乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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考え事してる間にいつの間にかセレスちゃんとも別れて、気付いたら馬車の中でグレンと二人きりだった。向かい側でじっとグレンが私を見てた。夕焼けで金髪が真っ赤になってる。私の髪みたいだ。

「何がおかしい?」

私気付かないうちに笑ってたみたい。

「前ほどグレンのこと嫌いじゃないな、と思って」

「……好きでもないんだろ?」

「うん」

わ、グレンめっちゃ不機嫌なった。

「あんたってまさか私の事好きなの?」

「は!?何自惚れてんだ!?」

「まあそうだよねぇ。好きだったら馬鹿にしたり蔑んだりしないもんなぁ」

「……蔑んでなどいない。お前は良く頑張っていると思う」

文句言いながらもさ、グレンも結構マメに勉強とか見に来てくれてたんだよね。何だかんだいって私を気にかけてくれてるのは分かってる。少しは私の事認めてくれてたからなのかなって思うと、ちょっと……いやかなり嬉しい。

「グレンにそう言ってもらえるのは、正直嬉しいな」

珍しく素直になってみたら、グレン不機嫌そうにそっぽ向いちゃった。でもさ、耳がちょっと赤い気がするのは夕日のせい?それとも照れてる?何となく後者な気がしてグレン可愛いな、なんて思ってしまった。






「……」

「……」

さて、何が起きているかって?

家まで送ってくれたグレンを社交辞令でお茶に誘う私→しょーがねーなーって感じで受けるグレン(マジかよ……)→私を出迎えたアズとグレン初対面→応接室にて3人でお茶now

何この空気……重っ!何でこの二人初っ端からこんな険悪なの?

「アンジェリカ」

「は、はひっ!?」

ビックリしすぎて変な声出ちゃったよ。

「これは魔族だろ?」

「え、うんそうだけど……何かマズイの?」

「契約を結んでいるのか?」

契約って血舐められたやつだよね。

「うん」

途端にグレンの目の色が変わる。

「何をだ!何を対価に払った?」

「え、対価?」

「……そんなものはもらってませんよ。僕は純粋にアンジェリカ様の下僕です」

アズが不純物100%みたいに真っ黒い笑み浮かべてた。こ、怖っ!何か悪魔っぽい!

「魔族が対価もなしに?あり得ない」

「あなたに信じてもらえなくても結構です。アンジェリカ様、僕あなたに何か要求しましたっけ?」

「んーと、アズ以外の魔族を下僕にするなってだけかな?」

「ええ、そうでしたね。それが対価といえば対価ですね」

グレンが信じられないものでも見る様な目でアズを見てた。

「アンジェリカの何がお前を惹きつけるんだ?」

アズはふふふって小悪魔っぽく笑うだけで何も答えなかった。確か私の魔力が魅力的とか言ってたよね。神の気配がするとか何とか……そこんとこもカミサマに聞きたいのにアレっきり全然会えないんだよね。また会おうって言ってたのにさ。

「他所様には絶対迷惑かけるなって約束してるし、私の言うことよく聞いてくれるから問題はないと思ってるんだけど……グレン?」

険しい顔して考え込んじゃってるグレンに、私また軽率なことしちゃったんだなって悟ってちょっと反省……無知は罪とはいったものだ。

「済んでしまったことは仕方ない。何か問題が起こりそうだったらすぐ俺に知らせろ。起こってからでは遅いからな」

ガッツリ顎掴まれて至近距離で無理矢理視線を合わされる。う、怖い……

「はい、分かりました……」

ちょっと涙目の私が面白いのかグレンがふって笑った。

「いつもその位素直なら良いのにな」

そのまま頬っぺにチューされた。ほんの一瞬アズから凄い殺気を感じたけど、き、気のせいだよね。鳥肌立ってるのも気のせい気のせい。
グレンはアズを見て不敵に笑ってた。アズは──いつもの天使ちゃんなかわゆさなど微塵もない、仇でも見る様な目でグレンを見てた。
もうこの二人絶対合わせちゃダメだ。精神に特大のダメージを受けながら、固く心に刻む私だった。
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