泡沫ユートピア

安達夷三郎

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十六話

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お昼休み、私は放課後の約束が楽しみで仕方なくて、ウキウキしながら廊下を歩いていたら、すれ違い様、誰かにポンと肩を叩かれた。
「何か嬉しいことでもあったの?」
誰かと思えばその相手は、蓮くん。
嬉しいのが顔に出てたかと思うと、何だか少し恥ずかしい。
「えっと、放課後に友達と遊ぶ約束したから、それが楽しみで」
「約束?もしかして、、、男の子?」
「違うよ、真依ちゃんだよ」
「そっか、なら良かった」
良かった、、、?何で?
なんて不思議に思っていたら、次の瞬間。
「キャー!蓮斗くんー!!」
何処からか、女子達の甲高い声が聞こえた。
ハッとして声のする方を見ると、派手な服装の上級生三人組が立っていた。
「あ」
蓮くんは彼女達を見るや否や、すかさず私の手を握ってくる。
そして。
「未来ちゃん、逃げるよ」
「え?」
いきなりその手を引いて走り出すものだから、私は内心あわあわしながらついて行く。
な、何で私まで一緒に?
「やだ~、蓮斗くん、待ってよ~」
蓮くんは彼女達の声を無視して、空き教室へと逃げ込んだ。
そして、扉を閉め、近くに置いてあった椅子に座る。
「疲れた~、、、」
ホッとしたように呟く蓮くんの隣に、私も座る。
「今のって、ツインズの人達?」
さり気なくそう聞くと、蓮くんがふぅとため息をついて頷いた。
「うん。そうだよ」
「そっか、、、大変だね」
それにしても蓮くん達凄いな~。同級生だけじゃなく、上級生にも人気があるんだ。
でも、追いかけ回されるのも何かと大変だよね。まるで芸能人みたい。
するとそこで、蓮くんは私の顔をじっと見てきたかと思うと
「あれから何もされていないよね、、、?」
と、心配げに聞いてきた。
「うん。あの時はありがとうね」
「ごめんね、、、守るって約束したのに、、、」
蓮くんはシュンとした。あれ、、、犬耳が見える。幻覚かな?
「蓮くんも悠くんにも本当に感謝してるし、私は二人と一緒にいれて楽しいから!」
そしたら蓮くんは一瞬目を見開いたかと思うと、私の頭に手を乗せた。
そして、その手を私の頭の後ろにまわしたかと思うと、自分の方へ抱き寄せた。
「、、、絶対に、未来ちゃんを守るから、、、だから、、、!!」
「でも、守ってばかりじゃ悪いから、私に出来ることがあったら何でも言ってね!」
「、、、それ、何でも良いの?」
うん。と言いかけて、誕生日会の時に渡された契約書のことを思い出した。
「あ、契約書以外でね!」
一応、念を押しておいたら蓮くんがクスッと笑った。
「じゃあ、またホットケーキ作ってほしいな」
そう言われて、思わず笑みが溢れる。
蓮くんは随分前に作ったホットケーキ、気に入ってくれたみたい。嬉しいな。
「うん!良いよ!!」
笑顔で頷いたら、蓮くんは天使みたいに可愛い笑顔で微笑んでくれた。
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