【完結】千年ぶりの魔法をあなたに〜生贄にされた王女と処刑された護衛〜

美原風香

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2. お出かけ

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 コンコン。

「どうぞ」
「ティアラ様、朝食の時間です」
「ありがとう、エマ」
「いえ、それでは失礼いたします」

 朝食を置くとそっけない態度で出て行く侍女。今まで私付きの侍女はおらず、王宮と同じ敷地にありながら隔てられた場所に建っているこの離宮に王宮の侍女が三食運んでくれていた。

 まぁ、みんな関わりたくないからかほとんど会話せずに出て行ってしまうのだけど。

「いただきます」

 広い部屋で一人、ポツンと朝食をとる。疎まれている割にまともな食事が出されるのは救いだ。

 と、その時だった。

「うっ」

 唐突に吐き気を覚える。苦しくて辛い。

「くっ……解毒キュア

 息も絶え絶えに魔法を唱えると白い光が私を包む。
 光が収まった時、吐き気も治っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 息が荒い。だが、驚きはなかった。
 食事に毒が入れられるなどよくあることで、それが自分を特に疎ましく思っている王妃や王子たちの仕業であるということはわかっていた。

 強いていうならいつもよりかなり強い毒で、あと少し解毒が遅れていたら死んでいただろうことにゾッとする。

 私は今世ではまともな教育を受けていないから、魔法を使えることは知られていない。彼らはきっと、私がまだ生きていることを不思議に思っているでしょうね。

「まだ死ぬわけにはいかないもの。気をつけなきゃ」

 朝食に解毒魔法をかけながら呟く。
 こうやって王族が身内を殺そうとするなどあってはならないこと。上に立つものが腐っていけば、国は傾き、民が苦しむ。

 今はまだ私が表に立つわけにはいかないけど、いずれ絶対に間違いを正してみせる。

 それが私の、この国の王女としての役目だから。



 ***



 朝食後、私は自分に姿を見えなくする魔法をかけて離宮から抜け出した。

「ご苦労様」

 そう小さく呟いて、扉の前に立っていた警備の騎士の間をすり抜ける。

「久しぶりのお日様……気持ちいいわね」

 私が離宮から出ることは認められていない。今の騎士達は侵入者の警戒ではなく、私が外に出ることを警戒しているのだ。

「ん~っ」

 久々の外は気持ちよくて思わず伸びをする。今は春。庭園には色とりどりの花が咲き乱れていてとても美しい。

「っと、ちょっと急がなきゃ」

 私のところに訪ねてくる人はほとんどいないが、全くいないわけではない。誰かが来た時に私がいなければ大変なことになる。

 風をまとって人通りの少ない道を駆け抜けて、私は王宮に忍び込んだ。

「っと、危ない」

 急ぎすぎて、たくさん書類を持った執事とぶつかりそうになり慌てて回避。倒れそうになった書類をそっと支えてあげると、執事は不思議そうな表情になった。

「誰かいるのか?」

 だが、私の姿が見えるわけではないから、首を傾げながらも足早に通り過ぎていった。

「ふぅ、良かった」

 ホッと息を吐く。

 私はそのまま王宮の中を進み、ある部屋の前で立ち止まった。
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