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本編
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「このような席にお招き頂き光栄です」
カーテシーするとレベッカちゃんのママがあらあら、ってニコニコ笑って迎えてくれる。
ふっくらしてて品があって優しそうな方だなあ。
「あなたがアンジェリカさんね。娘がとても良くして頂いてるそうで、今日お会いできるの楽しみにしていたのよ。噂通りとってもお綺麗な方ねぇ」
「アンジェリカ様ごめんなさい、母はおしゃべり好きなもので……」
レベッカちゃん視線でママのお喋りを制すと、私の手を引いて会場まで案内してくれた。
「とっても素敵なお母様だね!今度ゆっくりお話ししたいな」
「ふふ、母もきっと喜びます。あら、そちらの方は……?」
レベッカちゃんは私の後ろに控えるアズを興味深そうに見てる。そりゃそうだよね、これだけの美形だもん。
「彼は私の護衛兼従者のアズだよ」
「アズと申しますレベッカ様。以後お見知り置きを」
うわー凄いな、人間の作法完璧だアズ!胸に手を当てて礼をする様何てうっかり見惚れちゃうくらいに綺麗だよ!
「まあ、幼いのにとても優秀なのですね。よろしくお願いしますねアズ」
ふふって微笑み合うアズとレベッカちゃん。な、何て尊い……二人美し過ぎて私場違い感ぱねっす!
鼻血吹きそうになりながら案内されたのは庭園。立食パーティーみたいで座席はないカジュアルなスタイルだ。堅苦しいの苦手だし良かったー!
既にセレスちゃんは来てて、他にも10数人の華やかな令嬢たちが集まってた。
面識がない私達を気遣ってレベッカちゃんはピッタリ付き添って皆を紹介してくれる。私人見知りじゃないけどさ、その心遣いすごく嬉しい!
レベッカちゃんお手製のスイーツ食べながら和やかに談笑してたらアレだよあれ!自然が私を呼ぶのですよ!
ちょっと失礼して用を済ませて庭園に戻る途中、誰かに呼び止められた。ん?っと反射的に振り返る。
「何であなたがここに?」
招かれざる客、サリーちゃんが佇んでた。かなり厳重な警備体制が敷かれてるって聞いてたけど、スルッと潜り抜けられるサリーちゃん、只者じゃない。
「一緒に来て頂きたいところがあるんです」
「どこへ?」
「大人しく来て頂ければ手荒なことは致しません」
手荒とか不穏だな……てか私の前でプルプル震えてたのって演技だったのね!今表情から態度から全然違うやん!
「嫌だって言ったら?」
「不本意ですが仕方ありません」
サリーちゃんの全身が真っ赤なオーラみたいなものに包まれる。な、何だ禍々しいな。サリーちゃんが手をかざして私に触れようとしたその時。
「止まれ」
ピタッとサリーちゃんが動きを止めた。そして私の後ろを見て目を見開く。その目にはハッキリ恐怖の感情が見えた。
「聞き分けの良い子は嫌いじゃないよ」
クスクスってアズが笑ってる。その様子をサリーちゃんは固唾を飲んで見守ってる。
「お前魔族憑きか。僕が見える?」
「う……は、い」
サリーちゃんは声も体も震えてる。アズって魔族にとってそんなにおっかない存在なの?
「そう、なら真に従うべきものが誰か分かるよね?」
「はい、閣下」
サリーちゃんがアズに向かって跪いた。か、閣下?今更だけどアズって何者なんだ!?
「さてご主人様、この女どうします?僕に逆らうことはないようですけど」
一先ずの疑問は後回しだ。グレンにメッチャ怒られるのも分かってるけど、やられっ放しは性に合わないんだ。私のやることなんてもう決まってる!
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、だよ!」
アズはきょとんと私をみてた。
カーテシーするとレベッカちゃんのママがあらあら、ってニコニコ笑って迎えてくれる。
ふっくらしてて品があって優しそうな方だなあ。
「あなたがアンジェリカさんね。娘がとても良くして頂いてるそうで、今日お会いできるの楽しみにしていたのよ。噂通りとってもお綺麗な方ねぇ」
「アンジェリカ様ごめんなさい、母はおしゃべり好きなもので……」
レベッカちゃん視線でママのお喋りを制すと、私の手を引いて会場まで案内してくれた。
「とっても素敵なお母様だね!今度ゆっくりお話ししたいな」
「ふふ、母もきっと喜びます。あら、そちらの方は……?」
レベッカちゃんは私の後ろに控えるアズを興味深そうに見てる。そりゃそうだよね、これだけの美形だもん。
「彼は私の護衛兼従者のアズだよ」
「アズと申しますレベッカ様。以後お見知り置きを」
うわー凄いな、人間の作法完璧だアズ!胸に手を当てて礼をする様何てうっかり見惚れちゃうくらいに綺麗だよ!
「まあ、幼いのにとても優秀なのですね。よろしくお願いしますねアズ」
ふふって微笑み合うアズとレベッカちゃん。な、何て尊い……二人美し過ぎて私場違い感ぱねっす!
鼻血吹きそうになりながら案内されたのは庭園。立食パーティーみたいで座席はないカジュアルなスタイルだ。堅苦しいの苦手だし良かったー!
既にセレスちゃんは来てて、他にも10数人の華やかな令嬢たちが集まってた。
面識がない私達を気遣ってレベッカちゃんはピッタリ付き添って皆を紹介してくれる。私人見知りじゃないけどさ、その心遣いすごく嬉しい!
レベッカちゃんお手製のスイーツ食べながら和やかに談笑してたらアレだよあれ!自然が私を呼ぶのですよ!
ちょっと失礼して用を済ませて庭園に戻る途中、誰かに呼び止められた。ん?っと反射的に振り返る。
「何であなたがここに?」
招かれざる客、サリーちゃんが佇んでた。かなり厳重な警備体制が敷かれてるって聞いてたけど、スルッと潜り抜けられるサリーちゃん、只者じゃない。
「一緒に来て頂きたいところがあるんです」
「どこへ?」
「大人しく来て頂ければ手荒なことは致しません」
手荒とか不穏だな……てか私の前でプルプル震えてたのって演技だったのね!今表情から態度から全然違うやん!
「嫌だって言ったら?」
「不本意ですが仕方ありません」
サリーちゃんの全身が真っ赤なオーラみたいなものに包まれる。な、何だ禍々しいな。サリーちゃんが手をかざして私に触れようとしたその時。
「止まれ」
ピタッとサリーちゃんが動きを止めた。そして私の後ろを見て目を見開く。その目にはハッキリ恐怖の感情が見えた。
「聞き分けの良い子は嫌いじゃないよ」
クスクスってアズが笑ってる。その様子をサリーちゃんは固唾を飲んで見守ってる。
「お前魔族憑きか。僕が見える?」
「う……は、い」
サリーちゃんは声も体も震えてる。アズって魔族にとってそんなにおっかない存在なの?
「そう、なら真に従うべきものが誰か分かるよね?」
「はい、閣下」
サリーちゃんがアズに向かって跪いた。か、閣下?今更だけどアズって何者なんだ!?
「さてご主人様、この女どうします?僕に逆らうことはないようですけど」
一先ずの疑問は後回しだ。グレンにメッチャ怒られるのも分かってるけど、やられっ放しは性に合わないんだ。私のやることなんてもう決まってる!
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、だよ!」
アズはきょとんと私をみてた。
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