乳房星(たらちねぼし)

佐伯達男

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第3話・どうぞこのまま

【やさしくしないで】

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1991年12月16日頃、ソヴィエト連邦が崩壊したのと同時に東西の冷戦が終結した。

その2日後に、大番頭はんから電報が届いた。

トウザイレイセンシュウケツ…

単純なメッセージであるけど、裏を返せば『イワマツを作るプロジェクトはいつでも開始できるようになったから、準備に取りかかれ。』と言うことだ。

この電報を受け取った私は、プロジェクトを始める準備を年内に完了させることにした。

その一方で、私はハイスクール卒業後にアメリカ合衆国内にある医大へ進学することが決定した。

これから先、何かと多忙な日々がつづくので休むことができない。

1991年12月22日のことであった。

この日、プリントを提出する日なのでハイスクールへ行った。

プリントを提出して、新しいプリントを受け取ったあと、別の教室へ移動した。

午前11時からファイナンシャルプランナー2級の試験を受ける予定である。

午後2時からは、電気工事Ⅱ種の試験を受ける予定もあるので、夕方頃までハイスクールにいた。

夕方4時半にハイスクールを出た私は、アパートメントの近くにあるレンタルオフィスへ行った。

アパートメントにいたら例の電話のベルとミンジュンさんのイライラに苦しめられる。

だから、レンタルオフィスを借りて、プリント学習と国家資格取得試験の勉強をしている。

この日は、夜8時までレンタルオフィスに滞在した。

夜8時半頃であった。

ところ変わって、ミンジュンさんがいる部屋にて…

(ジャアアアアアアアアア…)

ミンジュンさんは、ユニットバスルームでシャワーを浴びている。

部屋に置かれているソニーのダブルラジカセのスピーカーから、テープに録音されている歌が流れている。

南海放送ラジオで放送されていた『はやしひろひこのわがままステーション』の『サンサン歌謡大行進』のコーナーである。

(ミンジュンさん、私のテープを勝手にかけんといて~な)

スピーカーから、麻丘めぐみさんの歌で、堀内孝雄さんの作曲・たきのえいじ先生(南予出身の作詞家先生)の作詞の歌で『やさしくしないで』が流れている。

ミンジュンさんがシャワーを浴び終えた時、ラジカセのスピーカーから流れている歌は、麻丘めぐみさんの代表曲で『私の彼は左きき』に変わった。

白のバスタオルを身体に巻き付けて、フェイスタオルで髪の毛を包んでいる姿のミンジュンさんは、スピーカーから流れている歌を聴きながらハミングしている。

…と、その時…

(ジリリリリン!!ジリリリリン!!)

またや…

ミンジュンさんは『また南予の実家からコレクトコールが来た!!』と言うてイラついた。

フン、出ないわよ…

ミンジュン…

お見合いなんぞせえへんけん…

ミンジュンさんがさらにイコジになったので、電話のベルが鳴りっぱなしになった。

(ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!)

この時、ドアを激しくたたく音が聞こえた。

アパートメントの大家さんが電話のベルがやかましいと言いに来たようだ。

「ちょっと富永さん!!富永さん!!」
「何よもう~」

イライラしているミンジュンさんがドアをあけた時であった。

身体に巻き付けていたバスタオルが取れて、すっぱだかになった。

「何よもう…きっ…ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

大家さんにフルヌードを見られたミンジュンさんは、強烈な叫び声をあげた。

ちょうどその時に、私がアパートメントに帰って来た。

「なにすんねんドアホ!!よくもミンジュンの乳房(ちち)を指先でつついたわね!!」
「わてはなーんもしてまへん!!そない言うのであれば服着てや!!」

ミンジュンさんと大家さんがくだらんケンカをしてはる時に、私が部屋に着いた。

「ミンジュンさん…あわわミンジュンさん!!」
「ああ、ヨシタカさん…」
「ミンジュンさん!!なんではだかのままでおるねん!!服着てや!!」
「分かってるよぅ~」
「それと、私のカセットテープを勝手に使わんといてや!!」
「悪かったよぅ~」
「それと、さっき大番頭はんから急用の電報が来たねん…ミンジュンさん、聞いてまっか!?」

この時、ミンジュンさんはキーッと怒っとったけん、大番頭はんから来た急用の電報を伝えることがでけなんだ。

ミンジュンさん…

ミンジュンさん、困りまんねんこなな時に…
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