乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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放課後アーサーの教室までダッシュしてひょこっと中覗くと、げっ!よりにもよってグレンと目が合った。見逃してくれ……ませんよねぇ。

「どうしたんだ?」

「ええと、その、アーサーに聞きたいことが……」

「アーサーに?俺じゃダメなのか?」

「んーあんたは(サリーちゃんに)モテないしなぁ」

え、なんでそこでグレン固まってんの?んーまいっかその辺の人にアーサー呼んでもらおっと。

「お、アンジェリカちゃん!俺になんか用?」

「うん、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「え、俺に?俺勉強全然なんだよなぁ。グレンに聞いた方がいいんじゃね?」

「……モテない俺ではダメなんだそうだ」

「は!?グレンなんて腹立つくらいモテてて仕方ねえじゃん!」

「へえグレンってモテるんだー」

「お、やっぱ興味ある?」

「いや全然」

グレンまた固まってる。しまった!グレン大好き☆なスタイルでいくはずだったのについ素が!

「それよりアーサー、サリーちゃんのこと聞きたいの」

「サリーってヒートン男爵令嬢の?」

私思いっきり頷く。そしたらアーサーちょっと嫌そうな顔した。

「ベッキーが怒るから彼女の話はあんまりしたくないんだよなぁ……」

「怒られるようなことしたんだ?」

「あ、いや……そうじゃないんだけど、話しても信じて貰えるかな」

考えなしのアーサーが目を泳がせて言葉を選んでいる!なんたること!

「サリーと話した前後って……記憶が曖昧なんだよ……」

何それ、下手くそな政治家ですか?

「やっぱそんな顔になるよな……はぁ……ホントなんだけどな……」

ありゃ胡散臭いって顔に出ちゃってた?にしても記憶が曖昧ねぇ。

「サリーちゃんに特別な感情を持ってるって訳じゃないんでしょ?」

「ないない!俺はベッキー一筋!」

ならどうしてレベッカちゃんが怒る様な事態に?うーむ。難しい顔してたらグレンに人差し指と中指で眉間の皺伸ばされた。

「えっと……グレン?」

「皺、癖になったら困るだろ?」

それ心配してる顔じゃないよね?ちょっと一矢報いたみたいな顔だよね?いいでしょう、私は女優。今はグレンが大好きなアンジェリカ(かっ)!

「心配してくれてありがとうグレン、嬉しいわ」

うっとりグレンを見上げる。うえええええ!自分で自分が気持ち悪っ……絶対グレンにもバカにされ――え?ちょっと待て、なんで貴様顔赤くしてるんだ!

「アンリ……あまりそういう顔は公の場でしないでくれ」

マジか……自分では似合わないし気持ち悪いと思っているこの乙女モードはグレン受けがいいのか……
こんなウチらのやり取りを間近で見ていたアーサー、はい頂きました爆笑。

「アンジェリカちゃん最高!もうグレンの反応面白くてたまんねー!」

アーサーがひーひー煩く笑ってるもんだからレベッカちゃんがこっちに気付いて心配そうにやってきた。はぁ、今日も綺麗だなぁレベッカちゃん。

「まぁアンジェリカ様!アーサーったら一体……」

「いいの、今日もアーサーに笑いを提供に来ただけだから」

アーサー見詰めつつ半眼になっちゃうよ私。まあでもいいや、一応気になる情報はゲットしたしね。

「アンリ、もう帰るんだろ?」

「うん、そのつもり」

「送る。一緒に帰ろう」

差し出された手にニッコリ笑顔でお手する。まだ人目がありますからね!
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