そこは夢の詰め合わせ

らい

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狐谷

51.霧の中の踊り場

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コツコツコツと、何かが一定のリズムを刻む音が聞こえる。聞くだけでもなにか音楽が聞こえてくるようなリズム音に聞き入っていた。

「•*¨*•.¸¸♬︎」

少し鼻歌のような何かが聞こえた。
僕は深い霧をかきわけるようにして音の方へと向かう。そこにはブーツを履き、誰か分からない影と踊っている九尾が居た。

「霧の中で~踊るは大妖怪。今宵は満月、月明かりに照らされて妖怪が・・・妖怪が・・・現れる~。今宵も上手に化かされな~?」

今宵、満月は妖怪の妖気が満ちる時。歌につられて空を見上げたとき、月に照らされた妖怪が此方に気づいた。

「今宵、今宵、迷い込んだ人間様達を小生の元に。踊って踊って踊り狂う。」

此方に気づいた九尾がこちらに歩む。僕はそれを見るなり急いで、一目散に逃げた。山を転がり降りるようにして・・・・・

一目散に逃げた少年を見て、追うのを諦めた九尾はこちらを見た気がする。こちらには気がつかない筈なのに・・・

「小生は気づくよ・・・?」

その手で掴まれた。視界は暗転した。
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