そこは夢の詰め合わせ

らい

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冷音

44.植物園のあの人

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今日も僕はある植物園の前を通り学校へと行く。そこで絶対に植物達に水をあげている人に会う。しかしそれは人と言っていい部類ではないがそんなことはどうでもよかった。

「おはようございます。」

「おはよ~。今日も暑いねぇ~」

ゆるーい挨拶。しかしそれを聞くために学校に行くと言われても過言ではない。何故かその植物達の前を通ると元気が出るのだ。

ある日、僕は植物園にその人を訪ねに行った。そこには100種類以上の植物が育てられていた。ハーブのようなものから、薔薇のようなものまで幅広く育てられていた。

「綺麗でしょ?」

突然声がした。後ろに彼女がいた。彼女は作業をしていたのか植物の肥料を手に抱えていた。

「はい。とても綺麗ですね。」

僕はそう答えた。本心だった。緑一色に見えて、通路のところだけは色とりどりの花で飾り付けられている。それは綺麗と言って良いものだった。

「ここまでするのに沢山の時間と労力がいるの。でもこれを見るためだったら頑張ろうって思うよね。」

彼女は笑顔を作ると思い出したように家の中へと走り、ティーカップを持ってきた。

「これいつも君が見ている方の植物園から取ってきた時計草のハーブティーだよ。少し飲んでみて?」

それを口にした時、今まで残っていた疲労が水に流されるようにして消えた様な感覚だった。そしていつの間にか、ティーカップに入っていたハーブティーを全て飲み干していた。

「美味しいでしょ?これの苗をあげるから君も育ててみない?」

自分でも育ててみようと思った。僕は苗を貰うとその苗を育て始めた。

それから時が経ち、時計草が収穫できるようになり、それを見せるために彼は彼女の元へと向かった。しかし、いつも見たあの植物園はどこにもなかった。代わりに大きな館が建てられていた。扉を開けると目の前に一人のメイドが居た。

「お帰りなさいませ、ご主人様。」

広い館にあの人の声が響き渡った。
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