泡沫ユートピア

安達夷三郎

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十八話

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やけにキラキラした顔で蓮くんがくれたのは、駅前で限定販売している話題のプリンと蜂蜜はちみつ色のブレスレットだった。
「霊力を上手に込められたから、ブレスレットにしてみたんだ」
嬉しそうにへらっと笑う。
「これ、あとで一緒に食べようね」
ちょっと待っててと蓮くんをリビングに残して、キッチンに移動した。
箱にきっちり名前を書いてから冷蔵庫に入れる。誰のか分かるように名前を書くのが三人で決めた同居ルールだから、少し格好悪くても従うようにしている。、、、前、書かずに入れていたら悠くんに食べられたし。
それから、蓮くんから貰ったブレスレットを左手首にめる。綺麗な色で、見ていると何だか親近感を覚える。
「ふふ、やっぱり似合うね、未来ちゃん」
いつもの格好で、ブレスレットを嵌めただけなのに、蓮くんはやけに嬉しそうだった。
その目は嬉しそうで、でもそれ以外の感情も入っているように見えて―――あ。
やっと気付いた。ブレスレットに親近感を覚えた訳。
同じ色だった。悠くんと蓮くんの瞳の色と同じだったんだ。
安心すると同時に、何故か肩から力が抜ける。そのまま前のめりで倒れそうになるのを、蓮くんが支えてくれたお陰で転倒は免れた。
「あ、ありがとう、、、」
「大丈夫、僕達はずっと未来ちゃんの傍にいて守るよ」
今にも折れてしまいそうな細さの白い腕。でも、私の体を包み込むには充分過ぎて、温かくて、、、優しい。
何だか眠気がする、、、。今日の体育で疲れ、、、?
抗えない眠気に目がぼんやりする。
「、、、おやすみ、未来ちゃん」
蓮くんの手が私の頭を優しく撫でる。それをされたらもう起きてなんかいられない。急激な眠気に襲われ、夢の世界へ旅立っていった。

眠ってしまった未来ちゃんに布団を掛け、そっと移動する。そして、リビングに置きっぱなしの未来ちゃんのピンク色のスマホを手に取る。
それにぶら下がるように付けられたストラップ。多分、日本じゃなくて海外で作られたような人形で。いかにも、って感じの人形。
(未来ちゃんが買ったのかな?)
ストラップを黒いモヤが覆うようにうごめいている。じっと観察をして、そっとストラップをスマホから外した。
小さいけれど、厄介な子がいている。
未来ちゃんは結構、変なモノを拾ってくる。本人が引き寄せ体質というのは昔から知っていたので、拾ってくる度に悠斗がお守り渡したりして対処するのが当たり前になってきている。僕は、そうならない為に占うことしか出来なかった。
未来ちゃんは、引き寄せ体質なのに霊力がないから怪異が視えない。
だから、、、危ない。
ストラップを手に取る。黒いモヤの隙間から、未来ちゃんが好きそうな人形の顔が見える。
(まぁ、いるよね、、、こういうたぐいは早めに対処しないと、、、)
未来ちゃんに、ごめんねと心の中で謝りながら、黒いモヤを手で祓ってストラップをハサミで切る。
中から出てきたのは綿と、小さく折り込まれた紙。広げてみると、『呪』と赤く書かれていた。呪詛を招く人形。
よく漫画などでは、呪いの儀式のこういうやつが出てくることが多い。でも、本当の呪いは形式なんか必要ない。
呪いを配り歩く人はいるよね、、、。手作りそうだし、それを何も知らない人に売っていると考えると、、、早めに祓っていて良かったと思う。
未来ちゃんに危害が及ばなくて良かった、、、。
夜ご飯を作ろうとして冷蔵庫を開けると、白い箱が目に留まった。僕がさっき渡したプリン入りの箱。
箱には黒字のペンで『未来、蓮くん』と書かれていた。
「ふふ、やっぱり未来ちゃんは可愛いね」
未来ちゃんの手首に嵌められたブレスレットを見て、思わず笑みが溢れる。
ブレスレットを贈る意味も知らない未来ちゃん。ずっと、ずーっと、絶対に離してあげないからね。
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