41 / 165
さなのぶ
40.オドロケ
しおりを挟む
『鬼』それはある国での伝承の一つ。
それはこの国にもあった。
「出たぁぁぁあ『鬼』だぁぁあ!」
暗い暗い道、薄い霧が立ち込める場所で絶叫があがる。その道から逃げるようにして男性が出てくる。その男が出てきた一刻後に角の生えた女性と思わしき人物が出てくる。しかし、彼女には人には間違いなくない『角』が生えていた。彼女は逃げていく男を見たあと口角を釣り上げてまたその道へと戻る。その背中は何か恐ろしい何かを秘めている気がした。
「今日も人が来るとはねぇ・・・」
彼女は鬼。この国唯一の『━━━━━』と呼ばれる部類の『鬼』である。彼女は煩悩を表す象徴の鬼。その鬼には本名がある。しかし名前を言ってしまうとそれは彼女の本能を起こさせる。誰もそれを知るものはいないことが唯一の救いである。
「人間様とは話もしてみたいものです。」
彼女が『鬼』という概念であるから人は逃げてしまう。彼女が『鬼』でなければ話すことはできるのだろうか?さて、それを知るものはいないのである。
ある日、いつものように来た人間を追い返そうと彼女が姿を現すが、その人間は逃げなかった。それに不思議に思うが逃げないならと彼女は彼に手を伸ばす。しかし、悪寒が走り咄嗟に手を引いた。そして気になったことを彼女が聞いた。
「なぜ君は逃げないんだい?」
明確だった。彼の足には足枷があり、間違いなく生贄であった。しかし彼女はそんなもので消えるような『鬼』では無い。それで消えると思われたことに彼女は憤慨した。
「では、君。我が名前を教えるから呼んでくれるか?」
彼は了承した。そして誰にも言ったことのない彼女の本名を彼に伝える。そして彼はその名を呼んだ。
「天探女様。」
天探女。それは『鬼』の一つ、「天邪鬼」の名であった。その名を呼ばれた一刻後、その国に残った人間は名を呼んだ彼だけだったという。
この話を書いたのは彼ではない。
では、誰がこの話を書いたのだろうか・・・
この国の『人間』はもういないと言うのに。
それはこの国にもあった。
「出たぁぁぁあ『鬼』だぁぁあ!」
暗い暗い道、薄い霧が立ち込める場所で絶叫があがる。その道から逃げるようにして男性が出てくる。その男が出てきた一刻後に角の生えた女性と思わしき人物が出てくる。しかし、彼女には人には間違いなくない『角』が生えていた。彼女は逃げていく男を見たあと口角を釣り上げてまたその道へと戻る。その背中は何か恐ろしい何かを秘めている気がした。
「今日も人が来るとはねぇ・・・」
彼女は鬼。この国唯一の『━━━━━』と呼ばれる部類の『鬼』である。彼女は煩悩を表す象徴の鬼。その鬼には本名がある。しかし名前を言ってしまうとそれは彼女の本能を起こさせる。誰もそれを知るものはいないことが唯一の救いである。
「人間様とは話もしてみたいものです。」
彼女が『鬼』という概念であるから人は逃げてしまう。彼女が『鬼』でなければ話すことはできるのだろうか?さて、それを知るものはいないのである。
ある日、いつものように来た人間を追い返そうと彼女が姿を現すが、その人間は逃げなかった。それに不思議に思うが逃げないならと彼女は彼に手を伸ばす。しかし、悪寒が走り咄嗟に手を引いた。そして気になったことを彼女が聞いた。
「なぜ君は逃げないんだい?」
明確だった。彼の足には足枷があり、間違いなく生贄であった。しかし彼女はそんなもので消えるような『鬼』では無い。それで消えると思われたことに彼女は憤慨した。
「では、君。我が名前を教えるから呼んでくれるか?」
彼は了承した。そして誰にも言ったことのない彼女の本名を彼に伝える。そして彼はその名を呼んだ。
「天探女様。」
天探女。それは『鬼』の一つ、「天邪鬼」の名であった。その名を呼ばれた一刻後、その国に残った人間は名を呼んだ彼だけだったという。
この話を書いたのは彼ではない。
では、誰がこの話を書いたのだろうか・・・
この国の『人間』はもういないと言うのに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる