖女様も一人の女の子なのだ。その緊張の糸をどこかでほぐさねばならない。
スヴァーグの微笑みは、そう考えていた彼の、安心の表れであった
そして一同は、一度気分を落ち着かせるために休憩を挟んだのち、改めて、戦の会議に入った。
窮地を一時的に脱したとはいえ、まだまだ問題は山積みである。
「アイシャよ、このフォーセリア戦線はどうすれば我々の勝利なのだ?」
侯爵が、いの一番にそう聞いた。
そしてそれは確かに、この場で最も明確で有用な質問に思えた。
「あの魔物の量、ダルタからの報告……恐らく、魔女シャルヘィスの魔法で、魔物を大量生産しているのでしょう。しかし、それも無限では無いはず。我々の勝利条件は二つ。
一つ、前線に出て来た魔女シャルヘィスを討伐し、残りの魔物を殲滅する。
二つ、シャルヘイルがもう魔物を生み出せなくなるまで魔物を倒し続ける」
「後者の場合、シャルヘィスは逃げて、再び回復のための休眠に入ってしまうのではないか?」
「はい。しかし、もしもシャルヘィスが再び回復のために休眠状態に入ったのならば、それでも問題ありません。その間に魔王を討伐してしまえばいいのですから。しかし、恐らくはシャルヘイスもそれを良しとはしないはず。限界まで魔物を生み出すことはせず、良き所で自ら戦線に赴くでしょう」
アイシャの言葉に、全員が納得したように頷いた。
「では次に、アイシャのあの魔法は何なのだ?」
「そ、それは僕も聞きたかったです! アイシャ様、あれはいったい?」
セリウスの言葉にスヴァーグが同意する。
『あの魔法』
それがアイシャの放った最終魔法であることは誰の耳にも明らかだった。
「はい。あれは聖女の魔法の中でも、最高位の必殺技、と聞いています」
「過去の聖女様の記憶、か」
侯爵の言葉にアイシャは深刻そうに頷いた。
「しかし、どの聖女様も、過去の戦いで一度しか使っておりません」
「……ええっ! それってつまり!?」
なにかに気づき大声を上げるキュオ。そして一瞬遅れて皆がその真意に辿り着いた。
もしも一度しか使えない最強奥義があるとしたら、一体どこで使うだろうか?
当然、対魔王戦に決まっている。
きっと過去の聖女様はそうしたのだろう。
それを、アイシャは既に使用してしまったのだ。
つまりは、全員がその答えに辿り着いていた。
「あ、あの技は、その……二度は使えないのか?」
「分かりません。使えないことは無いと思いますが……使ったらどうなってしまうのか。私自身もただでは済まないのかもしれません」
恐る恐る聞いた侯爵にとって絶望的な答えがアイシャから返ってきた。
もしも二度目の使用により娘の命が危ぶまれる魔法なのだとしたら、絶対に使わせてはならない。
侯爵を含め全員がそう考えていた。
(……なんてことだ。ランドラルド伯爵め。斬首では生ぬるいほどの大罪であるぞ)
終わったことを嘆いていても仕方がない。侯爵は心底にまで感じていた恨み節を頭からかき消した。
「よし、であれば、我々はアイシャにあの技を使わせることの無いようにこの戦を勝利に導こうではないか。なに、その後の事はその後だ。ルレーフェ殿も含め、リングブリムの魔法使いも加わるのだからやりようはあるだろう。ひとまず、我々の作戦は、アイシャの魔法で敵を弱らせつつ、騎馬隊が倒し続ける。それだけだ」
侯爵の言葉に、異を唱える者はいなかった。現状それが最も効率的な戦い方であることは明白であった。
「はい。異存はありません、お父様。しかし、より効率的な配置を提案したく存じます」
異は唱えなかったが、アイシャが一つの条件を作戦に追加した。
「父上は後ろにスヴァーグを乗せて、私の傍を離れないでください。彼の魔法で、私の魔法の範囲を拡大します。そして、キュオは私の後ろに乗り、私の魔素を回復させてください。これで、あの頃よりも何十倍も戦いやすくなるはずです」
「おお、よし分かった!」
「はい、アイシャ様!」
「ちょっ! えええ!?」
素直に了解した侯爵とキュオ。しかし、スヴァーグだけはアイシャの下知に驚きの声を上げた。
「ぼぼぼ、僕が侯爵閣下の馬の後ろに!?」
「ははは、スヴァーグ殿、貴殿は今やこの国の三番目の地位なのですぞ? そのように申されますれば、貴族社会では『侯爵の馬では役者不足』と言っていることになってしまいますぞ?」
「いえいえいえ、滅相もございません! どうぞよろしくお願いいたします、侯爵閣下!」
スヴァーグをからかいつつも、娘の友人とがっちりと握手を交わす公爵。その光景を見ながら、セリウスはこの配置の真の意味に辿り着いていた。
(スヴァーグ殿を後ろに乗せる事で、父上はアイシャの馬から離れられなくなる。そしてアイシャの後ろには回復特化の魔法使い。手が届きそうな魔物はアイシャが直接攻撃できる。この状況であればアイシャは絶対に父上を守りきれるだろう)
完璧だ。
そう思い、思わずセリウスはアイシャを見た。すると、既に彼の方を見ていた彼女と目が合った。そしてアイシャは何やら意味ありげに、ニッコリと微笑んだ。
その笑顔が、
「これで兄さまも、お父様の心配をせずに戦えますでしょ?」
と語っていた。
(全く、成長したものだ。うちの聖女様も)
そう思ったセリウスは、苦笑いしながら肩をすくめるしかなかった。
******
――その数時間前。
「……なんだ? あれは」
結局、シャルヘィスを目撃した俺ことルレーフェは、山を下らずに、そのまま山の尾根に沿って移動をしていた。
山を降り、敵の殿を追うように森林に突入するのはちょっと危険すぎる。この辺の魔物はシャルヘィスの管轄である可能性が高い。後ろからバッサバッサと敵を倒していては、それに気づいたシャルヘィスが様子を見に来る可能性も否めないのだ。
で、俺は、山の道に沿いながら、下ったり登ったりしつつも、森林の真横を走っていた。
その時である。
急に風向きが変わった。
いや、寧ろ、遠くの平地から強い風が流れてくる、と言った方が近いかもしれない。
森がざわつき、鳥がばたばたと逃げ始める。
そして……。
それは起こった。
なんか良く分からない光の帯が、ばびゅーんと空に伸びて言ったのだ。
(……嘘だろ?)
誰の仕業かは、考えるまでもない。明らかにアイシャの魔法だろう。
いやしかし、だ。だとしたら。
聖女ってのは生身の身体で、機動戦艦から放たれるようなグラビティ〇ラストを撃てる存在、という事になってしまう。
もしも俺があんなのが撃てる存在だとしたら、だ。
「エネルギー充填!」
「トライパワートゥマキシマム!」
「てぇ~!」
って全部一人でやってしまうところである。
うおおお、超気持ちよさそう!
……いや、それよりも、だ。
あんなのを撃ったという事は、アイシャは相当ピンチだったという事になる。
そもそも、あんな砲撃を撃って、聖女の魔素は大丈夫なのだろうか。
思わず心配になった俺は、その場で相棒から降り、フォーセリアを見てみようと、岩肌をよじ登り、少し広めの高台に上がってみた。
(この上からなら、戦況が少しは見え……)
俺は自身のその行動を死ぬほど後悔した。
何がトライパワートゥマキシマムだ。
いくら何でも調子に乗り過ぎだ。
『好く道より破る』
この諺が、俺の胸に矢のように突き刺さった。
もっと分かり易く言えば。
そう。
『油断大敵』
俺は魔物に見つからない。
俺は完全にその事実に胡坐をかいていた。
……そりゃあそうだ。
あれが聖女の攻撃だとしたら。
気になるのは俺だけではないわな。
そこの高台には、黒いドレス姿の少女が、謎の光の砲撃の正体を探るかのように、背中を向けて立っていた。
(魔女シャルヘィス???!!!)
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
使徒を肉眼で確認!
いや、ふざけている場合じゃない、マジでヤバイ!
しかし幸い、奴は俺に気づいていない。
今のうちに後ろに飛び降りるか?
いや、ゆっくり後ずさりながら……。
あ……。
シャルヘィスがこちらに振り向いた。
ぐおおおお! ジーザス!
いや、しかし、俺の存在はゲージャには気づかれなかった。
コイツにもワンチャン気づかれない可能性も……。
……そんなワンチャンは無かった。
だって、今、めっちゃ目が合っているもん!
シャルヘイスは、少し目を細めながら、たまに目をこすりながら、こちらを推し量るように見ていた。
ヤバイどうしよう。
いや、しかし、俺に敵意は向けていないはずだ。
最初にフェリエラに会った時もそうだった。
しかも今は、シャルヘィスの管轄の魔物を倒してるわけでは無い。
あの時と同じように、「魔物の生まれ変わり」とかなんとか嘘ついてでも、交渉に持ち込まなくては……。
俺はポーカーフェイスを保ちながら頭をフル回転させていた。
そして……。
そんな俺に、シャルヘィスはため息を一つついて、俺の想像の遥か斜め上の発言をぶっこんで来たのだった。
『……はあ、こんなところで何してるのよ、ドーディア?』
(第36話 『しがみついた生の果て』へつづく)
ランドラルド伯爵はもともと評判も悪く、北フォーセリアの代官サルファは民衆の不満と伯爵からの無理な重税の板挟みになりつつも、何とか暴動にならないように手を尽くしていた優秀な男だったので、侯爵の一時徴発に内心肩の荷が下りた思いを感じていた。
そして、一晩の休息の後、別邸でこれまでの報告も兼ねた今後の為の会議が開かれた。
出席者はジェイク侯爵、セリウス、そしてアイシャ、スヴァーグ、キュオの五人である。
「魔法使いキュオ様、スヴァーグ様、聖女アイシャの力になって下さり、誠にありがとうございます」
「うあああああ、そそそそそんな、とととと当然です!」
「おおおおおおお、お顔をお上げください! こここ、侯爵閣下!!」
全員が集まった早々に、侯爵閣下に片膝をついた挨拶をされたキュオとスヴァーグは、顔を真っ青にして飛び上がり、着地と同時に正座してしまった。侯爵閣下よりも高い位置で話すことなど出来ないと感じた生物的本能だろう。
(どうでも良いけど、膝、痛くないのかな)
アイシャはそう思ったが、本当にどうでも良かったので言及するのは止めておいた。
「スヴァーグ、キュオ、魔法使いはこの国で三番目に偉い地位なんですよ。もっと自信をお持ちなさい」
「「アイシャ様ぁ!!」」
「うふふ」
にやにや笑いながらそうからかうアイシャと魔法使いとのやり取りを見て、ジェイク侯爵はとても心が温かくなるのを感じていた。
(良い仲間に恵まれたのだな)
しかしその一方、侯爵には大きな気がかりがあった。
いや、侯爵だけではない。セリウスも、侯爵と全く同じ疑問を感じていた。
そう、アイシャと共にいるべき魔法使い「ルレーフェ・ハーズワート公爵令息」の姿がないことであった。
全員がソファに腰掛けたタイミングで、侯爵は口を開いた。
「アイシャ、ルレーフェ殿はどうしたのだ?」
侯爵は決して興味本位で聞いたわけでは無かった。
大抵こういう時の答えは二パターンである。
ルレーフェの戦死か、或いはアイシャとそりが合わず喧嘩別れしたか。
いずれにせよ良い展開にはならない。
ルレーフェが死亡したとすれば、むざむざ聖女が、公爵家の子息でもある魔法使いを死なせてしまったことになる。喧嘩別れしたとすれば、それは公爵家との関係悪化につながる。
どちらにしてもアイシャの双子の姉リーシャとハーズワート公爵家嫡男のヴェローニが結婚する以上、ハーズワート公爵家との軋轢を生むのだけは避けたかった。
「はい、最後の一人の魔法使いは元カートライア辺境伯領、つまり現魔王領の隣のリングブリムにいるという報告を陛下から頂戴いたしました。リングブリム子爵領の周辺のパリアペート男爵領、ラザフ男爵領、レバーシー伯爵領はすべて滅んでおり、リングブリム子爵領は完全に孤立しておりました。恐らくこのまま西側から制圧して行けば、我々一行が到着する前にリングブリムは崩壊してしまう事でしょう」
「なんと……リングブリム子爵領がそんな状況になっていようとは」
アイシャの言葉を侯爵とセリウスは頷きながら聞いていた。
「はい。仮にリングブリム子爵領に先に向かうにしても、私達ではその道のりは厳しいでしょう。たった一つの方法を除いては」
「それはなんだ!?」
この場でルレーフェの能力を知っている人間はアイシャだけである。そもそもアイシャは、スヴァーグとキュオにはまだルレーフェの事を話していなかった。
一瞬、ルレーフェの能力を話すことにアイシャは躊躇したが、この場にいる人間ならば大丈夫だろうと判断し、アイシャは少しの思考を挟んだ後に口を開いた。
「ルルの魔法は『認識阻害』の魔法。魔物から存在を認識されなくなる魔法です。つまり彼一人であれば、街道を全力で駆け抜け、魔物の群れの中を一直線にリングブリムに向かうことも可能なのです」
「……なるほど……そうであったか」
アイシャの発言に、ジェイク侯爵は納得したように呟いた。
ともあれ侯爵は、ルレーフェがいない理由が、アイシャとの関係悪化や死別では無くて一安心したのであった。
「わかった、ルレーフェ殿の事についてはこちらは納得した。次はアイシャの質問に答えよう。聞きたい事が多そうな顔をしているからな」
ひとまず自分の説明で納得してくれたようでアイシャは安心した。全てを話しては、ルルが「聖女よりも友人を優先した」とあらぬ嫌疑をかけられかねないからだ。
そんな事よりもアイシャには聞かなくてはならないことがある。先日からずっと「その話は後だ」と言われ続けていたアイシャはもはや限界だった。
「はい。では、父上、兄上。どのようにこの北フォーセリアに来られたのですか?」
「どのように、と言われても、馬で、だが?」
「もう、兄さま!」
セリウスのジョークに、アイシャは頬を膨らませてぽかぽかとセリウスの肩を叩いた。セリウスはその様子をにこにこ笑いながら見ている。
セリウスも、久しぶりにアイシャに会えたことが嬉しくて仕方ないのだろう。その表れであった。
「私が援軍の要請をしたのはアプマイレ準男爵領。しかも、それすらも到底間に合うはずはないタイミングでの父上と兄上のご到着です。フィアローディからどのようにしてここまでいらっしゃったのですか!?」
食ってかかるアイシャに、肩をすくめるセリウス。それとは対照的に、得意げに足を組み、自身の顎をつまんだ侯爵が口を開く。
「王宮からの通達で侯爵への陞爵を知らせてくれた使者殿がな、アイシャが半壊したアダワナ子爵領を奪還したという知らせをついでに持って来て下さってな。であれば、いずれはガルダ準男爵領、ランドラルド伯爵領を通り、ジャドニフ子爵領に向かうと踏んでおった。
我らフィアローディ侯爵領とリハリス子爵領、サンマリア男爵領、そしてアプマイレ準男爵領の四領地は、聖女支援同盟を組み、各地に斥候を派遣しておったのよ。」
なるほど、そんな事になっていたとは。
アイシャはそう思ったが、それではまだ父上は自分の質問に答えてはいない。
そんなアイシャの考えを読み取ったのか、今度はセリウスが補足の為に口を開いた。
「アイシャは、援軍の要請をアプマイレのダルタに頼んだのだろう?」
「はい。魔女シャルヘィスの軍勢を視認したと」
「ダルタと共に、実はエリオットもその場に一緒にいたのだよ。彼らは二手に分かれて、エリオットは直接サンマリアに向かった。そして、我々フィアローディ聖女軍は、最も前線に近く、軍が駐留出来るサンマリアでひと月ほど待機していた、と言う訳だ」
「そうでしたか……」
アイシャはエリオットの事を良く知っていた。フィアローディ聖女軍として戦っていた時に、優秀な斥候部隊の隊長として、とても良く働いてくれたからだ。
納得したアイシャに対して、ふふん、と侯爵が得意げに鼻を鳴らした。
しかし、次にアイシャの口から出た言葉は侯爵の予想を超えたものだった。
「父上! 侯爵に陞爵されたのでしょう? いくら何でも、領地をひと月も空けて、侯爵自らが前線に赴くなど、何をお考えなのですか!?」
娘に叱られて、侯爵はたじろいだ。公爵もセリウスもこんなに怒るアイシャを見たことがなかった。
「う、うむ、まあ、領地はディアスが仕切っておるし、問題は無い。あいつもそろそろ領地の運営を学ばせねばと思っていたところだしな」
「そういう問題ではございません! であればなおさら父上は領地に残り、ディアス兄さまの傍で色々とご教授なされるべきです!」
「いや、私も諫めたのだがな、父上が『アイシャの助けになりたい』と聞かなくてな。しかし、父上の気持ちも……」
セリウスは慌ててフォローに入ったが、その言葉を途中で止めた。
アイシャが大粒の涙を流していたからだ。
「私は聖女です! 聖女の戦いで、父上を戦場に駆り出し、万が一にも失うことがあれば、私は私を許せません。私に心配をかけないでくださいませ」
「アイシャ……」
侯爵は自身の迂闊な行動を恥じた。
確かに、今回の遠征で愛娘の窮地を救うことが出来た。
しかし、娘に会いたいがために、わざわざ自身が出張ることは、アイシャに要らぬ心配をかけるだけであった。
「すまぬ、アイシャ。どうしてもお前の力になりたくて。どうしてもお前の顔が見たくてな。しかし、お前の言う通り、迂闊な行動であった、許してくれ」
泣きそうな顔でアイシャに謝罪した侯爵の胸に、アイシャは顔をうずめた。
「……ごめんなさい、父上。私も……私も、お会いしたかった。それに、助けて下さり、ありがとうございました」
そんな聖女アイシャと、彼女の頭を優しく撫でる侯爵の姿を見て、感動するキュオ。そしてスヴァーグは安心したように笑みを浮かべていた。
常に毅然とした態度で、ずっと張りつめていたアイシャ様。そんな聖女様も一人の女の子なのだ。その緊張の糸をどこかでほぐさねばならない。
スヴァーグの微笑みは、そう考えていた彼の、安心の表れであった
そして一同は、一度気分を落ち着かせるために休憩を挟んだのち、改めて、戦の会議に入った。
窮地を一時的に脱したとはいえ、まだまだ問題は山積みである。
「アイシャよ、このフォーセリア戦線はどうすれば我々の勝利なのだ?」
侯爵が、いの一番にそう聞いた。
そしてそれは確かに、この場で最も明確で有用な質問に思えた。
「あの魔物の量、ダルタからの報告……恐らく、魔女シャルヘィスの魔法で、魔物を大量生産しているのでしょう。しかし、それも無限では無いはず。我々の勝利条件は二つ。
一つ、前線に出て来た魔女シャルヘィスを討伐し、残りの魔物を殲滅する。
二つ、シャルヘイルがもう魔物を生み出せなくなるまで魔物を倒し続ける」
「後者の場合、シャルヘィスは逃げて、再び回復のための休眠に入ってしまうのではないか?」
「はい。しかし、もしもシャルヘィスが再び回復のために休眠状態に入ったのならば、それでも問題ありません。その間に魔王を討伐してしまえばいいのですから。しかし、恐らくはシャルヘイスもそれを良しとはしないはず。限界まで魔物を生み出すことはせず、良き所で自ら戦線に赴くでしょう」
アイシャの言葉に、全員が納得したように頷いた。
「では次に、アイシャのあの魔法は何なのだ?」
「そ、それは僕も聞きたかったです! アイシャ様、あれはいったい?」
セリウスの言葉にスヴァーグが同意する。
『あの魔法』
それがアイシャの放った最終魔法であることは誰の耳にも明らかだった。
「はい。あれは聖女の魔法の中でも、最高位の必殺技、と聞いています」
「過去の聖女様の記憶、か」
侯爵の言葉にアイシャは深刻そうに頷いた。
「しかし、どの聖女様も、過去の戦いで一度しか使っておりません」
「……ええっ! それってつまり!?」
なにかに気づき大声を上げるキュオ。そして一瞬遅れて皆がその真意に辿り着いた。
もしも一度しか使えない最強奥義があるとしたら、一体どこで使うだろうか?
当然、対魔王戦に決まっている。
きっと過去の聖女様はそうしたのだろう。
それを、アイシャは既に使用してしまったのだ。
つまりは、全員がその答えに辿り着いていた。
「あ、あの技は、その……二度は使えないのか?」
「分かりません。使えないことは無いと思いますが……使ったらどうなってしまうのか。私自身もただでは済まないのかもしれません」
恐る恐る聞いた侯爵にとって絶望的な答えがアイシャから返ってきた。
もしも二度目の使用により娘の命が危ぶまれる魔法なのだとしたら、絶対に使わせてはならない。
侯爵を含め全員がそう考えていた。
(……なんてことだ。ランドラルド伯爵め。斬首では生ぬるいほどの大罪であるぞ)
終わったことを嘆いていても仕方がない。侯爵は心底にまで感じていた恨み節を頭からかき消した。
「よし、であれば、我々はアイシャにあの技を使わせることの無いようにこの戦を勝利に導こうではないか。なに、その後の事はその後だ。ルレーフェ殿も含め、リングブリムの魔法使いも加わるのだからやりようはあるだろう。ひとまず、我々の作戦は、アイシャの魔法で敵を弱らせつつ、騎馬隊が倒し続ける。それだけだ」
侯爵の言葉に、異を唱える者はいなかった。現状それが最も効率的な戦い方であることは明白であった。
「はい。異存はありません、お父様。しかし、より効率的な配置を提案したく存じます」
異は唱えなかったが、アイシャが一つの条件を作戦に追加した。
「父上は後ろにスヴァーグを乗せて、私の傍を離れないでください。彼の魔法で、私の魔法の範囲を拡大します。そして、キュオは私の後ろに乗り、私の魔素を回復させてください。これで、あの頃よりも何十倍も戦いやすくなるはずです」
「おお、よし分かった!」
「はい、アイシャ様!」
「ちょっ! えええ!?」
素直に了解した侯爵とキュオ。しかし、スヴァーグだけはアイシャの下知に驚きの声を上げた。
「ぼぼぼ、僕が侯爵閣下の馬の後ろに!?」
「ははは、スヴァーグ殿、貴殿は今やこの国の三番目の地位なのですぞ? そのように申されますれば、貴族社会では『侯爵の馬では役者不足』と言っていることになってしまいますぞ?」
「いえいえいえ、滅相もございません! どうぞよろしくお願いいたします、侯爵閣下!」
スヴァーグをからかいつつも、娘の友人とがっちりと握手を交わす公爵。その光景を見ながら、セリウスはこの配置の真の意味に辿り着いていた。
(スヴァーグ殿を後ろに乗せる事で、父上はアイシャの馬から離れられなくなる。そしてアイシャの後ろには回復特化の魔法使い。手が届きそうな魔物はアイシャが直接攻撃できる。この状況であればアイシャは絶対に父上を守りきれるだろう)
完璧だ。
そう思い、思わずセリウスはアイシャを見た。すると、既に彼の方を見ていた彼女と目が合った。そしてアイシャは何やら意味ありげに、ニッコリと微笑んだ。
その笑顔が、
「これで兄さまも、お父様の心配をせずに戦えますでしょ?」
と語っていた。
(全く、成長したものだ。うちの聖女様も)
そう思ったセリウスは、苦笑いしながら肩をすくめるしかなかった。
******
――その数時間前。
「……なんだ? あれは」
結局、シャルヘィスを目撃した俺ことルレーフェは、山を下らずに、そのまま山の尾根に沿って移動をしていた。
山を降り、敵の殿を追うように森林に突入するのはちょっと危険すぎる。この辺の魔物はシャルヘィスの管轄である可能性が高い。後ろからバッサバッサと敵を倒していては、それに気づいたシャルヘィスが様子を見に来る可能性も否めないのだ。
で、俺は、山の道に沿いながら、下ったり登ったりしつつも、森林の真横を走っていた。
その時である。
急に風向きが変わった。
いや、寧ろ、遠くの平地から強い風が流れてくる、と言った方が近いかもしれない。
森がざわつき、鳥がばたばたと逃げ始める。
そして……。
それは起こった。
なんか良く分からない光の帯が、ばびゅーんと空に伸びて言ったのだ。
(……嘘だろ?)
誰の仕業かは、考えるまでもない。明らかにアイシャの魔法だろう。
いやしかし、だ。だとしたら。
聖女ってのは生身の身体で、機動戦艦から放たれるようなグラビティ〇ラストを撃てる存在、という事になってしまう。
もしも俺があんなのが撃てる存在だとしたら、だ。
「エネルギー充填!」
「トライパワートゥマキシマム!」
「てぇ~!」
って全部一人でやってしまうところである。
うおおお、超気持ちよさそう!
……いや、それよりも、だ。
あんなのを撃ったという事は、アイシャは相当ピンチだったという事になる。
そもそも、あんな砲撃を撃って、聖女の魔素は大丈夫なのだろうか。
思わず心配になった俺は、その場で相棒から降り、フォーセリアを見てみようと、岩肌をよじ登り、少し広めの高台に上がってみた。
(この上からなら、戦況が少しは見え……)
俺は自身のその行動を死ぬほど後悔した。
何がトライパワートゥマキシマムだ。
いくら何でも調子に乗り過ぎだ。
『好く道より破る』
この諺が、俺の胸に矢のように突き刺さった。
もっと分かり易く言えば。
そう。
『油断大敵』
俺は魔物に見つからない。
俺は完全にその事実に胡坐をかいていた。
……そりゃあそうだ。
あれが聖女の攻撃だとしたら。
気になるのは俺だけではないわな。
そこの高台には、黒いドレス姿の少女が、謎の光の砲撃の正体を探るかのように、背中を向けて立っていた。
(魔女シャルヘィス???!!!)
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
使徒を肉眼で確認!
いや、ふざけている場合じゃない、マジでヤバイ!
しかし幸い、奴は俺に気づいていない。
今のうちに後ろに飛び降りるか?
いや、ゆっくり後ずさりながら……。
あ……。
シャルヘィスがこちらに振り向いた。
ぐおおおお! ジーザス!
いや、しかし、俺の存在はゲージャには気づかれなかった。
コイツにもワンチャン気づかれない可能性も……。
……そんなワンチャンは無かった。
だって、今、めっちゃ目が合っているもん!
シャルヘイスは、少し目を細めながら、たまに目をこすりながら、こちらを推し量るように見ていた。
ヤバイどうしよう。
いや、しかし、俺に敵意は向けていないはずだ。
最初にフェリエラに会った時もそうだった。
しかも今は、シャルヘィスの管轄の魔物を倒してるわけでは無い。
あの時と同じように、「魔物の生まれ変わり」とかなんとか嘘ついてでも、交渉に持ち込まなくては……。
俺はポーカーフェイスを保ちながら頭をフル回転させていた。
そして……。
そんな俺に、シャルヘィスはため息を一つついて、俺の想像の遥か斜め上の発言をぶっこんで来たのだった。
『……はあ、こんなところで何してるのよ、ドーディア?』
(第36話 『しがみついた生の果て』へつづく)
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