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本編
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グレンとセレスちゃんを引き合わせることに成功はしたけど、グレンがなんでか興味なさそうで、第一回親密化計画は失敗に終わった。
でもさ、記憶ないのを良いことにセレスちゃんに勉強教えて貰えることになったんだ!やったー!そしたらグレンも「俺の妃がバカでは困るからな」とか言って無理やり来ることになった。げーって嫌そうな顔してたらグレンにメッチャ睨まれた。
何かムカつくけどこれってチャンスだよね。第二回グレン&セレスちゃん親密化計画はお勉強大作戦だ!
「教科ごとに一通りの要点を纏めておきました。こちら良かったらどうぞ」
放課後図書室でセレスちゃんがにっこりノートの束を手渡してきた。はあ、マジ天使。こんな可愛くて勉強もできて優しくて気配り上手……グレンには勿体ないけど妃としてはこの子の方が相応しいよねホント。
「セレスちゃんありがとう!」
早速ノートを開いて見る。当然日本語な訳ない。でもさ、何故か私読めるんだよね、スラスラと。
しかもなんだっけ……カメラアイっていうのかな?見た瞬間頭に焼き付く様に記憶されていくの。一回見ただけでノートの知識は私のものになった。ヤバイね、これって完全チートじゃない?
「すごく分かりやすい!これなら次の試験も問題なさそうだよ!」
問題なさすぎてわざと間違える位しないといけないレベルかも……
ノートを読み進めていると、いきなりぐいっと顎を掴んで上向かされた。
「痛っ!」
「俺に気付かないとは大した集中力だな」
グレンが不機嫌そうに見下ろしていた。こいつ構ってちゃんかよ、めんどくせー男だなホント。
「邪魔するなら帰って」
「まあ面白そうだから様子を見にきただけだ。俺も暇じゃないしな」
「あっそ。お気遣い痛み入ります。ではご機嫌よう」
邪魔すんなって睨みつけると、グレンはピクッと器用に片眉を吊り上げた。
「そんなに自信があるなら学年1位でも取って見せろ」
「1位取ったら婚約破棄でもしてくれんの?」
「そんな簡単に出来るか。だがまあ望みのものがあればやっても良い」
「じゃあ婚約は」
「それ以外でだ」
ブスッと口を尖らせると唇を指先で摘まれた。アヒル口とか可愛いもんじゃない、もはやたらこ唇だ。
「んーんーんー!?」
離せこいつふざけんなっ!
「良いザマだなアンジェリカ」
「あ、あの!」
はっとして横を見るとセレスちゃんが笑い堪えてるのか真っ赤な顔して俯いてた。あー!私ったらセレスちゃんといたのにこんな男と無駄な時間を!しかも変顔だし!
「んーんーむー!」
はーなーせー!
「友人のセレスティーヌ嬢だったか」
「はい、先日はご一緒させて頂き光栄でした殿下」
「ああ。以前のアンジェリカは優秀だったが、記憶をなくしてからこんな酷い有様になった。淑女として良く躾けてやってくれ」
「むーむがっふむー!」
好き勝手言いやがって何目線だよく◯グレン!
「そんな……私のようなものが……」
セレスちゃん不安げな顔で首を振る。庇護欲っていうのかな、あれ刺激されて私がきゅんきゅんしちゃうよ。
「これにもあなたのような謙虚さがあれば良かったものを」
お!?もしやこれはセレスちゃんに興味示したフラグですか!?
「お前、何だその目は気持ち悪い……」
気持ち悪くて結構!グレンがセレスちゃんの可愛さに気付いたなら万々歳だ!
グレンがやっと手を離したので、私はニッコリ満面の笑み。
「グレン分かるよ!私も男ならセレスちゃんみたいな可愛い女の子のがいいし!」
「は?誰もそんなこと言ってないだろ?」
頼むから持てよ興味!
「ま、こんな私がお役御免になるのも時間の問題だろしさっ」
「アンジェリカ」
グレンの声のトーンが2段位下がって思わずビクッとなる私。な、何?何か怒ってる?
「話がある。来い」
首根っこ掴まれた。その指の冷たさに又ビクってなる。
「ちょ、まってグレン!あ、ああセレスちゃあああん!」
「セレスティーヌ嬢すまない、今日はここまでに」
「とんでもありません!殿下、アンジェリカ様こちらで失礼いたします」
綺麗な淑女のポーズ決めてるセレスちゃんを何度も振り返りながら、私はグレンに引き摺られるように図書室を後にした。
でもさ、記憶ないのを良いことにセレスちゃんに勉強教えて貰えることになったんだ!やったー!そしたらグレンも「俺の妃がバカでは困るからな」とか言って無理やり来ることになった。げーって嫌そうな顔してたらグレンにメッチャ睨まれた。
何かムカつくけどこれってチャンスだよね。第二回グレン&セレスちゃん親密化計画はお勉強大作戦だ!
「教科ごとに一通りの要点を纏めておきました。こちら良かったらどうぞ」
放課後図書室でセレスちゃんがにっこりノートの束を手渡してきた。はあ、マジ天使。こんな可愛くて勉強もできて優しくて気配り上手……グレンには勿体ないけど妃としてはこの子の方が相応しいよねホント。
「セレスちゃんありがとう!」
早速ノートを開いて見る。当然日本語な訳ない。でもさ、何故か私読めるんだよね、スラスラと。
しかもなんだっけ……カメラアイっていうのかな?見た瞬間頭に焼き付く様に記憶されていくの。一回見ただけでノートの知識は私のものになった。ヤバイね、これって完全チートじゃない?
「すごく分かりやすい!これなら次の試験も問題なさそうだよ!」
問題なさすぎてわざと間違える位しないといけないレベルかも……
ノートを読み進めていると、いきなりぐいっと顎を掴んで上向かされた。
「痛っ!」
「俺に気付かないとは大した集中力だな」
グレンが不機嫌そうに見下ろしていた。こいつ構ってちゃんかよ、めんどくせー男だなホント。
「邪魔するなら帰って」
「まあ面白そうだから様子を見にきただけだ。俺も暇じゃないしな」
「あっそ。お気遣い痛み入ります。ではご機嫌よう」
邪魔すんなって睨みつけると、グレンはピクッと器用に片眉を吊り上げた。
「そんなに自信があるなら学年1位でも取って見せろ」
「1位取ったら婚約破棄でもしてくれんの?」
「そんな簡単に出来るか。だがまあ望みのものがあればやっても良い」
「じゃあ婚約は」
「それ以外でだ」
ブスッと口を尖らせると唇を指先で摘まれた。アヒル口とか可愛いもんじゃない、もはやたらこ唇だ。
「んーんーんー!?」
離せこいつふざけんなっ!
「良いザマだなアンジェリカ」
「あ、あの!」
はっとして横を見るとセレスちゃんが笑い堪えてるのか真っ赤な顔して俯いてた。あー!私ったらセレスちゃんといたのにこんな男と無駄な時間を!しかも変顔だし!
「んーんーむー!」
はーなーせー!
「友人のセレスティーヌ嬢だったか」
「はい、先日はご一緒させて頂き光栄でした殿下」
「ああ。以前のアンジェリカは優秀だったが、記憶をなくしてからこんな酷い有様になった。淑女として良く躾けてやってくれ」
「むーむがっふむー!」
好き勝手言いやがって何目線だよく◯グレン!
「そんな……私のようなものが……」
セレスちゃん不安げな顔で首を振る。庇護欲っていうのかな、あれ刺激されて私がきゅんきゅんしちゃうよ。
「これにもあなたのような謙虚さがあれば良かったものを」
お!?もしやこれはセレスちゃんに興味示したフラグですか!?
「お前、何だその目は気持ち悪い……」
気持ち悪くて結構!グレンがセレスちゃんの可愛さに気付いたなら万々歳だ!
グレンがやっと手を離したので、私はニッコリ満面の笑み。
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「は?誰もそんなこと言ってないだろ?」
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「ちょ、まってグレン!あ、ああセレスちゃあああん!」
「セレスティーヌ嬢すまない、今日はここまでに」
「とんでもありません!殿下、アンジェリカ様こちらで失礼いたします」
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