乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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グレンは王宮の中庭まで私をエスコートした。あれ、ここっていつぞや迷子になってシアさんと初めて会った場所じゃないかな?

今日はまだ日も高いから色んな色の花が一面咲き乱れてるのが見えた。うん、凄い綺麗!花の名前とか全然知らないけど!
私が密かに喜んでるの、グレンにはお見通しみたいだ。このすぐ顔に出るの何とかしたいよもう!

「気に入ったか?ここは俺の母の為に作られた場所なんだ」

へえ、こんな綺麗な場所を……今でもよく手入れされてるし王様、もしかして王妃様のこと?

「父上は愛してたらしい。だから母の命を奪われて以降全てにおいて気力を失ったんだ。その結果の現状なんだろうな……」

やれやれって感じでグレンはため息つく。無気力でアニエステ妃の暴走も放ったらかしだったのか……何というか正直呆れちゃうけど王様も不器用な方なんだな。

「王宮は俺にとって地獄だった。常に命を狙われながら、感情を殺して淡々と与えられた役割をこなす。何で生きてるのかも良くわからなかったな。なあアンリ」

「ん?」

「お前が来てから俺は生きるのが楽しくなった。何でだろうな、厳しい精神鍛錬を受けてきた筈なのに、お前の前では感情もうまくコントロールできないんだ」

グレンいつもとは違う少し照れ臭そうな顔してる。王子様っていうより、等身大の17歳の青年って感じがした。これが素のグレンなんだな、きっと。

「だから俺と結婚しろアンリ」

「はいっ!?」

思わず目ん玉ひん剥いちゃうよ私。しかもイエスマンタイムだから拒否できないじゃん!

「仕方ないだろ、お前と居るとすげぇ楽しいんだ。素でいられるのもお前の前だけだしな。だから諦めて俺と結婚しろ」

グレンズルい!策士め!

「……イエスと言う前に大事な条件が」

「お前今イエスマンじゃないのか?」

「こんな大事な事ゲームみたいに従わせるなっ!バカグレン!」

「お前意外に真面目だよな。ゲーム感覚でサラッと流せないのか」

「あんたが素直に心情明かしてるのにゲーム感覚で流せるかっ!あんたそういうとこポンコツだよね!」

「ポンコツ……」

グレン固まる。頭良かったりとかするのかもだけどさ、人の心の機微ってやつに関してコイツはマジでポンコツ!

「私は一夫一婦な価値観で育ったから、愛妾愛人作り放題なこの世界の男の価値観がまるで合わない!だからグレンもハーレム作るつもりなら──」

「バカか……女なんてお前一人でも手に余る。それにな、こんな世界で生きてきて俺が女好きになると思うか?」

いや、グレンってむしろ嫌いだよね女……アニエステ妃の弊害がこんなところに……あ、私にとっては感謝すべき点なのかな?
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