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十九話
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真依ちゃんと休日に遊んでいた時のことだった。
その日は、何故か寒気がしていた。
―――嫌な予感がする。
こういう予感はよく当たるんだ。
私はゾクリと背筋を走る寒気に震える。
「未来、大丈夫?」
「う、うん、、、」
そんな時だった。
「うっ、、、、ひっく、、、」
ふと、どこからか声が聞こえた。
苦しくて、聞いているだけで切なくなるような。
しゃっくりを上げ、泣いているような声が。
私はそれが何処から聞こえるのだろうかと辺りをきょろきょろ見渡す。しかし、近くに見えるのは真依ちゃんだけ。
誰も泣いてる人なんかいない。
―――じゃあ、この声は何処から?
《こっちだよ》
「つ、え」
耳元で囁くように声が聞こえた。
私は慌ててバッと振り返る。さっきまで周りには部活帰りの学生や買い物中の人など、それなりに人がいたはずなのに、一瞬にして人の気配がなくなっていた。
「ど、いうこと」
動揺を隠せずに固まってしまう。一体何が起きているのか分からずに、数秒、、、いや数分か数十分経っていたのかもしれない。私はその場に立ち尽くしていた。
「う、、、ひっく」
そんな中、まだ泣いている声が聞こえる。
どんっ、と足元に何かが当たった。
目を開いて恐る恐る視線を下へと向ける。そこには自分の足に絡み付くようにしがみついている小さな子の頭が見えた。突然の出来事に混乱しそうになるが、先程から聞こえてくる泣き声はこの子なんだと、すぐに分かった。
顔は見えないけれど、私の足に縋りついて震え、しゃっくりを上げて泣いている。こんな子を放っておくなんて出来ない。
「どうしたの?大丈夫?」
「うっ、、、ひっく」
「迷子になっちゃったの?もう大丈夫だよ、私が一緒にパパとママを探してあげるからね」
そう言いながら顔を覗き込むと、子供のまだ幼い少年だった。すると少年はぼうっとした顔で私を見詰めてきた。何処か遠くを見詰めるその瞳に、何故か魅入ってしまう。
―――ふかく、ふかく、おちていくような。
「――――――未来ッッ!!」
ハッとする。
大きな声が私を呼ぶ。気付いたら誰かに腕を掴まれていた。
状況が分からず呆けていたら、掴まれた腕にぐっと力が込められ、そのままぐいっと引っ張り上げられる。痛みと衝撃で我に返り、自分の手を掴んでいるその手を辿るように視線をずらすと、眉間にしわを寄せ、厳しい目でこちらを見る悠くんと私と目が合った。
「、、、、、、何があった」
「え、、、?」
問われたことが分からずに、首を傾げる。
「お前の友達から電話が掛かってきたと思ったら、未来を助けての一点張りだし、当の本人は地面にしゃがみ込んでいるし、何回声かけても返事がねぇ。抜け殻みたいだったぞ」
「ご、ごめん、、、」
(そっか、真依ちゃんが教えてくれたんだ、、、)
「、、、、、、何を視た」
「悠くん、、、?」
「何か視たんだろ?言え」
「え、あ、こ、子供、、、?」
「他には」
「声が聞こえて、助けなきゃって思って、、、そしたら暗いとこに落ちて、、、」
「、、、、、、」
悠くんに詰め寄られ、先程の出来事を思い出す。
けれど霧がかかったように、頭の中にある映像が不鮮明だった。ついさっき起きたことのはずなのに、、、。
ますます表情が険しくなる悠くんにいたたまれなくなる。
「すごく、さむくて、くらかった。あんなとこにひとりだなんて、かわいそう―――」
「未来、もういい。もうこれ以上何も言うな」
私の口元に手が触れる。ぽろぽろと記憶を吐き出している口を悠くんの手で突然塞がれ、むぐっ、と声が漏れた。
蜂蜜色の瞳で私のことをじっと見詰めている。
その目には一体、何が視えているんだろう、、、。
「、、、帰るぞ」
「え、え!?」
ぐいっと腕を引っ張られ、半ば強制的に帰宅させられた。
その日は、何故か寒気がしていた。
―――嫌な予感がする。
こういう予感はよく当たるんだ。
私はゾクリと背筋を走る寒気に震える。
「未来、大丈夫?」
「う、うん、、、」
そんな時だった。
「うっ、、、、ひっく、、、」
ふと、どこからか声が聞こえた。
苦しくて、聞いているだけで切なくなるような。
しゃっくりを上げ、泣いているような声が。
私はそれが何処から聞こえるのだろうかと辺りをきょろきょろ見渡す。しかし、近くに見えるのは真依ちゃんだけ。
誰も泣いてる人なんかいない。
―――じゃあ、この声は何処から?
《こっちだよ》
「つ、え」
耳元で囁くように声が聞こえた。
私は慌ててバッと振り返る。さっきまで周りには部活帰りの学生や買い物中の人など、それなりに人がいたはずなのに、一瞬にして人の気配がなくなっていた。
「ど、いうこと」
動揺を隠せずに固まってしまう。一体何が起きているのか分からずに、数秒、、、いや数分か数十分経っていたのかもしれない。私はその場に立ち尽くしていた。
「う、、、ひっく」
そんな中、まだ泣いている声が聞こえる。
どんっ、と足元に何かが当たった。
目を開いて恐る恐る視線を下へと向ける。そこには自分の足に絡み付くようにしがみついている小さな子の頭が見えた。突然の出来事に混乱しそうになるが、先程から聞こえてくる泣き声はこの子なんだと、すぐに分かった。
顔は見えないけれど、私の足に縋りついて震え、しゃっくりを上げて泣いている。こんな子を放っておくなんて出来ない。
「どうしたの?大丈夫?」
「うっ、、、ひっく」
「迷子になっちゃったの?もう大丈夫だよ、私が一緒にパパとママを探してあげるからね」
そう言いながら顔を覗き込むと、子供のまだ幼い少年だった。すると少年はぼうっとした顔で私を見詰めてきた。何処か遠くを見詰めるその瞳に、何故か魅入ってしまう。
―――ふかく、ふかく、おちていくような。
「――――――未来ッッ!!」
ハッとする。
大きな声が私を呼ぶ。気付いたら誰かに腕を掴まれていた。
状況が分からず呆けていたら、掴まれた腕にぐっと力が込められ、そのままぐいっと引っ張り上げられる。痛みと衝撃で我に返り、自分の手を掴んでいるその手を辿るように視線をずらすと、眉間にしわを寄せ、厳しい目でこちらを見る悠くんと私と目が合った。
「、、、、、、何があった」
「え、、、?」
問われたことが分からずに、首を傾げる。
「お前の友達から電話が掛かってきたと思ったら、未来を助けての一点張りだし、当の本人は地面にしゃがみ込んでいるし、何回声かけても返事がねぇ。抜け殻みたいだったぞ」
「ご、ごめん、、、」
(そっか、真依ちゃんが教えてくれたんだ、、、)
「、、、、、、何を視た」
「悠くん、、、?」
「何か視たんだろ?言え」
「え、あ、こ、子供、、、?」
「他には」
「声が聞こえて、助けなきゃって思って、、、そしたら暗いとこに落ちて、、、」
「、、、、、、」
悠くんに詰め寄られ、先程の出来事を思い出す。
けれど霧がかかったように、頭の中にある映像が不鮮明だった。ついさっき起きたことのはずなのに、、、。
ますます表情が険しくなる悠くんにいたたまれなくなる。
「すごく、さむくて、くらかった。あんなとこにひとりだなんて、かわいそう―――」
「未来、もういい。もうこれ以上何も言うな」
私の口元に手が触れる。ぽろぽろと記憶を吐き出している口を悠くんの手で突然塞がれ、むぐっ、と声が漏れた。
蜂蜜色の瞳で私のことをじっと見詰めている。
その目には一体、何が視えているんだろう、、、。
「、、、帰るぞ」
「え、え!?」
ぐいっと腕を引っ張られ、半ば強制的に帰宅させられた。
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