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4巻
4-3
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「ねぇ、母さん!」
「なあに?」
「僕、強くなる! 大きくなったら冒険者になるよ!」
「「「はっ⁉」」」
その場にいた全員が素っ頓狂な声を上げた。
(いつの間に、『強くなる』が『冒険者になる』になったんだ?)
絶句している母親を見てレンが慌てる。
「あの、リューキ君?」
「ん?」
「冒険者って危ないお仕事もいっぱいなんだよ? 強くなりたいのはいいと思うけれど、冒険者にまでならなくても……」
「僕、お兄さんたちを助けてあげるって約束したもん!」
「でも……」
「男は約束破っちゃいけないんだよ!」
「うっ……それは……」
ラウザンだってそんなつもりで言ったわけじゃないだろう……だなんて言えるわけもなく、口ごもるレン。
当のラウザンは、少し考えるように目を瞑ったのち、しゃがんでリューキと目線を合わせた。
「ほんとに冒険者になりたいのか?」
「うん! 僕、お兄さんたちみたいに誰かを守れるようになりたい!」
「そうか」
ラウザンが微笑む。
「それなら、まずは身近な人が笑顔でいられるようにしないとな」
「笑顔?」
リューキが不思議そうに首を傾げる。
「命を助けることだけが守ることとは限らない。君が今一番守らないといけないのは、お母さんの笑顔だ」
「母さんの笑顔……?」
ラウザンが頷く。
リューキは母親を見上げる。そこには不安な表情を浮かべる母親がいた。
「今の君が冒険者になると言っても、お母さんは不安に思うだろう。君はお母さんが安心して背中を押してくれるくらい強くなるんだ。身近な人の笑顔すら守れないのに、何かを守ることなんてできっこないからな」
「笑顔を、守る……」
「強くなって、お母さんに笑顔で認めてもらえたら、冒険者になれ。ちゃんとそれまで待っててやるから」
ラウザンの言葉を、リューキは噛みしめるように何度も繰り返す。それから、ニコッと笑った。
「わかった! 母さん。僕、母さんが少しも不安にならないくらい強くなるよ!」
「……ええ、楽しみにしてるわね」
リューキの母親は笑みをこぼした。
「ったく、ガキのくせに男見せやがって! 将来、女を泣かせるんじゃねーぞ!」
「ええ⁉ 泣かせないよ!」
ノットがガハハ! と笑いながら放った言葉に、リューキが反論する。
仲良く言い合っている様子を見て、思わずレンも小さく笑っていた。
「えー! リューキ、冒険者になるの⁉」
「お兄さんたちと仲良くなっててずるい!」
「怪我してない?」
気付けば和やかな雰囲気に釣られるように、周囲にわらわらと人が集まってきていた。
そこにリューキが笑みを振りまいていく。
「みんな! 僕、冒険者になるよ!」
どっと歓声が上がる。
「おおー! がんばれよ!」
「泣き虫が冒険者か! 強くならないとな!」
「応援してるぞー!」
地震が起こってから初めて、村に笑い声が溢れたのだった。
やがて、村人たちは各々の仕事に戻っていった。その場に最後まで残っていたのは、リューキとその母親だ。
「リューキ、母さんは少し話があるから、お友達と遊んでおいで」
「わかった! お兄さんたちバイバイ!」
リューキが友達のほうに駆けていく。その後ろ姿を見送ってから、リューキの母親はノットたち三人に深々と頭を下げた。
「皆さん、息子の命を救っていただき、本当にありがとうございました」
「当たり前のことをしただけだ」
ノットが心の底から言う。
(弱きを助ける……それがこいつの信条だからな)
それを見てレンが微笑む。
ノットに直してほしい部分はいくつもある。だが、彼がリーダーでよかったと改めて思ったのだ。
レンはリューキの母親に向き直ると頭を下げる。
「むしろ僕たちは謝罪しなければなりません。息子さんを危険な目に遭わせてしまってすみませんでした」
「いえ、そんなことは……皆さんには村全体を助けていただいているんです。しかも今回、リューキの命を助けてくださったばかりか、私の気持ちのことまで配慮してくださって……本当に感謝しかありません」
彼女は少し言い淀んだのち、意を決したように改めて口を開いた。
「……私の夫も冒険者だったんです。息子が生まれてすぐに迷宮に潜って帰らぬ人となりましたが……。だから、リューキが冒険者になると言った時、不安な気持ちのほうが強くて。止めようと、そう思ってしまいました。リューキは夫が私に遺してくれたたった一つの宝物ですから」
その切実な言葉に三人は息を呑む。
(もしかして、僕たちはかなり軽率なことをしてしまったのでは……)
だが、そんな不安を覚えるレンをよそに、リューキの母親は清々しい笑みを浮かべていた。
「でも、皆さんが説得してくださって、リューキは私の笑顔を守ると言ってくれた……その時の姿が夫にすごく似ていて。私の我儘で止めることなんてできないと思ったんです」
彼女は少し離れたところで友達と遊ぶリューキに目をやって、そっとため息をついた。
「きっと、いつになっても、どれだけ強くなっても、リューキが冒険者になることへの不安は消えないと思います。私は母親ですから。だけどそれでも……だからこそ、あの子の道を断つことはしたくない。あの子が自分自身だけでも守れるくらい強くなって、その時にもまだ冒険者になりたいと願うのなら、嘘でも笑って送り出してあげようと思います」
覚悟を決めたように語る姿に、三人は再び息を呑む。
「……ああ、きっとあの坊主なら、あんたの不安なんて吹き飛ばしちまうくらい強くなるさ」
ラウザンの言葉に、リューキの母親はほのかに笑って頷いた。
「ええ……その時を楽しみにしていようと思います」
「なんか、あの子に似てないか?」
仲良く手をつないで帰っていくリューキとその母親を眺めながら、レンが呟く。
「あー。ちっこいくせに全部を守ってやるって息巻いていたところなんてそっくりだな。まあ、あいつにはそれができるだけの力があったが」
「あの時のアルライン君のほうがまだ大きかったし、すでに尋常でないほど強かったけど、それでもなんか似てるよね」
「案外、大きくなったらあいつくらい強くなってるかもしれないぞ」
「それは……恐ろしいね」
ノットの言う未来を想像して、レンは苦笑する。
「まあ、さすがにないんじゃないかな」
「……いや、あの坊主は強くなるぞ」
「えっ?」
レンがぎょっとして、まじまじとラウザンの顔を見つめる。
「あの年で他人を守りたいと思えるんだ。強くならないわけがない」
「でもアルライン君ほど強くなるとは……」
「さあな。とりあえずは、さっさとこの家の建て直しを終わらすぞ」
「ちょっ、言うだけ言って終わり⁉ マイペースすぎるぞ!」
喚くレンを無視して、ラウザンは自分の持ち場に戻る。
(坊主。強くなれよ。守りたいものすべてを守れるくらい、強く)
夕暮れの空を眺め、ラウザンは心の中でそう呟いた。
【とある冒険者side 瑠璃色の乙女】
「レナ、ゴブリンがそっちに行ったぞ!」
「わかってるわ! 〈雷槍〉!」
「カミラさん、レッドウルフ一匹、横から来てます!」
「おう!」
リルベルト王国の西に位置する、とある森にて。
地震と時を同じくして起こった大規模な魔物のスタンピードに、偶然居合わせたAランクパーティー「瑠璃色の乙女」が対応していた。
他にも少数ながら冒険者がいるが、三人の実力は別格だった。
前衛を剣士のカミラと斥候のノンが、後衛を魔法使いのレナが務め、完璧な連携を見せながら凄まじい勢いで魔物たちを狩っていく。
その姿は、周囲で魔物と戦う冒険者たちが驚嘆するほど見事なものだった。
「すごい……これが最速でAランクに昇格したパーティーの実力……」
「あの剣捌き、どうやってるんだ……?」
「あの子、何本同時に短剣を使えるんだ⁉」
「あれだけ威力を出して魔力切れしないの?」
冒険者たちの間に広がるざわめき。狩っても狩っても現れる魔物に、冒険者たちが絶望しないのは、瑠璃色の乙女のおかげであった。
かつて暁の誓いとともに盗賊に襲われ、アルラインに救われた瑠璃色の乙女。
そんな彼女たちもここ数年で圧倒的に強くなっていた。
しかし、それでも限界はある。
精神的には余裕があっても、徐々に体は疲弊していく。周りの冒険者たちの動きは鈍り始め、致命傷にはならずとも小さな傷が増えていた。
「……レナ、そろそろやばいぞ」
「ええ、このままじゃ埒が明かないわね」
周りの様子に気付くカミラとレナ。しかし、彼女たちにも余裕はない。
特にノンは、口に出さないだけで疲弊しているのは一目瞭然だった。
それも当然だった。彼女は体術と短剣を駆使した身軽な戦い方を活かして、危うく魔物にやられそうになった冒険者たちを次々助けて回っていたのだ。
未だに一人も死者が出ていないのは、半分以上ノンのおかげと言っても過言ではない。
ノンはアルラインに助けられた日から、自分も彼のように人を助けられる強さを手に入れると心に決めていた。
彼の隣に立てるように。
そして、今の彼女はその決意通り、周りを助けながら戦えるほどに強くなっていた。
だが、これはいつ終わるかわからないスタンピードだ。そんな縦横無尽の戦い方を続ければ、急激に体力を削られるのは自然なこと。ノンはいち早く息を切らし始めていたのだった。
そんなノンの様子に、レナが覚悟を決める。
「カミラ、ノン。あれをやるわ」
「レナさん⁉ あれは……!」
レナが何をやろうとしているか気付き、ノンが慌てた表情を浮かべる。
しかし、レナの決意は固かった。
「このままじゃジリ貧だわ。早く終わらせるしかない」
「……わかった」
「カミラさん⁉」
レナの強い眼差しを見てカミラが頷いた。ノンはまさかカミラが頷くとは思わなかったのか、信じられないという顔だ。
「ノン。レナの言う通りだ。このままじゃ私たちが負ける。そうすれば大量の魔物が森の外に出て、人里へ向かってしまうだろう。そうなればどうなるかは考えるまでもない」
「だからってあれは……!」
「大丈夫よ、ノン」
なおも食い下がろうとするノンにレナは笑顔を向ける。
「私だって強くなろうと頑張ってきたの。魔力だって大幅に増えた。できるわ」
強い意志のこもった言葉だった。ノンは頷くしかない。
「……わかりました」
それを聞いたレナはかすかに微笑んでから、魔物を見据える。
「二人とも、しばらく魔物を食い止めて」
「ああ!」
「任せてください!」
その場で足を止めたレナを守るように、二人は前に出て魔物を捌き始める。
ぶつぶつと詠唱を始めるレナ。高まっていく魔力を感じて、カミラが辺りを見回しながら叫ぶ。
「全員、合図をしたら退避を! レナより後ろに退くんだ!」
「「「おう!」」」
カミラの言葉でレナが何かしようとしていると気付いた冒険者たちが、じりじりと下がりつつレナを守るように動き始める。だが、それと同時に魔物たちが一斉にレナを狙い始めた。
レナの魔力が高まったことで魔物たちは身の危険を感じたようだった。
しかし、妨害を許す冒険者たちではない。
「レナさんの邪魔はさせない!」
ノンが投げた四本の短剣がそれぞれ魔物の急所を貫く。
「私を置いてレナを狙えると思うなよ!」
カミラの剣撃がひと際大きな魔物を真っ二つにした。
二人は背中合わせになって笑みを漏らす。
「やるじゃん」
「カミラさんこそ!」
だが、相変わらずギリギリの状況であることに変わりはない。二人は気を緩めることなく、さらに魔物を狩り続ける。
だが、レナ一人が抜けた穴はあまりに大きかった。徐々に冒険者側が押し込まれていく。
「レナ、そろそろ……!」
カミラが苦悶の表情で叫んだ時だった。
「準備できたわ! 下がって!」
レナの声が響いた。
「っ! ああ!」
全員が瞬時に判断し、レナの背後に退避。
「レナ、頼んだぞ……!」
「レナさん……!」
遮るものがなくなったレナに魔物たちが一斉に襲いかかる。
そんな魔物たちを前にして、ひるむことなくレナは杖を掲げた。
「〈雷の裁き〉!」
その瞬間、杖から空に向かって放たれたのは白く眩い光。
――そして。
ズッドーーーン!
「「「ギャアアアアアアアア!」」」
凄まじい光が豪音とともに魔物の群れに降り注ぐ――特大の雷だ。
眩い光にたまらず目を細める冒険者たち。
魔物たちの断末魔の悲鳴はなかなかやまない。たった一筋の雷による、あまりに広範囲かつ強烈な攻撃。
「これが噂の大魔法か……」
「聞いていたよりずっとすごいわ」
「こんなの食らったらひとたまりもないな」
冒険者たちが呆然と呟く。それだけレナが放った大魔法は強力だったのだ。
やがて、光がやんだ時。
「終わったのか……?」
辺りには魔物たちの焼け焦げた死体が転がる以外何もなかった。
そう、何もなかったのだ。
雷が落ちた場所は木々すら消滅し、ただの開けた土地になっていた。
「まあ、あれを使ったらこうなるよな」
カミラが苦笑する。冒険者たちは目を瞠って立ち尽くしている。
不意にレナがふらついた。
「レナさん!」
ノンが駆け寄り、危うく倒れそうになったレナの体を支える。レナは弱々しく微笑んだ。
「ありがとう……」
「大丈夫ですか⁉ どこか体におかしいところとかないですか⁉」
矢継ぎ早に質問するノンに、レナが小さく苦笑する。
「……大丈夫よ。魔力の使い過ぎで力が抜けただけ」
「ほんとに大丈夫なんですね……?」
レナが頷くと、ノンが涙ぐむ。
「相当魔力量が増えたんだな、レナ。前はこの魔法で気を失っていただろ」
次いでやってきたカミラが反対側からレナを支えつつ言う。
以前危機に直面した時にもレナはこの魔法を使ったのだが、その時は魔力切れで倒れ、何日も目を覚まさなかったのである。
魔法を使う前にノンが心配していたのは、その前例があったからだった。
レナが頬を膨らませる。
「だから大丈夫だって言ったじゃない」
「私らは魔法のことなんてからっきしだからな。疑ってたわけじゃないが、それでも心配だったんだよ。なぁ?」
「はい」
コクコクと頷くノンに、レナは仕方ないわねとまた苦笑した。
「二人ともありがとう。でも、もう一人で立てるわ」
「さすがにまだ……」
「平気よ」
心配そうなノンに笑顔を見せると、レナは杖を支えにして一人で立つ。そして、後ろで様子を窺っていた冒険者たちに宣言した。
「もう魔物はいないわ! スタンピードは終わりよ!」
「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」
歓声が沸き上がる。感極まった冒険者たちが三人の元に殺到した。
「レナさんすげぇ!」
「生き残れた……!」
「瑠璃色の乙女のおかげだ!」
「うおっ、ちょっと待てお前ら……」
もみくちゃにされる三人。嫌そうな言葉とは裏腹にその表情は緩んでいて。
「ああ、もうお前ら汗くさいんだよ!」
「カミラさんもじゃないですか!」
「殴られたいのか⁉」
「レナさん! 美の秘訣を教えてください!」
「いっ、今それ関係ある……?」
「こんな時じゃないとレナさんと話せないですから!」
「ノンさん! 助けてくれてありがとうございました! かっこよくて好きになっちゃいました! 付き合ってください!」
「ほわっ⁉ 僕、女の子だけど⁉」
「同性でも関係ありません!」
……若干おかしな方向に気持ちが動いている人たちもいるが、誰もが三人に感謝しているのは間違いない。
通常、スタンピードで死者が一人も出ないことなどありえない。そんな奇跡が起きたのは、ひとえに瑠璃色の乙女のおかげだった。
「やっと抜け出せた。なんか魔物と戦ってた時より身の危険を感じたんだけど、さすがに気のせいだよね……」
冒険者たちの隙間からなんとか抜け出したノンが、少し距離を取ってからまだもみくちゃにされているレナとカミラを眺める。
ふっと笑みがこぼれた。
「僕はまだまだみたいだ」
強くなっても、まだまだ守られる側で。
でも、それで心が折れることはない。
アルラインが助けてくれた日から、彼の横に立つことが一番の目標だから。
何度でも思う。
「待っててね。もっと強くなって君を驚かせるんだから」
空に向かって手を伸ばし、何かを掴むようにぎゅっと握る。
アルラインのことを考えるだけで笑顔になってしまう。
(彼は永遠に僕の目標だからね!)
うーんと伸びをする。緊張で凝り固まっていた筋肉がほぐれて気持ちがいい。
「あー! ノンだけずるい!」
「お前、私たちを見て笑ってたな……⁉」
「違いますよ⁉」
ようやく抜け出したレナとカミラが、一人先に抜け出したノンを見つけて近寄ってくる。ご立腹のようだ。ノンはふっと笑みをこぼすと自分からも二人に駆け寄っていく。
「一人だけ助かってうれしいのか、薄情者!」
「そんなことないですよー!」
カミラとノンの冗談めかしたやり取り。
それを見てレナもまた笑みを浮かべる。
しかし、そんな笑みの裏で、ふとある考えが脳裏をよぎった。
(それにしても、大地震にスタンピード……この国で一体何が起ころうとしているのかしら)
立て続けにこれほどの異常事態が起こるなど、聞いたことがない。何かこれ以上に最悪の事態が起きる予兆ではないかと、不安を覚えてしまう。
そして、この異常事態に動いていないはずがない、自分よりも幼く、しかし遥かに強い少年に思いを馳せる。
「……どうか、無事でいてね」
(少しでもこの思いが届きますように)
「何か言ったか?」
カミラが首を傾げる。レナは首を振った。
「ううん、なんでもないわ。そろそろ帰る準備をしましょう!」
「はい!」
「そうだな」
元気に返事をするノン。カミラも笑顔で頷く。
三人はそれぞれの思いを抱えつつ、身支度を整えて帰途に就いた。
「なあに?」
「僕、強くなる! 大きくなったら冒険者になるよ!」
「「「はっ⁉」」」
その場にいた全員が素っ頓狂な声を上げた。
(いつの間に、『強くなる』が『冒険者になる』になったんだ?)
絶句している母親を見てレンが慌てる。
「あの、リューキ君?」
「ん?」
「冒険者って危ないお仕事もいっぱいなんだよ? 強くなりたいのはいいと思うけれど、冒険者にまでならなくても……」
「僕、お兄さんたちを助けてあげるって約束したもん!」
「でも……」
「男は約束破っちゃいけないんだよ!」
「うっ……それは……」
ラウザンだってそんなつもりで言ったわけじゃないだろう……だなんて言えるわけもなく、口ごもるレン。
当のラウザンは、少し考えるように目を瞑ったのち、しゃがんでリューキと目線を合わせた。
「ほんとに冒険者になりたいのか?」
「うん! 僕、お兄さんたちみたいに誰かを守れるようになりたい!」
「そうか」
ラウザンが微笑む。
「それなら、まずは身近な人が笑顔でいられるようにしないとな」
「笑顔?」
リューキが不思議そうに首を傾げる。
「命を助けることだけが守ることとは限らない。君が今一番守らないといけないのは、お母さんの笑顔だ」
「母さんの笑顔……?」
ラウザンが頷く。
リューキは母親を見上げる。そこには不安な表情を浮かべる母親がいた。
「今の君が冒険者になると言っても、お母さんは不安に思うだろう。君はお母さんが安心して背中を押してくれるくらい強くなるんだ。身近な人の笑顔すら守れないのに、何かを守ることなんてできっこないからな」
「笑顔を、守る……」
「強くなって、お母さんに笑顔で認めてもらえたら、冒険者になれ。ちゃんとそれまで待っててやるから」
ラウザンの言葉を、リューキは噛みしめるように何度も繰り返す。それから、ニコッと笑った。
「わかった! 母さん。僕、母さんが少しも不安にならないくらい強くなるよ!」
「……ええ、楽しみにしてるわね」
リューキの母親は笑みをこぼした。
「ったく、ガキのくせに男見せやがって! 将来、女を泣かせるんじゃねーぞ!」
「ええ⁉ 泣かせないよ!」
ノットがガハハ! と笑いながら放った言葉に、リューキが反論する。
仲良く言い合っている様子を見て、思わずレンも小さく笑っていた。
「えー! リューキ、冒険者になるの⁉」
「お兄さんたちと仲良くなっててずるい!」
「怪我してない?」
気付けば和やかな雰囲気に釣られるように、周囲にわらわらと人が集まってきていた。
そこにリューキが笑みを振りまいていく。
「みんな! 僕、冒険者になるよ!」
どっと歓声が上がる。
「おおー! がんばれよ!」
「泣き虫が冒険者か! 強くならないとな!」
「応援してるぞー!」
地震が起こってから初めて、村に笑い声が溢れたのだった。
やがて、村人たちは各々の仕事に戻っていった。その場に最後まで残っていたのは、リューキとその母親だ。
「リューキ、母さんは少し話があるから、お友達と遊んでおいで」
「わかった! お兄さんたちバイバイ!」
リューキが友達のほうに駆けていく。その後ろ姿を見送ってから、リューキの母親はノットたち三人に深々と頭を下げた。
「皆さん、息子の命を救っていただき、本当にありがとうございました」
「当たり前のことをしただけだ」
ノットが心の底から言う。
(弱きを助ける……それがこいつの信条だからな)
それを見てレンが微笑む。
ノットに直してほしい部分はいくつもある。だが、彼がリーダーでよかったと改めて思ったのだ。
レンはリューキの母親に向き直ると頭を下げる。
「むしろ僕たちは謝罪しなければなりません。息子さんを危険な目に遭わせてしまってすみませんでした」
「いえ、そんなことは……皆さんには村全体を助けていただいているんです。しかも今回、リューキの命を助けてくださったばかりか、私の気持ちのことまで配慮してくださって……本当に感謝しかありません」
彼女は少し言い淀んだのち、意を決したように改めて口を開いた。
「……私の夫も冒険者だったんです。息子が生まれてすぐに迷宮に潜って帰らぬ人となりましたが……。だから、リューキが冒険者になると言った時、不安な気持ちのほうが強くて。止めようと、そう思ってしまいました。リューキは夫が私に遺してくれたたった一つの宝物ですから」
その切実な言葉に三人は息を呑む。
(もしかして、僕たちはかなり軽率なことをしてしまったのでは……)
だが、そんな不安を覚えるレンをよそに、リューキの母親は清々しい笑みを浮かべていた。
「でも、皆さんが説得してくださって、リューキは私の笑顔を守ると言ってくれた……その時の姿が夫にすごく似ていて。私の我儘で止めることなんてできないと思ったんです」
彼女は少し離れたところで友達と遊ぶリューキに目をやって、そっとため息をついた。
「きっと、いつになっても、どれだけ強くなっても、リューキが冒険者になることへの不安は消えないと思います。私は母親ですから。だけどそれでも……だからこそ、あの子の道を断つことはしたくない。あの子が自分自身だけでも守れるくらい強くなって、その時にもまだ冒険者になりたいと願うのなら、嘘でも笑って送り出してあげようと思います」
覚悟を決めたように語る姿に、三人は再び息を呑む。
「……ああ、きっとあの坊主なら、あんたの不安なんて吹き飛ばしちまうくらい強くなるさ」
ラウザンの言葉に、リューキの母親はほのかに笑って頷いた。
「ええ……その時を楽しみにしていようと思います」
「なんか、あの子に似てないか?」
仲良く手をつないで帰っていくリューキとその母親を眺めながら、レンが呟く。
「あー。ちっこいくせに全部を守ってやるって息巻いていたところなんてそっくりだな。まあ、あいつにはそれができるだけの力があったが」
「あの時のアルライン君のほうがまだ大きかったし、すでに尋常でないほど強かったけど、それでもなんか似てるよね」
「案外、大きくなったらあいつくらい強くなってるかもしれないぞ」
「それは……恐ろしいね」
ノットの言う未来を想像して、レンは苦笑する。
「まあ、さすがにないんじゃないかな」
「……いや、あの坊主は強くなるぞ」
「えっ?」
レンがぎょっとして、まじまじとラウザンの顔を見つめる。
「あの年で他人を守りたいと思えるんだ。強くならないわけがない」
「でもアルライン君ほど強くなるとは……」
「さあな。とりあえずは、さっさとこの家の建て直しを終わらすぞ」
「ちょっ、言うだけ言って終わり⁉ マイペースすぎるぞ!」
喚くレンを無視して、ラウザンは自分の持ち場に戻る。
(坊主。強くなれよ。守りたいものすべてを守れるくらい、強く)
夕暮れの空を眺め、ラウザンは心の中でそう呟いた。
【とある冒険者side 瑠璃色の乙女】
「レナ、ゴブリンがそっちに行ったぞ!」
「わかってるわ! 〈雷槍〉!」
「カミラさん、レッドウルフ一匹、横から来てます!」
「おう!」
リルベルト王国の西に位置する、とある森にて。
地震と時を同じくして起こった大規模な魔物のスタンピードに、偶然居合わせたAランクパーティー「瑠璃色の乙女」が対応していた。
他にも少数ながら冒険者がいるが、三人の実力は別格だった。
前衛を剣士のカミラと斥候のノンが、後衛を魔法使いのレナが務め、完璧な連携を見せながら凄まじい勢いで魔物たちを狩っていく。
その姿は、周囲で魔物と戦う冒険者たちが驚嘆するほど見事なものだった。
「すごい……これが最速でAランクに昇格したパーティーの実力……」
「あの剣捌き、どうやってるんだ……?」
「あの子、何本同時に短剣を使えるんだ⁉」
「あれだけ威力を出して魔力切れしないの?」
冒険者たちの間に広がるざわめき。狩っても狩っても現れる魔物に、冒険者たちが絶望しないのは、瑠璃色の乙女のおかげであった。
かつて暁の誓いとともに盗賊に襲われ、アルラインに救われた瑠璃色の乙女。
そんな彼女たちもここ数年で圧倒的に強くなっていた。
しかし、それでも限界はある。
精神的には余裕があっても、徐々に体は疲弊していく。周りの冒険者たちの動きは鈍り始め、致命傷にはならずとも小さな傷が増えていた。
「……レナ、そろそろやばいぞ」
「ええ、このままじゃ埒が明かないわね」
周りの様子に気付くカミラとレナ。しかし、彼女たちにも余裕はない。
特にノンは、口に出さないだけで疲弊しているのは一目瞭然だった。
それも当然だった。彼女は体術と短剣を駆使した身軽な戦い方を活かして、危うく魔物にやられそうになった冒険者たちを次々助けて回っていたのだ。
未だに一人も死者が出ていないのは、半分以上ノンのおかげと言っても過言ではない。
ノンはアルラインに助けられた日から、自分も彼のように人を助けられる強さを手に入れると心に決めていた。
彼の隣に立てるように。
そして、今の彼女はその決意通り、周りを助けながら戦えるほどに強くなっていた。
だが、これはいつ終わるかわからないスタンピードだ。そんな縦横無尽の戦い方を続ければ、急激に体力を削られるのは自然なこと。ノンはいち早く息を切らし始めていたのだった。
そんなノンの様子に、レナが覚悟を決める。
「カミラ、ノン。あれをやるわ」
「レナさん⁉ あれは……!」
レナが何をやろうとしているか気付き、ノンが慌てた表情を浮かべる。
しかし、レナの決意は固かった。
「このままじゃジリ貧だわ。早く終わらせるしかない」
「……わかった」
「カミラさん⁉」
レナの強い眼差しを見てカミラが頷いた。ノンはまさかカミラが頷くとは思わなかったのか、信じられないという顔だ。
「ノン。レナの言う通りだ。このままじゃ私たちが負ける。そうすれば大量の魔物が森の外に出て、人里へ向かってしまうだろう。そうなればどうなるかは考えるまでもない」
「だからってあれは……!」
「大丈夫よ、ノン」
なおも食い下がろうとするノンにレナは笑顔を向ける。
「私だって強くなろうと頑張ってきたの。魔力だって大幅に増えた。できるわ」
強い意志のこもった言葉だった。ノンは頷くしかない。
「……わかりました」
それを聞いたレナはかすかに微笑んでから、魔物を見据える。
「二人とも、しばらく魔物を食い止めて」
「ああ!」
「任せてください!」
その場で足を止めたレナを守るように、二人は前に出て魔物を捌き始める。
ぶつぶつと詠唱を始めるレナ。高まっていく魔力を感じて、カミラが辺りを見回しながら叫ぶ。
「全員、合図をしたら退避を! レナより後ろに退くんだ!」
「「「おう!」」」
カミラの言葉でレナが何かしようとしていると気付いた冒険者たちが、じりじりと下がりつつレナを守るように動き始める。だが、それと同時に魔物たちが一斉にレナを狙い始めた。
レナの魔力が高まったことで魔物たちは身の危険を感じたようだった。
しかし、妨害を許す冒険者たちではない。
「レナさんの邪魔はさせない!」
ノンが投げた四本の短剣がそれぞれ魔物の急所を貫く。
「私を置いてレナを狙えると思うなよ!」
カミラの剣撃がひと際大きな魔物を真っ二つにした。
二人は背中合わせになって笑みを漏らす。
「やるじゃん」
「カミラさんこそ!」
だが、相変わらずギリギリの状況であることに変わりはない。二人は気を緩めることなく、さらに魔物を狩り続ける。
だが、レナ一人が抜けた穴はあまりに大きかった。徐々に冒険者側が押し込まれていく。
「レナ、そろそろ……!」
カミラが苦悶の表情で叫んだ時だった。
「準備できたわ! 下がって!」
レナの声が響いた。
「っ! ああ!」
全員が瞬時に判断し、レナの背後に退避。
「レナ、頼んだぞ……!」
「レナさん……!」
遮るものがなくなったレナに魔物たちが一斉に襲いかかる。
そんな魔物たちを前にして、ひるむことなくレナは杖を掲げた。
「〈雷の裁き〉!」
その瞬間、杖から空に向かって放たれたのは白く眩い光。
――そして。
ズッドーーーン!
「「「ギャアアアアアアアア!」」」
凄まじい光が豪音とともに魔物の群れに降り注ぐ――特大の雷だ。
眩い光にたまらず目を細める冒険者たち。
魔物たちの断末魔の悲鳴はなかなかやまない。たった一筋の雷による、あまりに広範囲かつ強烈な攻撃。
「これが噂の大魔法か……」
「聞いていたよりずっとすごいわ」
「こんなの食らったらひとたまりもないな」
冒険者たちが呆然と呟く。それだけレナが放った大魔法は強力だったのだ。
やがて、光がやんだ時。
「終わったのか……?」
辺りには魔物たちの焼け焦げた死体が転がる以外何もなかった。
そう、何もなかったのだ。
雷が落ちた場所は木々すら消滅し、ただの開けた土地になっていた。
「まあ、あれを使ったらこうなるよな」
カミラが苦笑する。冒険者たちは目を瞠って立ち尽くしている。
不意にレナがふらついた。
「レナさん!」
ノンが駆け寄り、危うく倒れそうになったレナの体を支える。レナは弱々しく微笑んだ。
「ありがとう……」
「大丈夫ですか⁉ どこか体におかしいところとかないですか⁉」
矢継ぎ早に質問するノンに、レナが小さく苦笑する。
「……大丈夫よ。魔力の使い過ぎで力が抜けただけ」
「ほんとに大丈夫なんですね……?」
レナが頷くと、ノンが涙ぐむ。
「相当魔力量が増えたんだな、レナ。前はこの魔法で気を失っていただろ」
次いでやってきたカミラが反対側からレナを支えつつ言う。
以前危機に直面した時にもレナはこの魔法を使ったのだが、その時は魔力切れで倒れ、何日も目を覚まさなかったのである。
魔法を使う前にノンが心配していたのは、その前例があったからだった。
レナが頬を膨らませる。
「だから大丈夫だって言ったじゃない」
「私らは魔法のことなんてからっきしだからな。疑ってたわけじゃないが、それでも心配だったんだよ。なぁ?」
「はい」
コクコクと頷くノンに、レナは仕方ないわねとまた苦笑した。
「二人ともありがとう。でも、もう一人で立てるわ」
「さすがにまだ……」
「平気よ」
心配そうなノンに笑顔を見せると、レナは杖を支えにして一人で立つ。そして、後ろで様子を窺っていた冒険者たちに宣言した。
「もう魔物はいないわ! スタンピードは終わりよ!」
「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」
歓声が沸き上がる。感極まった冒険者たちが三人の元に殺到した。
「レナさんすげぇ!」
「生き残れた……!」
「瑠璃色の乙女のおかげだ!」
「うおっ、ちょっと待てお前ら……」
もみくちゃにされる三人。嫌そうな言葉とは裏腹にその表情は緩んでいて。
「ああ、もうお前ら汗くさいんだよ!」
「カミラさんもじゃないですか!」
「殴られたいのか⁉」
「レナさん! 美の秘訣を教えてください!」
「いっ、今それ関係ある……?」
「こんな時じゃないとレナさんと話せないですから!」
「ノンさん! 助けてくれてありがとうございました! かっこよくて好きになっちゃいました! 付き合ってください!」
「ほわっ⁉ 僕、女の子だけど⁉」
「同性でも関係ありません!」
……若干おかしな方向に気持ちが動いている人たちもいるが、誰もが三人に感謝しているのは間違いない。
通常、スタンピードで死者が一人も出ないことなどありえない。そんな奇跡が起きたのは、ひとえに瑠璃色の乙女のおかげだった。
「やっと抜け出せた。なんか魔物と戦ってた時より身の危険を感じたんだけど、さすがに気のせいだよね……」
冒険者たちの隙間からなんとか抜け出したノンが、少し距離を取ってからまだもみくちゃにされているレナとカミラを眺める。
ふっと笑みがこぼれた。
「僕はまだまだみたいだ」
強くなっても、まだまだ守られる側で。
でも、それで心が折れることはない。
アルラインが助けてくれた日から、彼の横に立つことが一番の目標だから。
何度でも思う。
「待っててね。もっと強くなって君を驚かせるんだから」
空に向かって手を伸ばし、何かを掴むようにぎゅっと握る。
アルラインのことを考えるだけで笑顔になってしまう。
(彼は永遠に僕の目標だからね!)
うーんと伸びをする。緊張で凝り固まっていた筋肉がほぐれて気持ちがいい。
「あー! ノンだけずるい!」
「お前、私たちを見て笑ってたな……⁉」
「違いますよ⁉」
ようやく抜け出したレナとカミラが、一人先に抜け出したノンを見つけて近寄ってくる。ご立腹のようだ。ノンはふっと笑みをこぼすと自分からも二人に駆け寄っていく。
「一人だけ助かってうれしいのか、薄情者!」
「そんなことないですよー!」
カミラとノンの冗談めかしたやり取り。
それを見てレナもまた笑みを浮かべる。
しかし、そんな笑みの裏で、ふとある考えが脳裏をよぎった。
(それにしても、大地震にスタンピード……この国で一体何が起ころうとしているのかしら)
立て続けにこれほどの異常事態が起こるなど、聞いたことがない。何かこれ以上に最悪の事態が起きる予兆ではないかと、不安を覚えてしまう。
そして、この異常事態に動いていないはずがない、自分よりも幼く、しかし遥かに強い少年に思いを馳せる。
「……どうか、無事でいてね」
(少しでもこの思いが届きますように)
「何か言ったか?」
カミラが首を傾げる。レナは首を振った。
「ううん、なんでもないわ。そろそろ帰る準備をしましょう!」
「はい!」
「そうだな」
元気に返事をするノン。カミラも笑顔で頷く。
三人はそれぞれの思いを抱えつつ、身支度を整えて帰途に就いた。
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