そこは夢の詰め合わせ

らい

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カナイ

39.消えた色

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暗い暗い。一色の黒しかない闇の中でなにかが蠢く。しかし見える訳が無い。何が居る、しかしそれがなんなのか明確には分からない。分からないけれど、なにか嫌な気配。

「ようこそ。死者の皆様、ここは現世との狭間、隣にいる人は見えるかい?見えるという人は天国へ行ける可能性がある人だ。見えないお前は冥界へ真っ逆さまさ。」

中性的な声?いや少し高いか?そんな声が響く。出処が分からない。どこから声が響いているのか。広い訳じゃないのに、なぜ響いているのか。

「なぜ隣が見えないと天国へ行けないのですか?どういう意図でそれは決められているのですか?」

若い男の声がした。近くから聞こえたその声に彼女が反応した。

「そうだね。説明しておこうか。隣が見える人は善を積んだ人だ。なんにも普通に過ごしていれば隣は見える。しかし犯罪や、罪を認めず遊び尽くしたそんな者には隣が見えるわけないよね。それだけの話だよ。」

なるほど。そう思った。罪の重さと共に人が見えなくなっているのだ。人を傷つけたりした人に人は必要ない。ということだろう。

「人が見えない。そんな人からは触覚の全てを奪おう。自分の視界とお別れをしようか。」

その瞬間、罪人の色が消えた。光が消えた。そして視界が消えた。

阿鼻叫喚共に笑い声が響く。恐ろしいと感じるような。恐怖を感じる笑い声。それと共に視界があるものは視界が黒く染っていくのを感じながら意識を手放すことになる。

「行ってらっしゃい。分けられた亡者共よ」

笑い声の主、彼女はそこで初めて闇から現れた。その姿を見るものはただの1人も居なかった。
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