乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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「そんなにグレンシュフォンティエルがいい?」

沸々と湧き上がる怒りを必死で押し殺す。自らここへきた目的を忘れるな!

「これまでグレンシュフォンティエル殿下には散々冷遇されてきたんです。私の気持ちは……そう単純ではないのです」

一先ず元アンジェリカの気持ちを想像しながらなりきってみることにする。シアさんは私の髪にキスしながら目を細めた。

「あんな君の価値も分からない男なんてやめて僕のところにおいでよ」

「……気持ちの整理をする時間が欲しいです。6年……私はあの方に嫁ぐのだと思ってきました。私にとっては短くない時間なのです」

シアさんは少し切なそうに笑った。

「君が最初から僕を選んでいればこんなことにはならなかったのにね」

うん、多分選ぶのが私だったとしてもシアさんは選ばないな。うまく言えないけど直感でそう思ったんだ。私への殺意を抜きにしてもね。
だからグレンを選ぶのかと言われればそれも分かんないけど……いつか元アンジェリカに真相聞いてみたいものだなぁ。

「そもそも私に選ばせなければ良かったものを……」

「君は何も知らないんだね。巫女は王に相応しい者を自ら選ぶ……馬鹿馬鹿しいけどそういう伝統なんだ。実際いまだにグレンシュフォンティエルを推す勢力は根強い。血筋も能力も僕より優れているしね」

シアさんの表情が冷たく凍る。きっとこの人なりに鬱屈とした思いを抱えながら王太子であり続けてきたんだ。シアさんの闇を深くした一端が──アンジェリカ。

「私があなたを選ぶのを拒んだら……どうするつもりですか?」

「永遠に自我を失わせてお人形にでもしてしまおうか」

ゾオオオオオオ!背筋が凍るなんてもんじゃないわ。マジ表情がイっちゃってて怖すぎる!どっちにしても私の意思なんて関係なく従わせる一択なんじゃないか!

「怯えてるの?良い表情だ。大丈夫、君のことは大事にするよ。誰より憎くて愛しいアンジェリカ……」

シアさんは複雑な表情で私を見下ろしながら、手の甲で頬っぺたを撫でた。ヒヤリとした感触にブルッと背筋が震える。

「本当に君を必要としているのはアイツじゃない、僕だ」

「な、ぜ?」

シアさんは何も言わずに微笑むと、私のおでこにキスをした。その途端視界がボヤける。
何だろう、酔っ払って酩酊してる感覚に凄く似てる。薄い皮膜越しに現実を見ているような、変な感じだ。

「アンジェリカ、僕を愛してる?」

「はい殿下」

え!?勝手に私しゃべってる!?シアさんは満足げに笑うと私の縄を解いた。

「いつかその言葉が本当になるといいね、アンジェリカ」

シアさんは間違いなく「私」に向かって言ってる。意識はあるのに五感が乗っ取られた状態だ。物凄く気分が悪い。これが精神干渉?それとも暗示みたいなもの?どっちにしても何て悪趣味でゲスい術なんだろう。

シアさんは私を抱き起こすと、縄を解いてそのままお姫様抱っこで部屋を出た。華奢に見えるけど力あるんだな、と妙なとこで感心……してる場合か!

指先一つ思い通りにならない、でも意識だけは鮮明って凄い恐怖だ。シアさん、本当に私の器さえ有ればいいんだな……
いいでしょう!そっちがその気ならガッツリ王太子陣営の思惑とやら、見届けてやろうじゃないの!そのために私はここに来たんだからさ!
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