届かぬ月、手に入れられぬ陽 〜智を操る者〜 セハルナーム編

雨の魔法使い

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プロローグ

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ここ、セハルナーム<魔の操り人が住まう地>には、30ほどの国があった。





人々は魔法を使って暮らしていた。



争いごとは魔力の技や力で競い合うので、大きな戦争はなく、穏やかなところだった。









しかし、数千年前に半数以上の国が闇に飲み込まれてしまった。闇の中から出てこられた者はいない。

そして今では星の半分にしか人が住めなくなっている。



ときが経つにつれて、闇は少しづつ、少しづつ、まるで獲物を慎重に狙う獣のように、他の国をも飲み込もうとしていた。







だが、残りの国は、救われた。







それは、アーリカ王国にしか生まれないヘラジャ・ヤイ・チャ<世の救世主>という赤子のおかげだった。ヘラジャ・ヤイ・チャは生まれつき強力で、特別な魔力を持つ。アーリカ王国では大きな魔力を生まれ持つものはごく稀で、生まれ持ったものでも、その力を上手く操れる者は、いないのであった。



ちょうど、アーリカ王国やその周辺の国々が闇の包まれかけたとき、偶然か、アーリカのデルカ村に、ヘラジャ・ヤイ・チャが生まれ、その途端、闇の動きが止まった。







まさに世の救世主。生き残った各国の人々は、アーリカ王国を珍しく称えた。









さすがは我らの闇の神。讚へよ、美しき火の神を。かくて、我らを恵む、天空の神。

もし、困難に陥るとも、定めてトラムの神々助けたまふ。

彼ら授けのらうたき赤子は我らを救ふ魔力を持てり。

あな、神様、かたじけなく。ありがたや、ありがたや。




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